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医療者であることを内省する

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医療者として働くうちに、「ふつう」の感覚、「患者」の感覚を忘れていく。時々立ち止まって、「ふつう」であることや「患者」であることを取り戻そう。
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「本当のこと」が言えない患者たち

医療者の仮面を脱いで、一歩アンダーグラウンドに踏み出すと、 「精神科の患者がいかに『本当のこと』を医療者に言えずにいるか」ということを痛切に感じる。 精神科というのは特異な場である。 心を病んで助けを求めるその場は、医療者と患者が共に患者の心にアクセスしようとする試みがなされる。 精神科医や看護師は、患者から「人生」「内面」らしきものを聞き出すことで、その人のことをあたかも深く理解しているような気分にさせられたり、 あるいは、にじみ出る雰囲気や表情や仕草を眺めることで、プロ