教科書のない授業-図画工作

こんにちは。引き続き、教育実習で経験した内容を記事にしていきます。今日、話のネタにするのは図画工作、いわゆるアートのクラスです

私が小学校の頃は図画工作の授業にも教科書がありました。オーストラリアの公立の小学校にはそれがない。アートという幅広いテーマで授業を組み立て子供達に教材を与える先生には脱帽でした。

今回、先生が与えたテーマは小さなテラコッタ様なツボの作成。

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手のひらサイズのツボにパターンを描き色をつけていくという課題。パターンのサンプルは、ホワイトボードに貼り出されているコピー。スパイラル、ダイヤ柄、三角、ドットなど。パターンを先ず鉛筆で描いてそれから色塗り作業に入ります。色塗りをするにあたって先生が注意した事は黒は滲んでしまうのでなるべく最後に使う様に。

もちろん、作業過程は生徒さまざまで。まず全体のパターンを描く子と少しパターンを描いたら、試しに色塗りをしだす子。ここで一人とんでもないミスをやらかす子がいました。

パターンは鉛筆で描くように言われてましたが黒のマーカーで描き出す子がいたのです。仮にヘンリーとします。黒のマーカーは滲みやすいので使わない方がいいって先生言ってたよ、と近づいてみるも「うん、うん」と聞いている様で聞いていない様子。私も諦めてそのまま放置してしまいました。

そこへ先生がやってきて、「ヘンリー、あなたはちゃんと先生の言う事を聞いてたんですか?」ここで一旦作業を停止して鉛筆に切り替えるものの気がついたらまた黒のマーカーを使っているのです。多分、はっきり線を描きたかったのでしょう。そのうち、黒いマーカーのインクが滲み出し、苛立ってしまったヘンリーは、壺全体を真っ黒にしてしまいました

カラフルな壺が完成するはずが真っ黒の壺。先生が気を利かせて、金色の絵の具を持ってきてくれました。黒く塗り潰された壺に金色のパターンを描き入れたヘンリー。彼の壺はそうやって完成しました。お陰でカラフルな壺が並ぶ中一つだけ黒に金の壺が一つ。これはこれで、芸術的でした。

アートの授業は、人間観祭が面白い。一人一人の作業過程を見て退屈しない時間となりました。





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