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1994年 SideB-1「嵐が丘(Wuthering Heights)/ケイト・ブッシュ」

Kate Bush作詞・作曲

・「恋のから騒ぎ」(日本テレビ系 1994/4/16~2011/3/25)オープニングテーマ 

 イギリスの天才女性ボーカリスト、ケイト・ブッシュが1978年1月にリリースした驚異のデビュー曲。一度聴いたら忘れられない名曲で、いきなり全英ナンバーワンを獲得した。1958年7月30日生まれのケイト・ブッシュはこのとき19歳であった(ちなみに小説「嵐が丘」を書いたエミリー・ブロンテもケイトの生まれる140年前、1818年の同じ7月30日に生まれている)。

 原作も日本で人気が高い小説だが、ケイト・ブッシュの「嵐が丘」も本国イギリス以上に日本で親しまれている曲だろう。なぜかといえば、西洋のお城のビジュアルをバックに、20年近くにわたって「恋のから騒ぎ」のオープニング曲として使われていたからである。

 「恋のから騒ぎ」は「あっぱれさんま大先生」と「踊る!さんま御殿‼」の中間に位置する明石家さんまのMCとしての代表作の一つで、“10数人のゲストを集めてエピソードトークをさばく”というさんま十八番のスタイルを完成させた番組である。トークテーマを若い女性の恋愛あるあるネタに限定したというのがミソで、これが番組成功の原因であった。しかしそれがスタイルを変えずに17年も続いたというのはやはりある種の奇跡であろう。

 奇跡を支えた要因は何を差し置いてもさんまの天才的な話術によるところが大きいが、もうひとつシェークスピアをもじったタイトルや中世ヨーロッパ的なビジュアルが志向したエセ感あふれるパッケージも、内容の徹底した軽薄さとの対比という点で重要であった。その意味では、1978年の発表当初からすでにある種の古典感を漂わせていたこの曲がずっと変わらずにオープニングを飾って、根本のところで番組のオフビート感を補強し続けていたことも、番組の大きな成功要因のひとつだったかもしれない。

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