めいのぼやき40 詰将棋の手順表記
バーチャル詰将棋作家の駒井めいです。
今回は詰将棋の手順表記について書いていきます。
1.詰将棋の手順表記
駒井めい作 Twitter 2020年11月21日
< 作意手順 >
▲1四飛 △同馬 ▲3二飛成 △1三玉 ▲2二龍 まで5手詰
これは一般的な詰棋書で見かける表記方法です。
将棋の棋譜の表記方法に則っています。
将棋世界の詰将棋サロンでは基本的にこれです。
一方、現在の詰将棋パラダイスでは下記のような表記が用いられます。
< 作意手順 >
14飛、同馬、32飛成、13玉、22龍 迄5手。
筋と段の表記として通常私達が目にするのは、「1四」のような「算用数字+漢数字」です。
なぜ詰パラでは「14」のように「算用数字+算用数字」の表記が用いられるのでしょうか?
2.棋譜の表記
まずは将棋の棋譜の表記方法を日本将棋連盟のHPで確認してみます。
すると、気になる記述を見つけました。
新聞・本・雑誌などでは、筋を算用数字、段を漢数字で記載しますが、日本将棋連盟の棋譜記録の際は、すべて算用数字で記載するようになっております。
筋と段の両方を算用数字で表すこともあるようです。
しかし、詰将棋や詰パラとの関連性を見出すことができないので、いまいち正解感がありません。
3.江戸時代の詰将棋の手順表記
算用数字自体は幕末・明治時代になってから使われるようになったそうです。
従って、江戸時代の詰将棋作品集では別の表記が使われていたはずです。
本筋から少し脱線しますが、その確認もしておきます。
「象戯力草/宗桂指南抄(1703年刊行)」や「将棊圖巧(1821年刊行)」を見てみると、
・六三飛ナル
・五四銀打
などのように筋と段の表記に漢数字が使われているのが分かります。
予想通りと言えば予想通りの結果です。
4.実は…
さて、本題です。
筋と段の表記に算用数字を用いる理由は、詰パラHPに書いてあります。
マス目表記は「5六玉」などのように、「アラビア数字+漢数字」で表すのが一般的です。
しかし詰将棋パラダイスでは、マス目の表記をアラビア数字の列記で表記します。
例:「5六玉」→「56玉」、「7八銀成」→「78銀成」
昔、紙数の少ない詰パラに多くの情報を盛り込もうという意図で考案されました。
以後、伝統的にこの表記が使用されています。
手順をワープロなどで入力するときにいちいち変換する手間が省けるなど、非常に効率の良い表記です。
実は誌面の都合で考案された表記だったのです。
(ちなみに、いつから誌面上で使われるようになったんでしょうね?)