気軽に「最高/最低」「今までで一番」などと言うの、うっすら信用できない

 数日前、X上で競馬場の爆破予告をしたとして、大学生の女性が威力業務妨害罪の容疑で逮捕されたというニュースを見かけた。

 ネットのノリにある程度染まった人なら察することができると思うが、これはまあ十中八九、ありがちな誇張表現だろう。「やばい尊すぎてしぬ!」とか「百万回いいね押した!」とかの系統だ。

 このニュースに接したユーザーたちの反応としては、書き込みを真に受けている人は少数派で、多くは以下のふたつに分かれているようだった。

「誇張表現で逮捕されるのは怖い」
「誇張表現だろうと具体的な場所を挙げて爆破するというのはアウト」

 だいたいは「ノリとしてはわからなくもないがバカな書き込みをしたものだ」といった温度感だが、なかにはこうした誇張表現自体を嫌っていると思しき書き込みもあり、少し考えるきっかけとなった。


 誇張表現自体は、それこそ「一日千秋」だとか「白髪三千丈」だとかのように昔から言われてきたものだ。敢えて極端な物言いをして、それだけ思いが強いのだということを表す。

 ただ、それがスラングやミーム、内輪ノリのような形になると、悪ふざけのように感じられて眉をひそめたくなるという人も出てくるのだろう。


 個人的な感覚としては、誇張表現自体がどうというのとは少し違うが、気軽に「最高」「最低」「今までで一番◯◯だ」などのような言い方を多用されると、うっすら信用できない感が醸し出されるな、とは思う。

 わたしは程度問題というのを非常に大事だと思っていて、極端な表現で程度を表す人は、そこらへんの基準がゼロか100かになっていそうに見えるからだ。

 言うなれば、誰に対しても「キミが一番さ」と言って回るようなやつは信用ならねー、というのに近い。

 とはいえ、絶対に最高とか最低とか言うべきでないというのではなく、たとえば夏に走り込みから帰ってきた少年がスポーツドリンクをグビグビ飲んで「あー、サイコー!」みたいに言う状況などは、清々しい感じで良いと思う。

 まあ、シチュエーション次第と言ってしまえばそれまでか。


 悪く言うことで逆に褒めるような言い方もそうだが、言葉による表現は奥深く、必ずしも言っている通りのことを表しているとは限らない。
 だが、それが何かへの加害を示唆するほうへ暴走してしまうと犯罪として逮捕されることもある。

 正でも負でも、強い感情を表したいときほど言い方に注意しないといけないなと思う。



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