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岩手・住田町 世田米に滞在した件
釜石に数日通う用事があったのだが、敢えて釜石には泊まらず、ふと思い立って遠野から約30km南に位置する住田町の宿に滞在して通うこととなった。
住田町、10年以上前にクルマで通り過ぎていいところだな思って以来記憶に残っていた。
泊まったのは今回が初めてだったのだが、中心地世田米(せたまい)の鄙びた佇まいに加えて、周辺の町や山河の醸し出す風情など、知られざる魅力を持った街であることを知った。
世田米
世田米は遠野と陸前高田を結ぶ街道の要衝であり、古くから宿場町として栄えてきた。
かの柳田邦夫もその街道の道筋を徒歩旅行して立ち寄った際、
「それにしても世田米は感じのいい街であった」
と評した文を残している。どんな文章を受けての「それにしても」なのか気になるが知るすべはない。川沿いにはこの文言を記した石碑がある。
外部とを結ぶ公共交通も今では1日1便の盛岡行きのバスのみとなるなど、すっかり忘れ去られた感のある街だが、またそこがいい。
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街の目抜き通りには古い商家や昭和の看板建築が随所に残る。
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その中の一軒はリノベーションを施され道の駅的施設+カフェ「まちや世田米駅」として営業している。
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通りの一本裏には気仙川が流れる。
かつて物資の集積中継で栄えた当時に建てられた蔵が残って建ち並ぶ風景がよい。
柳田邦夫の気持ちがわかる。其れにしても。
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戦前に造られた昭和橋は戦時中に米軍機の機銃掃射の跡も残る歴史の証人。
クルマのすれ違いができないほど狭い、味のある造りだが、われわれが訪れたちょうど次の日から解体工事が始まるとのことだった。最後の日にゆっくり風情を味わうことができたのは僥倖であった。
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南部屋食堂
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Googleで高評価なので立ち寄ってみた食堂、南部屋。
昭和の時間が凍結したかのような店内に和む。
評判のいいカツ丼を頼む。精肉店兼業とあってカツはさすがのうまさ。汁だくでおいしい。
まだ若い店主夫妻が切り盛りする店内、中で食べている客はこのときぼくたちだけだったが、出前や持ち帰りの客が多いようで、そこそこ繁盛しているようであった。こういう店は末長く続いてほしいし、「孤独のグルメ」で五郎ちゃんにカツ丼食ってほしい。
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世田米の宿
全国チェーンのホテルがないような小さな町によくある、結婚式場も会合も仕出しも兼業している宿だ。町はずれの国道沿いにある。
本家というか母体は世田米の中心部の老舗旅館。
ツインの部屋は広くてよかった。
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