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【にいがた乳腺クリニックPart1】乳がん術後地域連携パスの問診作成方法とは!?

2021年1月15日開催の第3回問診アカデミーで、にいがた乳腺クリニックの長谷川先生に乳がん術後地域連携パス問診作成のポイントを伺いました。

▼ 目次
がん術後の患者さんをフォローアップする「医療連携ノート」の仕組み
患者さんの手術の理解度をチェックする目的としての術後問診
術後変形について患者さんの満足度を聞く問診


がん術後患者をフォローアップする「医療連携ノート」の仕組み

吉永
みなさん、こんばんは。
本日は、にいがた乳腺クリニックの問診を見ながら、問診作成のポイントを長谷川先生に伺えたらと思います。
長谷川先生、よろしくお願い致します。


まず、こちらが、メルプで提供しているクリニック側の問診管理画面になります。
患者向け問診とスタッフ向け問診の2つがありますね。

患者向け問診は、患者さんが家でもしくは待ち合わせて記入するための問診です。
スタッフ向け問診は、医療従事者の方が患者さんを目の前にしながら聞き取り調査を行うための問診です。

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にいがた乳腺クリニックでは、スタッフ向け問診の項目で、「連携パス」という名前でいくつか問診がありますが、連携パスに関して教えていただけますでしょうか?


長谷川
新潟県内で、5大がん(胃がん・大腸がん・肝がん・肺がん・乳がん)に対して、手術や抗がん剤の治療はがん拠点病院で行い、その後の経過観察や乳がんでしたらホルモン治療に関して、地域のかかりつけ医にお願いするという、治療の役割分担をしています。

そのシステムのことを「乳がん術後地域連携パス」と呼んでいます。
ですので、私達はよく「連携パス」と呼んでいます。


吉永
なるほどですね。
となりますと、がん拠点病院から地域のかかりつけ医へという患者さんの流れになるのでしょうか?逆もありますか?


長谷川
新潟県ではがん拠点病院やセンターが4つあります。4つの病院から手術後の患者さんを受け入れて、「医療連携ノート」という治療に関する1つの患者さんのノートを作成して、そこで情報をやり取りします。

こちらのノートの「わたしの記録」に、患者さんが手術を受けた病院・かかりつけ医療機関、既往歴・アレルギー・乳がんの治療記録を書きます。

かかりつけ医や、がん拠点病院を受診する際に持参していただきます。そして、化学療法や内分泌療法など、治療内容を書き込んでいきます。

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手術後10年目まで、定期検査内容を記録して、10年終わったら卒業となります。
この定期検査に関して、ピンク色の背景の年に1回の部分は、大部分の方は手術を受けたがん拠点病院で検査を行っています。

乳がんの場合は、定期検査は視触診とマンモグラフィーが主になりますので、当院でも定期検査を受けていただくことができまして、主に白背景の部分はかかりつけ医が担当していたりします。

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吉永
ありがとうございます。地域連携パスに関して、よく理解できました。

こちらのスタッフ向け問診の「連携パス」は、受付や看護師など、スタッフの方が記入されているのでしょうか?


長谷川
いえ、当院では受付にタブレットを3台用意していて、スタッフ向け問診を展開してタブレットごと患者さんに待合室で渡して、患者さんに問診入力いただいています。
すでに、受診前に患者向け問診に記入いただいている方に追加で記入いただいています。

一番上の「連携パス」が初診用、2つめ3つめが再診用ですね。

患者さんの手術の理解度をチェックする目的としての術後問診


吉永
なるほどですね。
それでは、初診用の連携パス問診の中身を見ていきたいと思います。

まず初めに、手術を受けた病院を選択ですね。
次に、手術の内容を質問されています。

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長谷川
そうですね。手術内容は、がん拠点病院からの紹介状には記載されているのですが、患者さんご自身の認識と、実際の手術の内容が結構違っていたりします。

ですので、例えば、乳房の腋下の手術の場合、腋下の手術を実際はしているのに、「していない」を選択される方がいたり、腋下リンパ節郭清をしていないのに「している」にチェックをつける方がいたりします。

