チェット・ベイカーの名盤とは何でしょう

サブスクの隆盛でチェット・ベイカーのアルバムもその多くが手軽に聴けるようになった(ちなみにAmazonもアップルもSpotifyも内容はほぼ同じである)。

30年来のファンであるわたしもこれまで集めたアルバムにサブスクを合わせるとディスコグラフィーのほとんどを聴けるようになった。ありがたいことである。

しかしだからと言ってサブスクでチェット聴こうと行ってみると、そこにはわけのわからないオムニバスや勝手に編集した謎盤で埋め尽くされているのが現状だ。ジャケが若い頃の写真なのに晩年の音源が入ってたり、その逆もありだったりもうめちゃくちゃである。もはやいったいどれがオリジナルアルバムなのかわからない、ていうか埋もれてしまっている(他のビッグネーム、コルトレーンやマイルスもそんな感じ)。

そこでわたしは、チェットのちゃんとしたアルバムを聴きたい迷える子羊のみなさんを正しく導くため、正しいオリジナルアルバムで、なおかつよいものを上げていこうと思う。

若い頃の、ウェストコーストジャズの貴公子たる溌剌としたプレイももちろんいいのだけど、わたしがチェットの音楽を愛する理由は、ブルージーで枯れたトランペットソロと、あのヴォイス(歌とスキャット)なのである。であるから選ぶのはおもに70年代以降、とくに80年代から88年の死に至るまでに録音されたアルバムからとなる。

その時代のチェットの活動と録音は大きく分けると
・ミシェル・グレイエ(pf)とのトリオもしくはカルテット
・ハロルド・ダンコ(pf)との上に同じく
・フィリップ・カテリーン(gt)とベーシストのトリオ
・ニコラ・スティロ(fl)が仕切る各種編成
・その他(エンリコ・ピエラヌンツィ、フィル・マーコウィッツ、デューク・ジョーダンなどのピアニストが絡んだものは概して良作。)
となる。
加えて、ヨーロッパ各地で録音した音源が主である。
アメリカ(別居の妻子が住む)に里帰りした際の録音も結構あるが、それは軒並み、馴染みのないメンツとやったせいか、はたまたクスリの入手がままならなかったせいか、あんまりいいのがない。(つづく)


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