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フェアリー詰将棋の作る上での考え方

フェアリー詰将棋とは、普通の詰将棋に対して何かしらのルール変更を取り入れた詰将棋、要は変則詰将棋のことです。
「フェアリー詰将棋を知っている」という人は、以前に比べると増えてきたように感じます。
しかし、「どういう風に作ったらいいんだろう・・・」と悩む人も多いかもしれません。
フェアリー詰将棋は創作の自由度が高いのが魅力ですが、そこが創作において大きな壁になりやすいです。
自由と言われると逆に作りにくいものです。
本稿ではどういう考え方で作ったらよいか、筆者の経験に基づいて書いていきます。


1.フェアリーで作る価値

普通の詰将棋がベースにあり、何かしらのルール変更を取り入れたのがフェアリー詰将棋だと先程述べました。
従って、「普通の詰将棋では表現できないことをフェアリー詰将棋で表現する」ことの価値が大きくなります。
逆に言うと、普通の詰将棋で表現できることをフェアリー詰将棋で表現しても、作品として評価されづらいということです。
当たり前と思うかもしれませんが、この考え方が頭にないと「フェアリールールを使った分ややこしくなった」という印象がどうしても強くなってしまいます。

2.変則度合と狙いのバランス

普通の詰将棋では表現できないことをフェアリー詰将棋で表現すれば全て解決かと言うと、そうとも言い切れません。
「ルールのどの部分をどう変更するか」という変則の程度は、フェアリールールによって様々です。
変則の程度が強いルールを使ったり、多数のフェアリールールを複合したりした結果、「狙いはたったこれだけ?」と思われてしまったら、どうしても作品の評価は低くくなります。
「これだけフェアリールールを使えばそりゃ実現できるよね」と思われてしまっては損なのです。
従って、「表現したい狙いを最小の変則度合で作る」ことが基本的な方針になります。

3.ルールが面白いのか、作品が面白いのか

「このフェアリー詰将棋は面白い!」と感じる際、大きく二つの要素があります。
それは「ルールが面白い」と「作品が面白い」ということです。
用いたフェアリールール自体に目新しさがあれば、実際そこまで高い完成度でなくても「この作品は面白い!」と勘違いさせることができます。
ただ、そのフェアリールールの作例が多くなってくると、作品の価値はどんどん低くなってきます。
未来においても「この作品は面白い!」と評価させるためには、「ルールではなく、作品が面白く作られている」という内容であった方がよいです。
これはとても難しいことですが、フェアリー詰将棋を作っていると勘違いしやすい点なので、しっかり区別して考えるべき事項かと思います。