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オリコン合算シングルチャートについて考える
オリコンは現在、上記サイトに掲載された集計方法に基づいた合算シングルチャートを毎週発表しています。集計方法を開示していないビルボードジャパンのHOT 100との比較検証対象として有効なチャートですが、いくつかの問題を含んでいます。よく言われているのは、「オリコン合算シングルチャートはCDシングルのウェイトが高すぎる」というものですが、初登場週に10万枚以上売り上げる特性をもったアーティストがいない週であれば、ほぼビルボードと一致したランキング順位になることを考えると真の問題は別のところにあるように私は考えています。そして、オリコン合算チャートを読む際にはその問題があることを念頭に置いておく必要があると思います。
私見ではオリコン合算シングルチャートには大別して三つの問題があります。
一つは配信限定シングルの売り上げが過小評価されること。上記サイトから引用すると
(1)収録曲を1曲単位で購入した場合
単曲DL数の合計を2.5で割った値を換算売上ポイントに加えます。
の部分。シングルCDがリリースされることを前提としたチャート設計となっているため、1曲ずつ配信されシングルCDのリリースがない作品(YOASOBI「夜に駆ける」など)、シングルCDも発売されるものの表題曲とそのカラオケの2曲しか収録されないもの(Official髭男dismの「I LOVE…」など)は、配信売り上げを2.5で割られると著しく不利となってしまいます。
合算ランキングではCD作品をベースに、同一作品を紐づけて集計します。CD売上枚数・DL数・再生数は各々の基準に照らしポイント化されます。これを合計したものを換算売上ポイントとし、合算ランキングの集計単位とします。
※紐づけるCD作品がない場合は、単曲またはデジタル作品としてランクインします。 (例:配信限定・先行配信などの作品)
二つ目は、一つ目と深く関連しますが、配信で先行販売された曲がCDシングルのカップリング曲として収録された場合、CDシングル売り上げにカップリングの累計換算売上ポイントが合算されてしまうため、ランキングからその曲が消滅する問題です。その典型的なものはNiziUの「Make you happy」。「Step and a step」のCDがリリースされる直前まではチャートに単独で存在していた「Make you happy」が「Step and a step」CDリリースと同時に消滅してしまいます。このようなことをされると、チャートを時系列的に追いかけることが不可能になってしまいます。
一つ目と二つ目はどちらも、シングルはCDでリリースされるべきという現在の市場ではまったく通用しないことを前提条件にしていることに真因がありますが、解せないのは、そんなことはチャートのプロのオリコンなら素人に指摘されるまでもなく認識済みであるはずだということ。それでもあえてこんな不完全な集計方法にしているのは、音楽業界そのものに問題があるのだろうと予想しています。だから私は、この種の問題でオリコン批判が生じるたびに、オリコンだけをたたいても意味がなく原因はもっと上層部にあるのだろうから、といつも思っています。
三つ目の問題は、全国推定売上のフィジカルと一部しか網羅していないデジタルセールスの実数を合算していること(これはビルボードもオリコンも同様)。特にオリコンはサブスク最大手のSpotifyのストリーミング再生数を集計していない分だけ、実ストリーミング総数よりも少ない数しかカバーできていないのに、未集計部分を推定補完せずにそのままフィジカルと合算するのはおかしいです。できるだけデジタルセールスのポイントを小さくしたいのかと邪推されてもしかたがないです。フィジカルを推定売上にするならデジタルも同様にしないと不公平です。
これらはすべてチャートマニア上級者にとっては既知の内容だと思いますが、何かの役に立てればと思い、備忘録としてnoteに残しておくことにしました。
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