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短いおはなし7

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2019年7月の記事一覧

気高い反抗。

気高い反抗。



きゅうりの終わりかけた蔦をはわせる紐に、父が朝顔の蔦をはわせていた。暑いとき、寒いとき、疲れているとき、トラブルがあるとき、花を絶やさないことをいつ学んだのだろう。わたしはいま学んでいる。ちいさな営みの豊かさは大きな声では語られない。そしてそれは現実の残酷さに気高く反抗する。

お別れはゼロになること?

お別れはゼロになること?

お別れはゼロになること?
子ぐまが訊いた。 #お洒落なオカマのキツネ が答えた。
別れてゼロになるようなもんは
出会いですらないわ。
出会いは、天文学的幸運なの。
別れたくらいで価値は
なくならない。
あとはあんたが
その出会いを穢すか誇りにするか。

いのちの続く間のゲーム

いのちの続く間のゲーム

子ぐまが訊いた。落ち込む、傷つく、うらやむ。そうゆうの、いつかなくなる?#お洒落なオカマのキツネ が答えた。あたしたちね、いのちの続く間、落胆や欠落や嫉妬をどう気づきや燃料にできるか、っていうゲームをしてんのよ。落胆や欠落や嫉妬は無くなるものじゃない。ただのスタートラインよ。

わたしをかたちづくるもの。

わたしをかたちづくるもの。


#お洒落なオカマのキツネ が子ぐまに言った。あたしさ、このまま、間違って、失敗して、笑われて、進もうと思うの。気になるし、すぐ自信なくなるし、怖くなる。だから、自分への疑心よりも速い速度で進もうと思うの。間違いという事実じゃなくて、前進という事実があたしをかたちづくると思うから。

くたくたでギリギリ。

くたくたでギリギリ。



‪キツネは思った。くたくたでギリギリだ。余裕なんてない。正しくもきれいでもない。おれみたいなのが、政治に意見したり、花を買ったりしてはいけない。なんの言葉も入ってこない。おれは空車の駐車場だ。きっと疲れてるんだ。縮こまって眠ろう。森の夢を見れるといいな。森の奥の花屋の夢を。せめて。‬