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さらにいくつものカチューシャから君へ

おもしろいくらいスパッと梅雨が明けて、厳しい夏の暑さがやってきた。すっかり寝室に定着していた物干し竿をベランダに戻し、毎日洗濯物がからっと乾く。その代わりに洗濯物を干すために外に出るほんの数分で汗だくになっちまう。この夏は長い梅雨の反動みたいに暑く感じる。

君は最近、家の中でステージを発見した。
それは寝室の、2つのセミダブルベッドを連結した部分にある。連なったベッドのヘッドの部分がちょうど君が立てるくらいの台になっていて、君はそこに立って歌を披露してくれる。レパートリーも豊富だ。以前からよく歌っていた「ぞうさん」に加え、「きらきらぼし」「ハッピーバースデー」などを独自の振り付きで歌う。「きーらーきーらーひーかーるー」と手を振りながら天井を見上げて歌う姿からは、もう天井を透かして夜空が見えているようにしか思われない。果たして本物の星がどんなだかわかっているのかどうなのか、日毎に覚えていく単語と実物がどのように関連づけられていくものなのかと興味深く思うのである。

しかし本当なら夜だってもう少し外食に出たり、あるいはこの時期なら花火大会にだって行ったりしていたかもしれない。そうすればあれがお星様だよと教えることもできただろうに。
花火大会は早々に中止が決まっていたし、外食なんてほとんど行けない。
相変わらず君が行ける場所は保育園とばあばの家くらいのもので、近所の公園もこの暑さだとためらわれる。
コロナだけでなく、この暑さ。
今年は本当に家で遊んでもらうしかないね。

君だけじゃなく、ぼくもみおさんも外出は本当に最小限。6月は少し気がゆるんで人を招いたり、外食に行ったりもしていたけれど、先月からは再びそういうことを制限することにした。
そろそろ映画館にも行きたいなあと思ってたところで感染者が増えたので、結局は3月に「1917」を観に行ったっきり。
「ストーリーオブマイライフ」とか「はちどり」とか「透明人間」とか、それから特別にリバイバル上映しているジブリ作品だとか、本当に映画館で観たい作品がたくさんあるのだが、いまは我慢我慢。おうちでもたくさん観られる作品はあるので、貯まった録画やNetflixの作品をたくさん見ている。
最近見たものだと、ずっと見よう見ようと思って見てなかった「ペパーミントキャンディ」がやっぱ最高だった。それと見直した「マリッジ・ストーリー」がやっぱりおもしろくてノア・バームバック監督の作品をNetflixで漁っている。2月に引っ越してきてすぐに大型テレビを導入していたのだが、これは正解だった。みおさんのゲームやぼくの映画のためにも欠かせないものになっている。

ぼくは本業はお盆休み中なのだが、副業で細々と動く都合で君は今日も保育園。
まだ1歳児クラスの君はテラスに出したビニールプールで水遊びをしているころだろうか。先月バスタブで滑って溺れて以来、君は風呂に入るのを拒否し、無理やりシャワーだけ浴びさせている。
そもそも暑くなってきてからは嫌がっていたしね。
次に君がお湯につかるのはいったいいつになることやら?

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