腋下リンパ節郭清をしたか否かによって、術後に上肢にどの程度気を付けていただくかや、術後リンパ浮腫のリスクも変わってきてしまいますので、患者ご自身にしっかり理解していただきたいところなのですが、なかなか紹介状の手術内容の情報と合っていないことがありますね。

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吉永
患者さんの手術の理解度をチェックする目的
があるのですね。

長谷川
そうですね。また、紹介状も正しいとは限りませんので、本当は抗がん剤治療を予定していたけれども、ご本人が希望されずに治療しなかったという場合に、手術後の予定として抗がん剤をしましたと記載されてしまっている場合があります。

そういった意味でも、本当に受けた治療は何でどれくらいの回数だったのかをしっかりと把握しておくことが、その後の副作用やリスクなど経過を見ていく上で重要ですので、ご本人に記入いただいています。


術後変形について患者さんの満足度を聞く問診

吉永
なるほどですね。
乳房の部分切除(温存手術)の場合の術後変形について患者さんの満足度を聞く問診がありますね。


長谷川
そうですね。ここの患者満足度が低かった場合に、今度修正手術を希望されるかどうかに関しても、皮膚や乳房の状態を見ながら、形成外科的な手術をしたほうが良いのか、もし手術をするならいつした方がいいのかを伝えるために質問しています。
また、補正下着のニーズがどの程度あるのかを事前に情報を得るようにしています。

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吉永
患者さんの希望に応じて、先生のコミュニケーションも変わるということでしょうか?

長谷川
そうですね。
ニーズがあればそこに合わせて情報提供できると思いますが、ニーズを掴めていないといくら情報を持っていても適切に提供できませんので、このように事前に患者さんの希望を伺っています。

吉永
満足度の選択肢の部分も、具体例の但書を添えられていて、患者さんに寄り添っているという印象を受けました。

長谷川
同じ変形度合いで合っても、患者さんの満足度は主観的なものになりますので、「予想に対してどうだったのか?」という部分を伺わないと、変形が許容範囲内なのかそうでうないのかを決定できないと思いますので、このように注釈を添えています。

吉永
なるほどですね。
乳房変形の修正希望の選択肢に関しても、手術と補正下着で2つ但書が添えられていて、「はい」の場合は、患者さんの希望は大きくこの2つなのかなという印象を受けました。

長谷川
手術をするか、それとも、手術までは考えないという点で大きく分かれますので、手術まで希望されない患者さんにはシリコンの人工乳房を型取りしてオーダーメイドで作成するという提案もできるかなという意図で選択肢を作成しています。

吉永
ありがとうございます。

今まで、乳房の部分切除の問診を見ていきましたが、こちら、全摘の場合はまた質問内容が異なりますね。
全体を通して、質問が結構専門的だなという印象を受けましたが、患者さんは理解して選択しているのでしょうか?

長谷川
そうですね。なかなか理解されていない患者さんが多くて、例えば、再建手術を前提として皮膚はわざと残してあるから弛んでいるなどといったご理解をいただかないと、どうして今の乳房の術後の状態になっているのかを正しく認識できないですので、こうした質問を用意しています。

あとは、術後の皮膚の状態や余裕、皮下脂肪の余裕によって、その後の再建術の術式も変わってきますので、患者さんに認識していただくことも目的としています。

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吉永
患者さんの認識度チェックという目的
もあるということですね?

長谷川
そうですね。そこがかなり大きいですね。

吉永
ありがとうございます。

あとは、それぞれの治療内容を質問されていますね。
薬物療法に関しても、かなり細かく聞かれていますね。

長谷川
乳がんの治療や患者さん個人個人によってかなり異なりますので、聞いています。
例えば、抗がん剤などは晩期障害がありますので、患者さんご自身でどの種類の抗がん剤をいつ行ったかを認識していただく必要があります。


私達のフォローアップは基本的に10年になりますので、30代40代で乳がんの治療を受けた方は、定期検査を終えたあと50代60代ですので、その後の10年20年を考えると、ご自身で病気と治療、その後の経過を認識していただくことがとても重要だと思います。

Youtubeでも対談動画を掲載していますので、是非ご覧ください。


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