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【ドラマ】2024年4月期

こんにちは。
たくあんこです。
今夏はパリオリンピックがあるとのことで、少し早めに夏期のドラマのオンエアが始まってきていますが、前クールに見たドラマのレビューをしていきたいと思います。

今回視聴した春期ドラマはこの4つです。
・アンメット ある脳外科医の日記
・くるり〜誰が私と恋をした?〜
・9ボーダー
・アンチヒーロー

○アンメット ある脳外科医の日記
まずはアンメット。月曜10時に放送されたカンテレ制作のドラマです。多くを語らずとも、とにかく傑作、大傑作でした。
脳に記憶障害を抱える脳外科医のミヤビが、同様に脳に疾患や障害を抱えるさまざまな患者と関わる中で、医者としての自分を見つめ直していく物語。

当事者であるからこそ患者へ伝えられるメッセージ、与えられる力があり、そして彼女が当事者だからこそ患者の姿から教わることも多く、そうした相互の循環の中で、ミヤビが自身の生き方を改めて模索していくさまが、まずとても美しかったです。
また、「アンメット」、すなわち満たされない、照らしきれないという「光」が抱える矛盾に対して、ミヤビや三瓶先生ら登場人物が紡ぐ日々の営みを通じ、互いが「光」を宿し照らしあうことで「影」は消すことができるのだ、とドラマとしてのアンサーを提示し、この主題を力強く描き切った製作陣の手腕と胆力にも拍手を送らざるを得ません。

また、星前先生の噛んだ演技が話題になりましたが、杉咲花・若葉竜也を筆頭に彼らが織りなす「演技」を感じさせない演技も圧巻でした。綾野先生と三瓶先生の手の演技、9話最後の長回しシーン、10話での大迫教授の部屋での4者会談(個人的には、三瓶先生と大迫教授が「らしさ」全開に投合するシーンのあとの綾野先生・星前先生の表情がこのドラマで1番好きなシーンです)など、名シーンは枚挙にいとまがありません。
演出面でも、手術シーンでは特に顕著でしたが、余計な音は使わず、また、失敗やトラブルといった必要以上に劇的な展開にも頼らない描き方が終始徹底されていました。
一方で、ミヤビが倒れるシーンに合わせて主題歌の音源を加工したり、グミの伏線もそうですが、ここぞの場面では大胆なことをしてくる、そのバランス感覚も絶妙で本当に素晴らしかったです。

近年のドラマでは1、2を争う、テレビドラマ史にも名を残すような、屈指の名作となりました。
見れてよかった!!

◯くるり〜誰が私と恋をした?〜
火曜10時、TBSの王道ラブコメ枠です。
主演にはめるるを抜擢。
めるるは「日曜の夜くらいは」「セクシー田中さん」での演技が想像以上に素晴らしく、ついにとうとう主演に抜擢されたかと個人的には非常に期待大の作品でした。
ただ、ストーリーはしっかりとラブコメの様子で相手方のキャストもうち2人が若手と、第1話は正直不安を感じながらの視聴となりました。

ですがその1話、思った以上によかった。
恋愛ドラマであり、お仕事ドラマでもあり、サスペンス要素もある。
そしてなにより、まことがまこと自身と向き合い「自分」を探すという、彼女の変化と成長が軸にある物語でした。

本作を通じて、めるるは、めるる自身がその役と本当に生きているように演技をする、吉高由里子のようなタイプの役者になっていくのかなと感じました。
そしてなにより、瀬戸康史を好演がこの作品の土台となり支え続けたのは言うまでもありません。
また、気づけばなぜか応援してしまう律のまことへのまっすぐな恋心と、その切ない終わりも物語を非常に盛り上げてくれました。

山あり谷ありありつつも、最後には多幸感あふれる火曜10時に相応しい作品でした。

◯9ボーダー
名作揃いのTBS制作金10枠で放送された本作でしたが、個人的には2度ほど離脱しかけたもののなぜか毎度戻ってくることができた、不思議な魅力をもった作品でした。

1話あたりではコウタロウがあまりに甘々でちょっと心配になったのですが、中盤からは彼の優しさ・甘さ加減がほどよく調整されたおかげで、かなり見やすくなりました。
個人的には三女のハ海と陽太の関係が見ていて一番応援したくなりましたね。

自分と少し合わなかった点としては、主要キャストが途中から増える展開が続いてしまったことが挙げられるでしょうか。
これはもう好みだと思いますが、私はどうやらそうした構成があまり好きではないようです。

出会いと別れを通じて一皮ずつ剥けていく9ボーダーの三姉妹が愛おしく、いっしょに応援したくなる、幅広い世代が共感することのできるドラマでした。

◯アンチヒーロー
伝統のTBS日9日曜劇場枠。
こちらの作品も非常によかったですねえ。
開始当初は、型破りなやり方で真実を暴く弁護士か?と思いきや、1話の終わりでまさかの確信犯的に真犯人を無実にしていることがわかる。
題の通りのアンチヒーロー、ダークヒーローを描いたドラマでしたが、この作品の肝は「有罪の人間を無実にしたという行為が必要悪だったと納得できるよう、視聴者に届けることができるのか?」という点だったと思います。

似たような例として、こちらも日曜劇場、昨年度10月期放送の下剋上球児があげられます。
こちらは大人が罪と向き合い、再生するさまを描いた物語でしたが、鈴木亮平演じる南雲先生が犯した罪に対して展開が軽すぎる、そして1クールで一気に3年間を描いたことから、その非対称さにうまく説明をつけることができないまま、物語が終わってしまいました。
今回も似たようなことが起こらないか…1話を見たときに少し心配な気持ちになったのですが、結論から言えばこれは全くの杞憂に終わりました。

あるひとつの事件、その真相を明らかにすることに心血を注ぎ、持てる全ての手段をもってして権力へと立ち向かう、そしてその過程で自身が犯した罪からも逃げることなく、むしろそれさえも利用しながら、人生を懸けて戦いへ挑む明墨先生の姿に、私たちも赤峰先生や紫ノ宮先生同様感化されるほかありませんでした。

極めて挑戦的な企みを見事にやってのけた、素晴らしい作品だったと思います。

〈番外編〉
・エルピスー希望、あるいは災いー
Netflixで見ました。
話ごとに視点が交替しながら、かなりボリューミーな語りとともに展開していく、どこか小説のような作品でした。
特に眞栄田郷敦くんが自身のトラウマを直視し、心が壊れていくさまは、うまく説明できないのですがいい意味でどこかドラマ的ではなく新鮮で、眞栄田くんの好演も非常に光る良作でした。

ひとつの冤罪がこの国に潜む大きな闇を露わにする引き金となってしまう、その過程で降りかかるあり得ないほどの圧力と、それでも屈しない彼らの勇敢さとならばこそ得られた大きな成果、そしてそれでも全てを明らかにすることはできないという虚しさもあり、ハラハラドキドキで続きが気になって仕方ない作品でした。
一気見でよかった!

以上、
今期は非常に良作が多かったと感じています!
次クールではどんな作品が見られるのか、非常に楽しみです。

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