Chet Baker Trio – Live In Paris: The Radio France Recordings 1983-1984


えっえっ、未発表ライヴだ。

ピアノはチェットの晩年の相棒では最高のひとりミシェル・グレイエ。ベースは同じく常連のリカルド・デルフラ。グレイエとデルフラは1986年初来日トリオと同じメンツだ。数曲トラでドミニク・ルメルル(Lemerle)という無名の若手が弾いている。

没後にわりと節操なく出されたライヴ録音の数々はとかく玉石混淆だ。
チェットがやる気なかったり体調ゲロゲロだったりであんまり吹いてなかったり、ジャズライヴを良く知らないアホ客が場違いに盛り上がってイエーとかウヒョーとかうるさかったり、普通に音質が悪かったりと、いろいろハズレ盤がある。
とりわけ1曲の演奏時間が無駄に長いアルバムは、チェットがやる気ない分バックがソロ回しで水増ししてることが少なくないので要注意だ。
このライブも演奏時間は長い。のっけから15分前後が続く。最短で9分、最長が19分。プログレか。チェットのプレイはまあヤル気度は5分の3ぐらい、やや冗長な感じ。バラードで15分とかはさすがに寝る。チェットのリックを延々と聴いていればしあわせというわたしのようなファンはいいのだけれど。
エヴァンス仕草のグレイエの演奏はしかし、メリハリが効いていて好ましい。やはり長いんだけど。

曲目はこの年代のレパートリーの定番だが、イージーリビングはわたしの知る限り50年代に吹き込んで以来の演奏で、この後も演奏してないんじゃないか。その点だけでも聴く価値はある。

放送音源ぽいので音質はいい。
フィジカルでは LP3枚組だけのリリースだが、Discogs見るとLPのノイズやパチパチがひどくて!という怒りの声に溢れているもよう。
幸いにしてサブスクではパチパチ無しの音で聴くことができる。

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