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Marketo(マルケト)はあなたにとって必要か?できることは何なのか?

Marketo(マルケト)という高機能で巨大なマーケティングオートメーション(MA)ツール

デジタルマーケティング自動化推進大臣のmekkooです。
昨年、それなりに大規模なC向けサービスでゼロからのMarketo導入に携わり、本格稼働させるに至りました。


▲ 何となく凄そうだが具体的な機能がわからないトップページ

Marketoとは「マーケティングオートメーションツール(MAツール)」の一種で、四天王の一角とされます。ガートナーG2Crowdを俯瞰すると、2019年現在の四天王は以下の4名。

▲ MAの始祖、別名「MA界のキャデラック」こと Oracle Eloqua(エロクア)、SalesforceファミリーでMAを担当するSalesforce Pardot(パードット)、そして新進気鋭のHubSpot(ハブスポット)

上記の四天王に加え、グローバルではAct-OnやActiveCampaign、日本ではb-dashやSATORI、kairos3、SHANONなどが直接の競合といえます。

Marketoは何をするツールなのか?一つ一つ分解していく

ここからが本題です。
Marketo含めMA業界は「マーケティングをトータルで、これ一本で」といったキーワードを好んで使用するため、結局何をしてくれるのか分からないという問題が発生します。そこでMarketoの機能を一つずつ分解してみます。

▲ ひとつひとつさらっていきます。以下「Marketo用語:」を略して「M:」と表記します。

1、マーケティングオートメーション

いきなり広義ですが、Marketo用語として「マーケティングのすべてを包括した概念」です。機能ではないので、あまり気にしなくていいと思います。

2、メールマーケティング

これはわかりやすいです。メールベースマーケティング機能です。
手動・自動でのメール送付(M:メールプログラム)、ターゲットを絞ったメール、ステップメール(M:ナーチャリングプログラム)、リターゲティングメール...
すべてを実現することができます。
メールマーケティングの実装においては、Marketoは超・強力です。(Marketoは「メールスタンド」扱いされることを嫌っているのか、あまりメール機能をアピールしないですが)
マーケターが想像できる限りのフラグを活用してキャンペーンを設計可能です。メールAの開封が行われたらそのN日後にBのメールを送る、メールAのリンクCがクリックされたらナーチャリングプログラムのストリームをXからZに変更する...等など。
Marketoの基幹であり、メイン機能といって過言ではないかと。

▲ 画像引用元: メールマーケティングをやりつくしたと思っているあなたに伝えたい!メールマーケティングの4つの手法 | BLOG | シナジーマーケティング株式会社 SynergyMarketing https://www.synergy-marketing.co.jp/blog/four-methods-of-email-marketing

3、モバイル

Marketo用語ではマルケトモバイルエンゲージメント(MME)といいます。Marketo Mobile SDK (iOS/Android)をアプリに入れれば、プッシュ通知やIn-App通知(いわゆるモーダルポップアップ)もメールと同様に自由自在…と言いたいところですが…
現状ではスケーラビリティ問題があり、10万MAUが限界のようです。
10万で収まるなら注目するべき機能ですが、セールスさんにMMEの話を持ちかけるとメール時と打って変わって覇気が低下する感じがします(主観)。
Marketoでプッシュ通知をやりたいなら、実績豊富なFirebaseやOneSignalをWebhookベースで活用するのもひとつの選択肢です。In-Appなら国産のKARTEなども。

4、ソーシャル

この機能は必要性が低いです。「ソーシャル」と聞いて、HootsuiteやSprinklr等の強力なSNSマネージメントツールを想像したと思いますが、現時点でのMarketoソーシャル機能は「SNSシェアボタンのタグ生成と、クリックのトラッキング」位しかできません。

5、デジタル広告

面白いですが使い所を選びます。Marketo上のセグメントをFacebook等のアドネットワークでリマケリストとして活用するのが主な機能です。公式説明では、これで「価値のあるWebサイト訪問者を呼び戻す」といいます。しかし識別はメールアドレスベースで行われる為、リードDBに保持するメールアドレスがFacebookに登録されているものと異なる場合は同定不可になります。
Marketoではよくあることですが、機能の主語が大きすぎですw。
「デジタル広告もMarketoで管理するからもう大丈夫だ!これでインハウス化も完了だ!」と盛り上がってしまう人が絶対いると思うんですが…。
その用途ならShirohuneとかが良いのではないでしょうか?(未検証)

