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夜露の分だけ宝物が増えた。

ちいさなひとがムスカリの茂みで丸くなって眠っていた。女の子がいくら呼んでも眠っていた。ちいさなひとは音楽を夢みていた。白いチューリップは頬を染めて海に憧れていた。ほのかな潮風が春をほどいた。ちいさなひとのポケットの中で夜露の分だけ宝物が増えた。

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眠れない夜に

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