めいのぼやき43 令和2年度看寿賞

バーチャル詰将棋作家の駒井めいです。
今回は令和2年度看寿賞について書いていきます。

1.看寿賞

看寿賞とはその年に発表された詰将棋から選ばれた年間最優秀作品に与えられる賞です。
短編(17手以下)・中編(19~49手)・長編(51手以上)の各部門で表彰する他、特別賞も設定されています。
過去の看寿賞受賞作は詰パラHPあるいは全詰連HPから見ることができます。

2.令和2年度看寿賞

令和2年度看寿賞が先日発表されました。

【短編】市島啓樹作(詰パラ2020年6月号詰将棋順位戦)
【中編】宮原航作「跳ね玉兎」(詰パラ2020年8月号短期大学)
【長編】山路大輔作「Curiosity」(詰パラ2020年3月号大学院)
【長編】岡村孝雄作「アツクナレ」(詰パラ2020年11月号大学院)

受賞された皆さま、誠におめでとうございます。
選考過程などの詳細は、詰将棋パラダイス2021年7月号に掲載されています。

3.第三の選択

ここからが本題です。
短編部門については、私の予想と違っていました。
私は

【短編】虎野亜奈作「第三の選択」(第б回裏短コン 2020年11月7日)

を予想していました。

良い作品は他にもありましたが、本作は群を抜いていると私は評価していました。
私の目から見ると、内容・完成度は桁違いでした。
「この作品以外には有り得ない」と確信していました。

ただ、詰将棋において最優秀作品を決めるというのは、本質的に困難なことです。
作品が放つ個性も異なれば、評価する人の価値観も異なります。
誰がどのように選考しようとも、
「こっちの作品の方が良かったな…」
という事態が生じることは、詰将棋が芸術である以上避けられないのです。
詰将棋ファンなら幾度となく見てきた光景のことでしょう。
選考委員の方々がどれだけ神経を使って議論を重ねているのか、想像するだけでも胃に穴が開きそうです。

短編受賞作の市島作は素晴らしい作品です。
私の中では予想外でしたが、素晴らしい作品であるとは記憶していました。
詰パラ7月号に掲載されている看寿賞選考過程を読み、本作が受賞した理由にも深く納得しました。

「私は虎野亜奈作の方が良いと思った。」
というだけの話です。
この言葉を言うためだけにこの記事を書きました。

優れた作品を選ぶのはそれほど難しくないですが、”最も”優れた作品となるとどうしてこんなにも難しくなるのでしょうか。
毎年思っていますが、今年は特にそれを感じました。

さて、私も詰将棋創作を頑張りますかね。
私だって看寿賞は欲しいですから。