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絶対にサバイブできる究極の文章術&ライター術

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プロのライター歴18年、著書が15冊くらい(忘れた)ある、大宅壮一ノンフィクション賞受賞ライターの文章術です。著書『ユニバーサル文章術』(星海社新書)とは重複しない内容も割とあり… もっと読む
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記事一覧

片手間で教える文章講座10 著書を出す場合に知っておくこと

世間の多くの人にとって、自著の出版は非常に高い山であるように思えるだろう。近年は紙の書籍の値打ちが大きく下がったが、それでも、一般の出版社から商業的に刊行された「著書がある」ことは大きな意味を持つ。 本業の分野で著書がある人は自分のプロフィールに箔がつくし、自分が平均以上の知識やスキルを持つプロであることを間接的に証明できる。また、作家や歴史家やジャーナリストなどの肩書きを名乗る場合も、怪しげな「自称〇〇」ではなくホンモノっぽい空気をまとえるようになる。 著書を持つとは、

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片手間で教える文章講座9 読書感想文のコツ

先日、あるいきさつから小学生6年生のA君の読書感想文の書きかたを教える機会があった。 読書感想文はおそらく、長年にわたり全国の小中学生を苦しめ続けている課題の筆頭格だ。今回の記事では、私が教えた簡単な書き方の技術をお伝えしてみよう。 なお、課題図書はまったく読んでいないA君が選んだ本は、あさのあつこ著『バッテリー』(角川つばさ文庫)だった。第1作の刊行は1996年。現在39歳(1994年小学校卒業)の私は、恥ずかしながらこれまで書名すら知らなかったのだが、シリーズ累計で1

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片手間で教える文章講座8 ネット中傷のコツ

2020年5月のテラスハウス出演者の自死事件からこのかた、世間ではネット中傷問題についての話題が盛り上がっている。この件については、私も一家言があるので語らせていただこう。 石は全方位から飛んでくるというのも、私は成り上がり者であるうえ、記事やSNSで好き勝手に物を言うこと、そのわりに出版物の点数や社会的評価に比較的恵まれていることから、他者の恨みや嫉妬を薄く広く向けられやすいのだ。『5ちゃんねる』には叩きスレが立っているし、前身のブロガー時代から安田を罵り十数年という、も

片手間で教える文章講座1 「ユニバーサル日本語」の書き方

私は安田峰俊。プロのルポライターをやっている者だ。この年末年始、20代の後輩ライターに原稿の書き方を教える機会があったり、別の場でかなりヤベえ水準の新人の原稿を読まされる機会があったりしたので、思ったのである。ちょっと文章術を世間に伝えてみようと。 第1回記事で書いた通り、私は大学院修了後に就職に失敗してから、1文字1円以下のウェブライター→コンビニ売りの怪しい500円ムックの執筆者→裏モノ・実話誌ライター→ブログ本作者→週刊誌記者→微妙な中国ライター→わりと有名な賞の受賞

片手間で教える文章講座2 「ユニバーサル日本語」の構成(紙とWebの違い)

第1回の記事の公開後、周囲から「お金取ったほうがよくない?」とすくなからず言われたが、引き続き無料で書く。なぜなら自分の経験上、この手の記事は無料で公開すると細く長く読まれるわりに、いざ有料にすると10〜20人ほどしか買う人がいない。売り上げで言えば1万円以下だ。 しかし、私の原稿はそんなに安くない。ごく少数のクローズドな購買者に向けた記事を書いて小学5年生のお年玉ぐらいの売上金を得るより、広く世間の人にちょっと役に立つ試供品(=無料記事)を配る広告宣伝をやったほうが、自分

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片手間で教える文章講座3 「ユニバーサル日本語」の校正法と表記のコツ

「バズるWeb記事の作り方」という記事を書きかけたが、思った以上に人間感情の闇に踏み込んだ(要するにゲスい)内容になったので中断する。「片手間で教える文章講座」は、せめて最初の3本くらいは、毒がなく普通にタメになる話を載せておきたい。 なので、今回は従来の記事では説明しきれなかった「ユニバーサル日本語」の校正法と表記のコツを説明する。なお「ユニバーサル日本語」とは、2020年現在の日本語ネイティヴにとって最も読みやすく、文意を容易に伝えられる日本語の書き言葉のことだ。 1

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片手間で教える文章講座4 読み飛ばされない「ユニバーサル日本語」表現術

私は安田峰俊。プロのルポライターをやっている者だ。これまでに引き続き、2020年現在の日本語ネイティヴにとって最も読みやすく、文意が容易に伝わる書き言葉「ユニバーサル日本語」の文章術を書いていく。 前回記事までは、わかりやすい1文の書き方や段落の作り方、表記の方法といった、ごく基礎的なルールを確認した。今回はもうすこし踏み込んで、段落レベルの文章を書くときの構成のコツについて考えてみたい。 以下に紹介するのは、せっかく書いた文章を読者から読み飛ばされないための、技術面にお

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片手間で教える文章講座5 バズるWeb記事を書く技術

私は紙媒体での執筆が多い。書籍は10冊以上書いたし、主要週刊誌は女性誌を除いてほぼ全紙で執筆経験がある。月刊誌も『文藝春秋』だの『中央公論』だのの大手どころはたいがい書いた。 だが、私はもともとブロガー出身なので、実はWebの記事を書くほうが得意だ。売れる書籍を書く方法はいまだによくわかっていない気がするが、読まれるWeb記事を書くことは自分のなかに一定の方法論がある。 普段、寄稿が多い複数のネットニュース媒体は、記事のpv数が多いと多少のインセンティヴが出る。私はだいた

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片手間で教える文章講座6 インタビューのコツ(前編)

先に書いておくと、私はもともとインタビューが不得意だった。 そもそも、私は過去にライター学校に通ったりマスメディアに就職したりした経験がないので、取材のノウハウについて体系的なトレーニングを受けたことがない。完全な駆け出し時代だった2006〜2009年ごろはもちろん、著書を何冊か出して雑誌媒体での執筆経験も多少はあった『和僑』を出版したころ(2012年末)ですら、取材にあまり自信を持っていなかった。 しかし、自分がよく仕事をもらった雑誌媒体は、足を使った取材行為がそれなり

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片手間で教える文章講座7 インタビューのコツ(後編)

ちょっと時間が空いてしまったが、前回に引き続き、インタビューのコツを思いつくままに書いていこう。 わからない話のパターンインタビューの際に、相手側の話が自分にはよく理解できないケースは少なくない。その原因はおおむね、下記の3つに分けられる。

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