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第5話 ホテルのプールはコロニアル 2019年4月のベトナム・ホーチミン旅行記 二日目その4

旅行代理店で予約

結果的に徒歩で旅行代理店が立ち並ぶエリアに到着。

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到着して初めて分かったのだが、ここは昨晩訪れたバックパッカーの聖地、ブイビエン通りであった。騒がしすぎる夜と打って変わり昼は閑散としており、同じ通りとは思えない。典型的なバックパッカー街である。

事前にどの旅行代理店が良いか調べはしたのだが、正直違いがよく分からなかったため、年季が入った大きめの建物に入るお店を選択。
古くから営業しており、規模もそれなりの所であれば外れはないだろう、という単純な理由。

ホーチミンはベトナム最大の都市ではあるが、基本的に商業都市であるため、市内の観光スポットはそこまで多くはない。

加えて公共交通機関は地元民以外には敷居が高いバスと、超長距離移動専門の鉄道しかないため、旅行会社が手配する車やバス以外で周辺の観光スポットまで行くのは非常に難しいという事情がある
(GRABという手もあるが流石に長距離移動は費用が嵩むし、配車アプリの都合上、受けてくれるドライバーを見つけるのは困難)

何となく入った旅行代理店ではあるが、外国人観光客をターゲットにしている商売だけあり、店員はフレンドリー。
明日何処かに日帰り旅行をしたい、と突拍子もない問い合わせを飛び込みでしてくる我々のような不埒な外人への対応も慣れており、スムーズに話が進む。
半日旅行ら、ベトナム戦争時のべトコン陣地跡であるクチトンネル、1日かけられるのであればメコンデルタのジャングルクルーズを店員さんは提案してくれた。

Sと話し合った結果、1日かけるパッケージツアーは時間的に勿体ない気がしたため、半日旅行のクチトンネルを選択。集合場所・時間の説明も丁寧で明瞭会計(一人2000円くらい)と誠実な対応にちょっと感動。パッケージツアーの予約がここまでスムーズに行くとは予想外。良い意味で予想外のことがあると嬉しい。

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ホテルで小休止

その後、一旦ホテルへ戻り暑さが和らぐ夕方まで休憩することに。

東南アジアの日中はまさに酷暑であり、屋外行動を取るのは健康上良くない。夜の行動に確実に差し支える。20代であれば気にせずガンガン旅行を続けていたのだが、流石に30代を迎えた我々にはキツイものがある。

ホテルに戻り、ベットの上でダラダラしつつ、適当にテレビをザッピング。

韓国ドラマやKPOP系の番組が多く、韓国のポップカルチャーが着実にベトナムを席巻していることを認識。また子供向けチャンネルではディズニーや中華系のCGアニメをよく放送していたが残念ながら日本のアニメについてはどこも放送している気配がない。日本は文化戦略でも遅れを取っていることを否が応でも感じさせれた。

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しかし休憩が大事とは言え、異国で何もせずホテルのベットの上で無為な時間を日中過ごし続けるのは一寸勿体ない。

今回泊ったホテルは一応中級ホテルに分類され、屋上にはサウナとプールがある。折角なので異国のホテルでプール、という我々にしてはちょっと贅沢な体験をすることにした。


だがSは2時間近くは休みたい、と主張し完全にベットの上で根っこを張っている。30代の男一人でプールへ行くのはハードルが高いため、Sを説得するも、こういう時のSは絶対首を縦に振らない性格であると重々承知しているため、結局一人でプール & サウナへ。

ベトナムのフィンランド式サウナ

まず最初にサウナへ赴く。サウナ好きとしては異国でサウナを経験できるのは正直嬉しい。

S曰く、高温多湿の熱帯なんて屋外全てサウナ状態なのに態々進んでサウナに入りに行くなんて頭がオカシイ、とのこと。まぁ彼の言うことは間違ってはいない。

でも俺はあのサウナという形式が兎にも角にも好きであり、隙あらば入りたいと常日頃から思っているのだ。これはしょうがない。癖なので


ベトナムのホテルのサウナはどんなものなのか、と興味を掻き立てられる。何となく予想していたが自分以外、誰も人はおらず。中は10人くらいは入れるストーブ付きのちゃんとした木造フィンランド式サウナでビックリ。欧州方面からの外国人観光客も訪れるため、ホテル側も気合入れて作ったのだろう。


