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2019年3月の記事一覧
傷だらけで生きなさいな。
名言ってなに?子ぐまが訊いた。#お洒落なオカマのキツネ が答えた。自分がみじめなことにたえられないひとの言い訳よ。雨に洗われ、風に芽吹く花たちに名言が必要だと思う?感動してもどうせ飽きたり重荷になったりするでしょ。間違いだらけで傷だらけで生きなさいな。人生、笑えて泣けて面白いから。
あなたはわたしの庭。
年老いた少年がなくなる間際の年老いた少女に言った。きみの好きな庭のある家を手に入れられなくてごめん。年老いた少女が言った。あなたはわたしの好きなお庭だったわ。いまもね。好きなお庭の花と草に囲まれて、すこし眠るね。ありがとうね。
密かな萌芽。
手痛い傷を負ったキツネは思った。さてと。こっからだな。おれはこの傷を、経験と豊かさに変えることができる。感謝に変えることができる。おれはおれの新しい今日をより良く生きることができる。おれについてなんとでも言えばいい。おれの密かな萌芽の悦びを感じられるのはおれだけなのだから。
重い鞄とする旅。
キツネは、冷たい朝の丘陵のプラットホームで、行き先のわからない電車を待ちながら思った。さてと。おれのこのカバンは、すれ違い、間違い、失意、虚無、自己嫌悪なんかで、ずっしりと重い。そしておれはこの重いカバンを持って旅を続けてゆくのが好きだ。とてもおれらしい旅をしてる、と思うんだ。
だからいま救いはいりません。
神様が言った。君を救うよ。クマが答えた。ありがとうございます。でもごめんなさい。救われたり、安心したり、幸せになったり、するよりも、失っても、傷ついても、無駄でも、笑われても、あー面白く生きた、やれることは全部やった、と思いたいんです。だからいま救いはいりません。ごめんなさい。
死でその人生まで悲しむべきじゃない。
死は悲しい?子ぐまが訊いた。#お洒落なオカマのキツネ が答えた。悲しいわね、お別れだから。でも、よく覚えておいて。
死は悲しいけど、
生きて来た時間は悲しくない。
確かにあった、あたたかさ、静けさ、親密さ。死は一要素なの。死でその人生まで、生きた時間まで、悲しむべきじゃないわ。
コトリの名前。
嫌なことをしたり、言ったりするひとはなぜするの?子ぐまが訊いた。クマが答えた。さみしいからだよ。さ、花を飾り、蝋燭を灯し、手触りのいいテーブルクロスで、そのすべてに感謝しながら夕飯にしよう。そして、ぼくらにもあるさみしさを慈しみながら、きれいなコトリに名前を考えよう。
3月8日ミモザの日
3月8日ミモザの日
club roots pink elephant
melancolia storytelling
セットリスト
エルスール
風の吹くパノラマ
すこしちがう幸せのかたち
わからないことばでうたわれるうた
みずぎわ
吹雪をゆくカンテラ
潮と砂のカーテン
森の子どもらの神話
イヴァンカ
星の原野
winterlon
花の通りにうたうのさ。
子ぐまが言った。ぼくは音楽を知らないし、うたも下手で恥ずかしいよ。クマが言った。うたはね、庭の花が楽譜だよ。庭の花の通りにうたうのさ。大事なのは気持ちをほどいて、その朝の光と季節の空気に溶け込むようにうたうこと。音楽は知るものじゃない。溶け込むもの。庭も君も最初から音楽だから。
打ちのめされているくらいがちょうどいい。
キツネは誰に言うでもなく思った。おれなんかはこんなふうに打ちのめされてた方がいい。ちやほやされでもしてたら、すぐに舞い上がるから。打ちのめされてたら、這い上がるだけだから簡単だ。ぐらぐらした高みで未来に怯えることもない。ここなら未来には、希望しかないから。
表現は喪失へのカウンター。
雨の葬儀。ひとが死ぬとかかわった時間も持ってかれるように感じる。無かったことだ、結局たどり着くのは冷たい雨の虚無だ、とささやかれる。そしてわたしの表現には血が通う。奪われたすべてのものへのカウンターが表現だ。虚無が逃げだすあたたかい血のメロディとことばを。生きている証を。