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メロンとチーズのアペリティフ -2

果房 メロンとロマンがメロンを使ったお家で楽しめるレシピを発信する企画、「メロンのレシピノート」。

第6回はなんと、前回に引き続き果房 メロンとロマンが位置する東京・神楽坂にある店舗とコラボレーション企画です。神楽坂の地で20年を迎える『チーズ専門店アルパージュ』さまが一緒にレシピを考えてくださりました!

看板

店舗外観

今回、レシピを一緒に考えてくださったのは、
オーナーの森 節子(もり せつこ)さん

森さん3

前回はチーズ専門店を開くまでのお話やチーズについての基礎知識をお伺いしました。チーズの魅力についてお聞きしながら、レシピについて教えてもらいましょう。


➖店内には数え切れないくらいたくさんのチーズが並んでいますね。どうやって輸入されているのですか?

ショーケース1

うちのチーズは常時200種類以上あるのですが、殆どがフランスからの輸入です。お店を始めた時は、仕入先のつても無くて。知り合いの通訳の人と現地に行って、チーズを卸している会社にチーズを売って欲しいと交渉にいきました。でも、私にはまだ実績も信用もないので、「卸せない」と断られてしまいました。そのときは、とてもしょんぼりして、気分が沈んでしまいましたね。

でも、私は何か上手くいかなかったり、失敗をした時、落ち込みはするのですが、「次はこうしてみよう」と試行錯誤するのは嫌いじゃなくて。試行錯誤を重ねて問題をクリアした先には成長した自分が必ずいるんです。そういう繰り返しが割と好きな性分です。だから、しょんぼりはしたのですが、何かやらなきゃ!という気分にかられました。

そこで、「次は、直接チーズを売ってくれる生産者を探してみよう」と思い、自分の好きなチーズを作っている山に行ってみることにしました。何件もチーズを作っている山小屋をまわっていたら、売ってくれるところが一件だけ見つかって。手探りでやっているうちに、どんな生産者や業者ならチーズの輸出が可能かというルールも見えてきて、取引先が広がっていきました。

現地のチーズのプロの方とお話する時のために、自分もチーズを扱うプロとして知識を持とうと思って、常に本を読んだり、実際に味わったりして勉強をしていました。今思えば、それらを積み重ねていたことが、現地のチーズを売ってくれる方にも伝わって、信用して取引をしてくださるきっかけの一つになったのかも、と思っています。

ショーケース3

↑店内のショーケースにはチーズがズラリ。一つ一つのチーズに丁寧に説明が書いてあるのを読むだけでも楽しい。

➖店頭の200種類のチーズは、森さんの努力と信頼の積み重ねなんですね。

自分が「これだ!」と思うことをしっかりと持ち続けていれば、少し形がかわったとしても、最後には形になっていくものと思います。

➖森さんが考える、チーズの魅力とは何でしょうか?

メロンなどの果物も同じだと思うのですが、チーズは常に変化していくのが本当に面白いです。出来上がりは若くて青臭くても、熟成すると味わい深くなったりします。自分がきちんと管理していれば美味しくなるし、適当に扱うとダメになってしまったり。人の手を加えることで生きてくるというところが興味深いと思います。

私の場合、お店の主役はあくまでもチーズだと思っています。店頭に立つ自分はチーズとお客さまのパイプ役です。だから、パイプ役として、常に勉強をして、チーズの味だけでなく、チーズができるまでの歴史的・文化的背景についてもきちんとお話できるようになろうと思っています。

➖店頭で、スタッフさんと会話をしながらチーズを選んでいくのは、楽しく、お店の方々のチーズそのものへの愛が伝わってきます!

食の持つ「味」だけでなく、その背景を知ることは、食べることの喜びに繋がりますよね。当店にいらっしゃるお客さまにも会話の中でチーズを知って、お好みを見つけていただきたいので、スタッフがお求めのチーズをお伺いして、販売する対面販売の手法をとっています。

接客風景

↑接客中の様子。実際のチーズを見ながら、詳しい説明を聞くことができる。

➖素敵なお話をありがとうございます。2つ目のレシピにはどのようなチーズが登場するのかとても気になってきました。

はい。2つ目のレシピは、「ロックフォールとメロンのアペリティフ」を考えました。アペリティフとは、フランス語で「おつまみ」のことですね。

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➖ロックフォールはどのようなチーズですか?

羊乳をつかった青カビの代表的チーズです。羊乳の甘み、滑らかな口どけと、力強い風味が特徴です。

➖力強い青カビチーズと上品な風味のメロンの組み合わせは意外です!どのように考えられたのでしょうか?