しかし残念なことにストーブのスイッチが切られており、サウナ的な暑さが全くない。屋外が十分暑いため、密閉した室内は暑いことは暑いのだが、これはサウナではなく、ただの暑苦しいだけの部屋である。

部屋の外に赤い色のスイッチらしきものがあり、客が勝手に入れて良いものなのか一瞬躊躇したのだが、折角ここまで来たのだから入れるしかないだろう、とスイッチをオン。

サウナ室内に戻ると一応ストーブは起動しているようだが、こちらが期待しているようなサウナを体験できるまでかなり時間がかかりそうであった。

真夏のパーキングエリアの車内のような空間に留まり続けるのは不愉快でしかないため、サウナが完成するまで、プールへと行くことにした。

白人植民地と化したプールへGO

海外旅行でホテルの屋外プールへ行くのは実は初めての体験。今まで泊れれば良いや、という考えで下級ホテルやドミトリーばかり泊ってきたので、大人の階段を登ったようなちょっとした高揚感がある。


サウナからプールへ至る通路はは如何にもなコロニアル様式で造られ、それなりにラグジュアリーな感じになっており、30代の東洋人の大してよい体系ではない男が一人で向ってもよいのか躊躇させられる雰囲気があった。

プールは中心部に大きな楕円形のプール、高台のような所に小型の円形プールがあり、デッキチェアも結構な数置かれていた。サウナと良い、予想以上に立派な造りであり、ホテルオーナーの気概を感じる。

だが予想通り利用者は全員白人。家族連れやら若者グループがキャッキャッしながらプカプカプールに浮かび、グラサンつけた如何にもな白人中年たちがデッキチェアで日光浴をしながら本を読んでいる。コロニアル様式というのもあり、完全に白人の植民地状態。

そこに突如として現れた30代の倭人男性一匹

明らかに浮いた存在である。

だが気後れしてその場を去るのも癪なので、心を無にして白人に占拠された大きなプールへ着水。

気分はまさに仏印進駐。

こちらを一瞥して明らかに不愉快な表情を浮かべする白人たち。こっちが動く度にあらさまに距離を取ろうとすらされる。この種の張り詰めた不快感は英国やフランスで何度も味わったが、慣れることはない。

そもそもここはベトナムであり、そちら様の母国ではない。加えて日本の方が地理的にも近い。排除される言われなんぞない。奴らには何ら大義名分などないのだ。

宿泊料をしっかり払っているこちらにも当然楽しむ権利はあるため、躊躇することなくプールでプカプカ浮かぶ。

だが一人で白人植民地と化したプールにいても特に何も楽しくない

何もせず休むにしても険悪な雰囲気の状態では安らぐことなどできない。20分ほどで耐えられなくなり、結局すごすごと退散。情けない話である。

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結局寝るより他ない


サウナに戻る。20分経てばサウナは完全に稼働しているだろうと当然思っていたのだが、相変わらずパーキングエリアの自動車状態。

全然サウナになっていない。

どうやら清掃員の人間がスイッチを切ってしまったらしい。
ここでサウナを楽しむにはスイッチを入れて完全に室内がサウナ状態になるまで中で数十分待たなければいけないらしい。

それはちょっとシンドイ。結局サウナも諦めて部屋に戻る。


部屋ではSは完全に寝ていた。件の植民地プールの愚痴を言いたかったのだが、寝た子を起こす訳にはいかないので、こちらもタイマーをつけて寝る。陽が落ちかける夕方まで大人しく英気を養う他我々には選択肢はなかった。

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