日本目利倶楽部について

日本目利倶楽部の英語名はJapan for Curious Connoisseur。
30年ほど前にイギリスの美術品競売会社Christie'sが運営するChristies's Educationでルネッサンス以降の西洋美術近代史の専門コースを修了しました。そこではⅽonnoisseur(美術鑑定家)の育成が目的で、多くの角度から鑑定眼を養う授業が行われました。作品をしるだけではなく、時代や地域を知ることは大事なポイントで、知識を得ることは当然のことながら実際に現場に行き自分の眼でみることを重視していました。最後は自分の直観を信じることが重要だということは、その後の私の人生に有形無形で影響を与えています。

留学中にバブル経済が破綻し、美術業界に仕事を見つけることはできませんでしたが、日本に戻り、金融デリバティブ市場の契約法務(ISDA)の専門職として、留学前を含め20年にわたる投資銀行業界で主な時間を過ごしました。その間も、ヨーロッパやアジアの地域に通い、その土地の文化や食を集中して知ることを趣味として、鑑定コースで学んだスピリットを忘れることはありませんでした。

2009年5月東京の牛込中央通り(大江戸線牛込神楽坂近辺)という静かな商店街で「Agnes L'EPICERIE」(アニエス・レピスリー)という食材や調味料のセレクトショップを開業し10年近く経営しました。キッチン・カウンターで体験型の料理教室やイベントを行い、食の世界旅行をすることが当初の目的でした。しかし、2011年の東日本大震災をきっかけとして、気持ちが日本国内の地域に移っていきました。

2012年頃に、父方のルーツである山口県に観光で行くことがありました。イギリス留学をする前後に、バブル経済の破綻もあり、父が経済破綻し、家族の関係が大きく崩れていました。家族との縁を断ち切るような気持が強く、目を背ける場所になっていたのです。久しぶりに大人の眼でみた山口の食や自然は素晴らしく、また個人的な理由で先祖の墓に通う用事も増えました。

「やまぐち食べる通信」を始めたのは、自分の中にあるわだかまりを、自分の人生のテーマである食の旅を山口県に絞って行うことで克服したいと思ったのがきっかけです。そしてそれは、若い頃に挫折した「鑑定家」になる夢を実現することでもありました。テーマは「食の宝探し」。地域にあるお宝を自分の眼でみて味わい、人に説明することは、美術鑑定家の役割でもあります。

2016年から始めた「やまぐち食べる通信」は会員制の紙媒体の定期購読誌で
限られた人にしかその情報を届けられないこと、マーケティングにも苦労していたことから、今回、山口県にこだわらずに地域を広げて、より情報を発信できる形で続けることができるSNSでの発信に特化することを考えました。2018年より東京の市ヶ谷と山口の小郡の二拠点生活を送っており、その生活の中からの投稿も個人のFBでも行っていましたが、こちらで発信できたらと考えています。





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