邪魔な広告は本当に効果的なんだろうか

 アマゾンプライムビデオのCMに関して、広告対象の番組に低評価を付ければCMが出なくなるという理由から、その番組に低評価が付きまくるようになった――との話を見かけた。


 今どきは広告が溢れている。雑誌や本を開けば広告が掲載されているし、ウェブサイトを閲覧すれば広告が載っているし、動画を観れば広告が再生される。

 もちろんそうした広告があるからこそ出資が為され、さまざまなコンテンツが楽しめているのはわかる。わかるのだが、それって本当に効果的なの? という疑問をしょっちゅう感じる。

 選挙カーの候補者名連呼もそうだが、いくら邪魔に思われても、まったく存在を知られていないよりは遥かにマシ、との考え方がある。”悪名は無名に勝る”というやつだ。
 ライバル社がわざと好感度を下げてやろうと広告を乱打しているのでなければ、通常は自社製品・サービスを知ってもらい、買ってもらうために広告を打つものだと思う。
 つまり広告した成果として売れなければ、意味がないどころか広告費の分だけマイナスになるわけだ。

 で、疑問なのだが、「邪魔だな」と感じた広告で取り上げられている製品やサービスを買おうと思うだろうか。わたしは思わない。
 元々使っていた製品について、邪魔な広告が流れているという理由だけで使うのをやめることはないが、一度も使ったことのない製品なら不快な広告に接した場合、まず買うことはなくなるだろう。

 企業側としては潜在顧客を確実にひとり失っていることになるわけで、本当にこれは「知られていないよりマシ」といえるんだろうか。あまりにも直感と反し過ぎていて、本当に意味あるのかなと思ってしまう。


 不快だったり邪魔だったりする広告が現に存在し、掲載され続けているということは、何かしらプラスの効果があるとの裏付けはあるのだろう。
 たとえば、自分が広告会社の営業職だったらと考えてみる。お客に対して「広告を流してみませんか。御社の製品の知名度が上がり、さらに売れるようになりますよ」などと営業をかけるだろう(たぶん)。このとき、さらに売れるようになる、という何らかのデータを根拠として提示できなければ、成約には結び付かないと思う。

 が、そんなデータなどあるのか。
 寝る前に癒やされ動画をちょっと観たいなと思ってYoutubeを開いたら、ギスギス漫画広告だの毛穴ドーンみたいな映像広告だのが出てきて「よし、買わなくちゃ!」と思う人が世の中にどれだけいるんだろうか……。


 不快感や嫌悪感を煽る広告、コンテンツを楽しむのをあからさまに阻害する邪魔な広告。
 こうした広告にも実は一定のプラスの効果があるというのだとすれば、どこか騙されているような気持ちになってしまう。



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