スマートフォンの画面の向こうから、聞こえる息遣い。 かちかち、かたかた。 キーボードを叩く音。特に会話もない。時折、思い出したように打ち合わせをするくらい。 それが、なんだか普通なことのように感じられた。 これは、実はそんなに普通ではなく、奇跡なような可能性の上に成り立っている。それは、画面の向こうの相手も、ここで微睡んでいる自分も理解していた。 だから、今はそれに甘えていよう、と思う。 甘えだなんて、おそらく相手は思わないだろうが。 「すろたん」 キーボー