マガジンのカバー画像

短いおはなし7

1,036
運営しているクリエイター

2018年9月の記事一覧

口笛教室。

口笛教室。



老クマは、週に2回ジムへ行き、マイペースでたっぷり泳ぎ、週末は口笛教室に通っていた。先日はジムの後、少し気になったので、心療内科へ行き、鬱かもしれません、と先生に言ったら、自分が鬱だなんて信じないっというひとがたいがい鬱なんですけどね。。と言われた。口笛教室の発表会が近い。

いまは進む時。

いまは進む時。



近寄るとふたりはこんなことをささやいていた。いまは進む時です。不幸の理由付けもせず。欠陥の洗い出しもせず。ひたすら進むのです。頭は使わず手で花を植え足で遠くまで行きなさい。頭の良い人達があなたを笑うでしょう。でもあなたは手元の花と足の疲れだけを豊かに感じていればいいのです。

ふと、隣にいる。

ふと、隣にいる。

‪「あなたは、つらく悲しいことをどんどん紐付けて考えてしまう。いいことは紐付かないのに、つらいことはとめどなく思い出せる。過去がすべて悪夢に塗り替わる。ふと、あなたの隣にわたしはいる。わたしはスイーツセットをたいらげてあなたに言う。さ、生きるわよ、あなたの悪夢を。」#魔女の帰郷‬

出会いに罪はないのだから。

出会いに罪はないのだから。

‪キツネは思った。おれは偉そうに普通に生きているふりをして、当たり前のやってはいけないことをして誰かを傷つけてしまう。だからこんな罰を受けているんだろうな。つらくても逃げてはだめだな。出会いに罪はないのだから。‬

月の幌馬車。

月の幌馬車。

‪月の幌馬車がお迎えに来た。キツネは言った。でもまだなにもやってない。大角鹿が言った。そんなものですよあなたは。キツネは逃げた。闇から闇へ。泥から泥へ。息がきれて泥の中で思った。おれはこんなものかな。追って来る大角鹿の足音が聞こえた。キツネは息を整え、泥をかき分け闇の中へ消えた。‬

みんながきみになにかを伝えようとしている。

みんながきみになにかを伝えようとしている。



クマが子ぐまに言った。身体の具合の悪さは、休んだ方がいいよ、って言ってる。不運は、幸運に感謝しよう、って言ってる。みんながきみに何かを伝えようとしている。泣いていると聞こえないよ。それから。花は、この世界に生まれておめでとう、ってきみに言ってる。

すべて失くすと。

すべて失くすと。

‪「すべて失くすと手に入る。ひとりになると出会う。遠くまでいくと近く感じる。闇の色彩。無音の響き。幻想の確かさ。空白の豊かさ。1秒の永遠。ひと部屋の無限。欠落という個性。困難という幸せ。濁という清。嵐の静けさ。囁きの叫び。死という生。いくつ気づけた?生きる面白さに。」‬
‪#魔女の帰郷‬

時間をかける豊かさ。

時間をかける豊かさ。

‪キツネが言った。いい映画があって本があって展示があって、でもおれはそれを追いかけるだけ。クマが言った。時間がかかるんだ庭みたいに。きみが触れたもの、傷ついたこと、全部時間をかけて血肉化してゆく。それが10年後とかにふとしたきみのやさしさになる。生きるって時間をかける豊かささ。‬

もう美しさのことしかきみに話すことがなくなってしまったよ。

もう美しさのことしかきみに話すことがなくなってしまったよ。



もう美しさのことしか
きみに話すことが
なくなってしまったよ。
#lumos

進化はあまりに苦々しくて気づかない。

進化はあまりに苦々しくて気づかない。

キツネが言った。失敗した。傷ついた。傷つけた。失った。おれの人生は荒地のようだよ。クマが言った。進化している。痛い目にあったら回避するようになる。失ったらすこしやさしくなる。進化はあまりに苦々しくて気づかない。大したなぐさめにもならない。でもいつも少しの苦い進化がきみの中に。

眠る前になでる本。

眠る前になでる本。

‪眠る前になでる本。一冊目について。昨日までのオーダー分と店頭在庫分を最後とし、これまでの仕様としての生産を終了させていただきます。手に入れていただいた方、ほんとうにありがとうございます。可愛いがってあげてくださいませ。‬

お知らせ。

お知らせ。



魔女の帰郷 発売にともなう
展示とライブのお知らせです。
東京 展示 @SchnurrWarz さま
大阪 展示とライブ
@otomeya_info さま
湘南 展示とライブ
ちがやカフェさま

初の関西ライブは
11月18日日曜日14時から
乙女屋さまにて。
空間最高なのですごく嬉しい。
関西のみなさま、結界つくりましょう。 #魔女の帰郷

結界をつくる。

結界をつくる。



結界をつくる。
世界の中に。
部屋の中に。
枕もとに。
いままでつらかったよね。
これからもっとつらいよね。
でも大丈夫。
ここが結界。
これがお守り。 #魔女の帰郷