詰将棋創作に棋力は必要なのか?
詰将棋創作に棋力は必要なのか?
こんな議論をすること自体がナンセンスではあります。
これについては詰将棋を創作したことがない人が抱きやすい疑問ではあるので、私なりの考えを書いていきたいと思います。
結論としては、ないよりはあった方が良いと思います。
指将棋で「強い」という状態は様々な能力が絡み合って成り立っています。
それらの能力と詰将棋の創作能力が完全に一致するわけがないのは、冷静に考えれば明らかでしょう。
…と言ってもピンと来ない人もいると思うので話を続けます。
ただ、重複する能力は若干あります。
その一つに「読む力」があるでしょう。
読む力と言っても定義が曖昧ですが、ここでは手の良し悪しの判断を含まない脳内の将棋盤で単純に手順を展開する能力を指します。
この能力は詰将棋創作においても恩恵をもたらします。
読む力とは言っても読む速度については重要度が下がります。
創作にどれほど時間をかけるかはその人の自由だからです。
創作に強く役立つとすれば読む量と正確さといった能力でしょう。
ただ、創作にはかける時間は人それぞれであることを考えると、この能力の差は時間をかければある程度相殺できるはずです。
加えて、脳内の将棋盤が不鮮明であったとしても、実際には将棋盤(ソフトウェアも含む)を使って駒を動かしながら丁寧に手順を検討していけばよいです。
ほとんどの作家は将棋盤を使って作りますが、読む力が優れている人よりも実際に駒を動かす回数が増えるだけです。
更に、余詰や変化など手順の検討には柿木将棋などのソフトウェアが活用できます。
手順が煩雑なら紙やExcelなどに書き出して整理すればよいでしょう。
以上のように読む力が優れていないとしても、様々な道具によってかなりの部分を補うことができます。
極論を言うと、根気さえあればかなりの部分を解決できるということです。
もっと言うと、詰将棋創作において読む力というのは必要な能力ではありますが、作品の良し悪しを決めるような決定的な能力ではありません。
結局何が言いたかったかと言うと、「自分は指将棋が弱いからきっと詰将棋を作っても上達しないだろう」と思っている人がいたら、それは完全に思い込みだということ。
逆に詰将棋創作が上達しないことを棋力のせいにしている人がいたら、それは二度と口にしないことです。
指将棋が強いことと詰将棋の創作が上手いことは完全に別世界とまでは言いませんが、ほぼ違う世界の話と言っても過言ではありません。