めいのぼやき51 作り始めた頃

バーチャル詰将棋作家の駒井めいです。
今回は私が詰将棋創作を始めてから詰パラで初入選するまでに何をやったのかを思い出して書いていきます。
今思えば非効率なことも結構やっていましたが、とにかくやったことを事実として書いていきます。

1.創作のルールを把握する

まず私がやったのは創作のルールを把握することです。
「誰かに出題する以上は出題者として責任を持つ」というのは、当時強く思っていました。
難しいルールもあり、理解するのが本当に大変でした。

2.まずは作ってみる

ルールが把握できたところで、とにかく作ってみることにしました。
何でもやり始めてみないと課題も見えてこないからです。
最初は1手詰、慣れてきたら3・5手詰をひたすら作りました。
数をたくさん作ることを意識していたので、手数はむやみに延ばさない方針にしました。
「完全作を作る」ことが目標でした。
面白い詰将棋を作りたい欲はありましたが、最初からそれは無理です。
とにかく詰将棋として成立させることに注力しました。
並べ詰みだろうと、どこかで見たことある詰将棋だろうと、関係なくひたすら作りました。
毎日一つ作って後日余詰などがないか検討するのを続けました。
どう作ったらいいか分からないまま、試行錯誤の日々でした。
このときは「逆算」という言葉すら知りませんでした。
だいぶフリーダムに作っていましたが、試行錯誤する過程はとても楽しかったです。

3.詰将棋を鑑賞する

創作を始めて間もなく、「どういう詰将棋が評価されるのか?」という疑問が湧いてきました。
詰将棋を鑑賞し分析することを始めました。
「良い」と評価されている理由、「悪い」と評価されている理由、これらを自分なりに言語化する作業をしていきました。
併せて「自分はどう思ったか?」もしっかりと言語化していきました。
自分と他人の評価の差異を認識することを重視しました。

4.狙いを持って作る

詰将棋の作り方が少し分かってきた頃、狙いを持って作るようになりました。
やっぱり面白い詰将棋を作りたいですからね。
鑑賞した詰将棋で「これは面白い!」と感じたものがあれば、付箋を貼るかメモをしておきます。
その中で自分でもできそうなものを選んで、構図を変えて作るのをやっていました。
捨て駒の種類を変えてみたり、90度回転したような手順を作ってみたり、何かしらの変更を加えていきました。
手順が成立するロジックをしっかり理解しないとできません。
自分にできることが少しずつ増えていくのは、楽しくて仕方がありませんでした。

5.技術を身に付ける

段々と技術が不足していることを感じ始めていました。
しかし、何をどう訓練すればいいのか全く分かりませんでした。
思い付いた方法が「他者の詰将棋を再現すること」でした。
学びの基本は真似することだと思ったからです。
詰将棋の作意手順だけを見て配置を再現するというものです。
まずは作意手順の符号だけから分かる情報で詰め上がり図を作ります。
このとき詰め上がり図を完成させるのに駒が足らなければ、なるべく安い駒を仮置きします。
作った詰め上がり図から作意手順を見ながら逆算していきます。
一度鑑賞した詰将棋でやっていたので、正解の配置は既に知っているわけですが、自分なりにしっかりと理屈を付けて逆算していきました。
この方法はかなり効果があり、一気に実力が上がったのを実感しました。

6.一作に時間をかける

自分オリジナルの詰将棋は作れないものの、完全作を作れるようにはなっていました。
ここまできたら自分オリジナルの詰将棋を作りたくなってきます。
詰将棋を作ったら、そりゃ誰かに解いてもらいたいですから。
知識も技術も少し身に付いてきていたので、「こういうのを作ってみたい」という欲がこの頃自然に湧いてきていました。
私は一作に時間をかけることにしました。
とにかく量産するのが自分の創作スタイルだったので、そこから脱却するのが目的でした。
「どうやったら実現できるか?」
「もっと良くならないか?」
と毎日考え続けます。
結果的にこれはかなり効果がありました。
ある意味初めて詰将棋と真剣に向き合った瞬間でした。
「自分は詰将棋を作れている」というのを実感しつつありました。
誰かに自作を見せて感想をもらうというのも、この頃やっていました。

7.詰パラに投稿する

手応えを感じ始めて、詰パラに投稿することを考え始めました。
詰パラは購読していたのですが、自分が投稿することは考えたことがありませんでした。
詰パラで発表されている詰将棋と自作を見比べて、「投稿したら採用されそうか?」と分析していきました。
こんなことを繰り返すうちに、ある日「これならいけるのでは?」という詰将棋が作れました。
散々悩みましたが、「投稿しないことには何も始まらん」と決心しました。
書き方がさっぱり分からない投稿用紙を悪戦苦闘しながら書き上げ、緊張しながら郵便局に封筒を出しに行ったのを、今でも鮮明に覚えています。
初めて詰パラに投稿した詰将棋ですが、これが無事に初入選を果たしました。
初投稿で初入選するとは思っていなかったので、嬉しさのあまり布団の上でいつまでもゴロゴロしていました。
(注:家には私一人です。完全に危ない人でした。)
詰将棋創作を始めて一年くらいが経っていました。