メロンには上品な味わいのフレッシュタイプチーズが合うだろうと思っていて、ロックフォールとメロンは合わないだろうな、と思っていたんです。

でも、「メロン」と聞いて、幼少期の出来事をふと思い出したんです。

子どもの頃、母親も私もメロンが大好きでいっぱい食べていました。特に母は本当に好きで、半分に切って種の部分も汁がたっぷりあって美味しいので、真ん中のワタの部分も食べて種だけを出すくらい。(笑)
母の食べ方をならって冷蔵庫に置いてあった半分に切ったメロンを食べてみたら、種の部分がちょっとほろ苦く感じたんです。

➖メロンは食べごろだと苦味は無いのですが、熟しすぎても、未熟な状態で食べても苦味があることが多いですね。

そうですよね。子どもの頃に食べたメロンの苦味を思い出して、「もしかしたら、メロンには潜在的に苦味が存在しているのかもしれない」と思いました。ロックフォールの青カビも少し苦味があるので、もしかしたら似た者同士、合うかもしれないな!と閃いたんです。
試してみたら、予想通りよく合いました。ロックフォールの塩味とメロンの甘みがよくあわさりますし、熟成されたチーズの旨味も加わるので味のバランスも整います。レーズンやナッツを加えることで食べ応えが増し、様々な食感も楽しんでいただけます。

➖様々な食感がとても楽しいです。こちらのレシピのポイントについてもう少し教えてください!

ロックフォールの強い塩気をメロンの果汁で調和できるよう、メロンを少し大きめに切るのが美味しいです。
全体として味が濃いので、食後に少しずつつまむのがおすすめです。赤ワインともぜひ合わせてみてください。また、ブルーチーズが苦手だという方はハチミツをかけて食べるのも風味がまろやかになりますよ。

ロックフォール

ロックフォールが手に入らない場合は市販のブルーチーズでも代用することができます。

チーズは、人間に必要な栄養素のつまった「完全栄養食品」と言われているのですが、足りない栄養素は、ビタミンCと繊維質なんです。今回、ビタミンCと繊維質を含んだメロンと合わせることにより、理にかなった栄養満点の組み合わせが生まれました。

チーズは主張が強いためたくさんは食べられません。でも、フルーツと一緒にいただくことで心地良い印象となり食べた人をほっとさせてくれるんだな、と思いました。メロンに感謝!ですね。

A看板

↑店頭には旬のチーズが書かれた看板が、丁寧な説明と可愛らしいイラストが目をひきます。

(前回のインタビュー、「チーズとメロンのアペリティフ -1」もぜひご覧ください!)

ロックフォールとメロンのアペリティフ(4人分)

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事前の準備:チーズが柔らかく崩れやすいため、お皿を冷やしておく。


材料
ロックフォール(青カビタイプチーズ)…30g
ミックスナッツ(無塩)…30g程度
メロン…4分の1玉
レーズン…適量

※ロックフォールはチーズ専門店で購入できます。手に入らない場合は、市販のブルーチーズでも美味しくできます。
※ミックスナッツは、アーモンド、カシューナッツ、くるみなど3種類程度入ったものがおすすめ。チーズ自体に塩気があるので無塩のものを選んで下さい。
※はちみつをかけて食べるとまろやかになり、おすすめです。
※チーズは形状が崩れやすいので室温に戻し過ぎないようにしてください。

つくりかた:

1.メロンを四角くカットしたものを12個用意する。(12-15g程度のサイズ)

2.ロックフォールを崩れないよう丸く成形し、お皿中央にのせる。

3.2.のまわりに1.を囲うように並べる。

4.3.の外側にミックスナッツを囲うように並べる。

5.2.の上にレーズンを適量飾り、完成。


レシピ考案にご協力くださったお店:

Fromagerie Alpage
チーズ専門店 アルパージュ

https://alpage.co.jp/www/
〒162-0825 東京都新宿区神楽坂6-22
tel  03-5225-3315

営業時間 11:00 ~ 19:00(月~木・日祝)
     11:00 ~ 20:00(金・土)
定休日 なし(年末・年始のみ休み)

※新型コロナウイルスの影響で営業時間が変更となっております。
お知らせのページをご確認、
または店舗(03-5225-3315)にお問い合わせください。


text:
Mayuki Tsujihara
(果房 メロンとロマンのディレクターとして働きながら、ライターとして日本の島々や地域で働く方々に取材なども行なっております。好きなメロンはタカミメロン。)


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