私がWFPの担当になったわけ
バーチャル詰将棋作家の駒井めいです。
Web Fairy Paradiseというフェアリー詰将棋の専門誌があります。
フェアリー詰将棋とは変則ルールの詰将棋のことです。
Webマガジン形式で購読料も特にないので、ネット環境がある方なら誰でも読むことができます。
既にTwitterなどではお知らせしましたが、2022年4月号(第166号)から新しいコーナーが始まります。
その担当に私がなりました。
詳しくは2022年3月号(第165号)の75ページをご覧ください。
新コーナーの目的は、「フェアリー詰将棋の愛好家を増やすこと」です。
具体的には、フェアリー詰将棋作家と解答者を増やしたいと思っています。
経緯について今回話をしていきたいと思います。
1.フェアリー詰将棋の現状
まずはフェアリー詰将棋の現状から。
結論から言うと、フェアリー詰将棋の愛好家はだいぶ少ないです。
将棋の中に詰将棋が内包していて、詰将棋の中にフェアリー詰将棋が内包しているという構造になっています。
母数が少ないのはある意味必然なのです。
ただ、将棋愛好家の数の割には詰将棋愛好家は少なく、詰将棋愛好家の数の割にはフェアリー詰将棋愛好家はもっと少ないです。
フェアリー詰将棋を含む詰将棋愛好家を増やすために、今まで私は地道に細々と活動をしてきました。
普通詰将棋やフェアリー詰将棋が面白くなくて少ないのなら、納得のいく現状です。
しかし、これらはとても面白いと私は思っているので、この現状には全く納得がいっていないのです。
しっかりと道を作っていけば、愛好家は今の何倍にもなると思っています。
2.愛好家になるまでの道
さて、フェアリー詰将棋を知ってから愛好家になるまで、その道はどれくらい舗装されているのでしょうか。
フェアリー詰将棋に関するコンテンツはWeb Fairy Paradiseを含め、ネット上に結構あります。
フェアリー詰将棋の愛好家は少ないながらも、先人達の情熱と努力がこの界隈を支え続けてきました。
こうして私がフェアリー詰将棋を知って楽しめているのも、そのおかげと言えます。
一方で、初心者向けのコンテンツが手薄であることに、ある日気が付きました。
フェアリー詰将棋という世界に入るための入口がどこにあるのか、非常に分かりにくい状態なのです。
3.ルールの普及
そこで最初に始めたのが、フェアリー詰将棋の最も代表的なルールである協力詰の超入門講座です。
ルールの説明だけでなく、例題もセットで載っているのが特徴です。
その後、同じく代表的なルールである協力自玉詰も解説しました。
これで「ルールが分からない」という方には、「これを読んでね」と言えば概ね解決できるようになりました。
4.楽しむ環境
ただ、「フェアリー詰将棋って面白い」と思ってもらわないことには普及していきません。
フェアリー詰将棋作品を見ることができる代表的な媒体として、詰将棋パラダイスのフェアリーランドや、先に紹介したWeb Fairy Paradiseがあります。
フェアリー詰将棋は多種多様なルールが大きな魅力の一つですが、その多様性が普及の妨げにもなっています。
様々なルールや駒がたくさん並んでいる光景を目にすれば、多くの人は思考停止して知ろうともしないですし、ましてや作ろうとも思わないでしょう。
こんなことを言うと怒る愛好家もいるかもしれませんが、これが現実なのではっきりさせておきたい点です。
従って、協力詰と協力自玉詰という基本ルールのみを扱う常設コーナーは絶対に必要です。
「このコーナーだけは理解できるから、いつも読んでますよ」という層を増やしたいのです。
現状では、Web Fairy ParadiseにはFairy of the Forestというコーナーがあり、ここでは協力詰のみを出題しています。
ただ、協力自玉詰を専門に扱うコーナーはありません。
このような状況を鑑みて、「協力詰と協力自玉詰を解付きで出題するコーナー」というハードルを更に下げたものを新設しました。
解付き出題にした理由は、協力詰や協力自玉詰のルールや面白さを伝えるためには、一つの内容を一つの号で完結させる必要があるからです。
「解答発表は別の号で」なんてやっていたら、詳しくない人はしばらく楽しめず、簡単に離れていってしまいます。
実は、Web Fairy Paradiseに頼らずに、独力で一からコンテンツを作る手も散々考えました。
しかし、これをやるにはあまりにも私の実力が不足しています。
先人達が積み上げてきたものを素直に活かすのが最善だと判断し、Web Fairy Paradiseという歴史ある場をお借りする選択をしました。
5.今後の課題
これで「フェアリー詰将棋の世界に入るための道」を舗装していく準備が整いました。
新設するコーナーを軌道に乗せるには、フェアリー詰将棋作家の協力が必要不可欠です。
しかし、現状ではフェアリー詰将棋作家は非常に少ないです。
作家を含む愛好家を増やしたいのだから、現状少ないのは至極当然の話です。
更に、解付きという出題形式に作品を投稿してくださる方がどれくらいいるのか、という問題もあります。
この辺りは担当者である私の作品も掲載しながら、ある程度力業で軌道に乗せていく必要がありそうです。
一生軌道に乗らないかもしれませんが、あまりネガティブなことを言うと段々テンションが下がってくるので、この話はこの辺にしておきましょう。
正直なところ、作家としても担当者としても明らかに実力不足です。
元気良く手を挙げることには自信があるので、今はそれをやっただけの状態です。
ここまで色々と書いてきたので深く考えているように見えると思いますが、実際はほとんど勢いだけで行動しています。
「私の想いに共感してくれる方は協力してほしい」というのを最後にお願いしたいです。
面白くないのに無理やり協力する必要はありません。
善意だけで協力してくれる方がいるなら、気持ちは大変有難いです。
しかし、それは本質的な解決になっておらず、長期的に見て明らかに双方にとって損です。
もしあなたが「フェアリー詰将棋って面白そうだし、あいつが面白そうなことやっているな」と思ったら、作品投稿・解答・SNSでの拡散など、自分にできる何かしらの形で界隈を盛り上げてほしいです。
そういう小さな輪の広がりが、地道ながら最も効果的な方法だと思っています。
まぁここまで超真面目に書いてきましたが、「盛り上げてくんでよろしくぅ!」と言いたかっただけの記事ですん。