6、Web

また主語大きめです。MarketoのWeb機能は
デジマ用語でリードジェネレーション(リードジェン)というのがありますが、それを支援する機能です。
メールアドレス入力でEブック(ホワイトペーパーとも言う)をダウンロード!(その後にメールマガジン送りますよ) というあれがそうです。
そのペライチに、パーソナライゼーションコンテンツを挿入することもできますよ、というコンセプトです。(下記画像)

▲ 画像引用元: https://jp.marketo.com/content/ma-customer-journey-seminar2.html

ユースケースとして「通常の問い合わせフォームはシステム部が管理しており、営業部から稟議を上げ、三ヶ月後に改修...」といった企業では、この機能が役に立つと思います。完成度はともかく、ちゃんと機能するフォームをMarketoオペレータのみで作成することができるので。
ただし、本格的なデザイン・カスタマイズは大変です。以下の記事でイメージがつくと思います。

7、アカウントベースドマーケティング

最近(ちょっと前?)のB2Bマーケ界のバズワードである「アカウントベースドマーケティング」をMarketoで実践するための機能です。
今までは「リード」という個々人単位だった情報を「リードが紐付くグループ」すなわち「企業」や「企業 - 部」に纏めた上で意思決定者を明確に定義しアクションすると、成約率・ROIが極大化される…と言われています。
私がMarketoを入れたのはB2Cサービスなので、この項目は判定不能です。ちなみにIPアドレスから企業名を逆引きする部分はどこどこjpを活用しているようです。

8、マーケティングアナリティクス

Marketoにおけるアナリティクス系機能は「プログラム単位で作成するレポート」「アナリティクス」「メールインサイト」に分かれます。
「プログラム単位〜」は、その名の通りプログラムにぶら下げて使うもので、当該メールプログラムが何日に何通開封されて、目標貢献はいくつだったのか、等を知ることができます。表現方法は主にテキストで、これをメール通知したりもできますが、グラフは非常に貧弱です(なんとなんと、Flash有効化必須!)
「アナリティクス」は、アナリティクス機能で見ることができるレポートです。顧客の商談フェーズ(M:収益サイクルモデル)をあらかじめ定義しておけば、以下のような可視化が可能です。

▲ 画像引用元: https://jp.marketo.com/content/ma-customer-journey-seminar2.html

「メールインサイト」は、メールインサイト機能で見ることができる、メールの送付数・開封数・ハードバウンス数など「メールの結果」に重点を置いたレポートです。UIは上記2つとは全く違いモダンで(何故?)、とても使いやすいです。

9、プレディクティブコンテンツ

6ともかぶりますが、パーソナライゼーションコンテンツの配信機能です。プレディクティブとは予測という意味。
まだ私は使えておらず、判定不能ですが、基本的にはMarketo LPとメールの内容をよりパーソナライズするための機能と考えて差し支えないかと思います。

総論

・Marketoは、メールマーケティングツールとしては唯一無二の最強クラス。他の機能は、他製品でもリプレース可能な部分も多い。
・MAツールの中ではオープンな方だと思うものの、Marketoという世界に閉じる傾向があるツール。その世界観に共感できるか?を考えるべし。
・主語の大きい機能も多いので、ちゃんと中身を見て判断すること。
・Marketo Japanのセールスさんは熱心で、コンサルタントさんも優秀だが、導入コンサルは別途での費用請求となる。ツール代だけ、は契約上不可。放任主義ではなく一緒に成功させるコンセプト。
・料金はMailChimpやSendgrid等のメールスタンド製品と比べれば高額だが、他にはできない高度な自動化が実現できる。自動化できるなら人件費換算でペイするかも?という視点も必要かなと思います。

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反響大きければ「Marketoのちょっとこれは…な部分」を有料コンテンツとして書き足そうと思います!!

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