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【あきた里みちサイクリング】 ブロンプトンで美郷町の無名サイクリングロードを再訪した件 及びNorth Time Bikewayの話

この日の前半の話はこちら ↓

承前)よみがえる記憶

しばし渓流とたわむれて存分に納涼したわれわれは、クルマを置いた駐車場に戻った。
ふと付近を見渡すと、車道から何やら細い道が岐れているのに気がついた。繁茂した雑草に埋もれてよく見えないが、何やらサイクリングロードのような雰囲気だ。

Googleストビューのスクショですみません

ここでわたしの古い記憶が一気によみがえった。
もう十数年前、わたしはこの辺りにつくられたサイクリングロードのような道を南からたどって走ってきて、その道が行き着いた先がこの公園だったのだ。
その時はここから先は林道になってどんどん山奥に入っていくようだったので、そこで断念して引き返したのだが、そうだここはあの公園だったのか。あのとき進入を見合わせた林道がいま渓流に行って戻った道だったのだ。

その時も地図にも出ていない無名のサイクリングロードで、しかし山裾を縫って走る沿道の風景はどこかヨーロッパを思わせるものがあり、たいへんにいい道であるという印象を受けたことを覚えている。
その後月日が経つにつれその道はどのあたりにあったのかはっきりとは思い出せなくなり、横手盆地の北のほう、どこか角館の近くあたりとだけおぼろげに記憶していたのだ。
しかし今日この場ですべて思い出した。そうだここだったのだ。

それにしても、クルマは入れないほどの細い舗装路はどう見てもサイクリングロードとして作られたものだったのだが、正体は何だったのか。
付近に立てられた案内板に答えがあった。

これはかつて平成初期に東北各県で一斉に整備された「新・奥の細道 東北自然歩道」の一部だったのだ。
そのコンセプトはヨーロッパのフットパスに史跡名所を加えたようなもので、交通の少ない市町村道や林道を選んだウォーキングルートが整備されたのだった。
既存の道路のほか、ここのように新たに専用道を作ったところもあった。当時はバブルの残り火でどこもお金が潤沢にあったからそんなこともできたのである。
今もなお各県のウェブサイトにおざなりな感じで掲載されてはいるが*、もっぱら忘れ去られたものも少なくない。

無名CRを走る

せっかく思い出したことだし、今日はあんまり距離を走ってないしで、かつてヨーロッパを想起させたこの道をふたたび走ってみることにした。
雑草をかき分けて行くとほどなく視界が開け、道は木立の中に伸びていく。入り口付近以外は沿道の刈払いがなされており、今も地元の人に利用されていることが窺えた。健康増進のためのウォーキングか、児童生徒の通学用か。

道は盆地の端の山裾をなぞって走り、多くの部分に木陰があって夏の今日のような日も走りやすい。

バブル期に立てられてそのままと思しき標識、文字もかすれ判読が困難だが忘れられた道のりを今も示し続ける。

専用道は大台スキー場を経て、温泉施設である奥羽山荘まで続く。
途中の路面は苔むして滑り易かったり、木の根っこが舗装を押し上げて盛り上がったりして荒れている箇所もあり、注意が必要だ。

ワイルドな区間

車道に並行し、近くに人家もなく歩くひとなど想定できないような区間にもわざわざ専用道が作られているところにバブルみを感じる。今だったらせいぜい路肩に青い線を引いて済ますところだろう。

妻氏は車道の方がラクだと言って復路はCRを回避し車道で帰った。

標識によれば出発点の公園から奥羽山荘までは片道10kmちょっとだった。

North Time Bikeway

折り返しの奥羽山荘内の公園に休憩のため立ち寄ったところ、こんなロゴの看板を見つけた。

North Time Bikeway。他になんの説明もない。
Timeを修飾するんならnorthernじゃないのかと突っ込みつつあとで調べてみたところ、横手盆地の北半分の自治体が合同企画したサイクリングルートのサイトが出てきた。

Webサイトの造りはなんか外人モデル使ったり、日英台韓の4ヶ国語揃えてたりで、その気合いの入りように驚かされる。しかしその割には最終更新が2019年で途絶えており、コ口ナ禍で力尽きてしまったことが推察される。これも第二の東北自然歩道にならなければいいが。

そういえば近年、ほど近い美郷町にモンベルの店舗が出来て、なんでまたこんなところにと思ったが、この企画やサイトの妙なあか抜け具合は、モンベルの関与が推察される。

このサイト中に掲載されたルートを閲覧すると、そのひとつがこの付近を通っていることを発見した。といっても並行する広域農道「みずほの里ロード」を走るよう設定されており、いま走ってきた謎のサイクリングロードは無視されている。
結局この専用道はこの先も無名のまま存在し続けるのであろうか。おそらくは地元住民の篤志でなされているあろう現在の整備に加えて、行政当局による保守を期待したいところだ。

美郷町に泊まるというオプション

このコースにほど近い旧太田町には奥羽山荘のほか、古民家貸切の民泊施設もある。風呂は無くて近隣の温泉を利用するようになっている。ここに泊まって周囲のサイクリングを楽しむのも風流であろう。

加えて温泉といえば、奥羽山荘から南に10kmあまりの旧千畑町にも温泉宿泊施設がある

千畑からさらに5km南の旧六郷町には、わたしも何度か泊まったコテージ一軒貸切の宿六郷温泉あったか山もある。
このあたりは地味に温泉密度が高いことにおどろかされる。

前回そこに泊まって遊んだ時の話↓

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