WFP2024年3月号 感想
バーチャル詰将棋作家の駒井めいです。
Web Fairy Paradise 2024年3月号(第189号)の感想を書いていきます。
1.連続王手の千日手禁(その1)
(pp.3-4)
「連続王手の千日手」と「打歩詰」の衝突に関する話。
衝突以前の話として、これらの禁則はそもそも複雑な構造を持っています。
局面だけではなく、着手の履歴で判断するからです。
禁則の利用はフェアリー詰将棋でも人気のテーマ。
禁則の複合もまた興味深いテーマです。
フェアリールール固有の禁則もあるので、フェアリー詰将棋の発展に伴って同様の問題は今後も生じることでしょう。
2.第158回WFP作品展結果
(p.16-33)
WFP作品展鑑賞室:https://k7ro.sakura.ne.jp/wfp/EnjoyWFP.html
158-3 るかなん作
All-in-Shogiによる特殊な擬似透かし詰。
本作を語る上で重要なテーマが禁則に抵触する条件です。
攻方が受方玉を王手位置に飛び込ませる王手も、受方視点で王手放置に抵触するように思えますが、手番が違うので王手放置に抵触していません。
一方、二歩や行き所のない駒は手番が関係ないため、禁則に抵触しているという仕組みです。
All-in-Shogiは手番の概念が壊れたルールに見えますが、本作は手番が重要になる点がとても面白いです。
158-4 springs作
Knight王は通常の玉と同じように周囲8マスに利きを持ちます。
利きが分散している分、詰めにくいですしステイルメイトにもしにくいです。
合駒動かしという人気のテーマと上手く組み合わせた好作。
158-6 真T作
金4連合×2という驚異の手順。
158-12 変寝夢作
Queenの王手に対して移動合で追従していくのが楽しい。
3.WFP12月号個展(左王を使用した詰将棋) 結果
(pp.58-61)
上谷直希氏による左王作品の個展。
フェアリールールや駒は、単体で面白くなるようなものを提唱するのが普通の考えです。
今回提唱された左王および右王は単体で面白いというより、作品の狙いをよりシンプルに表現するツールという側面があります。
そういう意味では結構異質なフェアリー駒と言えます。
4.協力詰・協力自玉詰 解付き #22
(pp.62-65)
私の担当コーナーです。
フェアリー雑談
WFP作品展で私が発表した駒余り禁詰の結果稿が今月号で出ました。
それに合わせて書いた内容です。
打歩詰と類似した状況はフェアリールールを使えば可能です。
パラレルワールドのような面白さがあると思います。
22-1 springs作
受方に協力する余地を与えるために、あえて受方に駒を渡すという構成。
受方持駒なしを積極的に活かすと共に、協力詰らしさも表現されています。
5.「詰将棋メーカー」好作選(2024年1・2月)
(pp.68-76)
私も選題・コメントに関わっています。
No.166 xzg17作
Roseはどうしても難解さが目立つので、面白さが分かりにくくなりがちです。
しかし、本作はRoseの面白さを巧みに引き出しています。
No.167 springs作
初手のインパクトがすごい。
No.176 xzg17作
協力詰なのに攻方駒を取りながら逃げるのが正解。
6.笑える将棋作品展 作品紹介
(pp.77-80)
私が担当した記事。
noteで開催した作品展の結果稿を転載したものです。
② せら作
局面・詰手順が循環する斬新な狙い。
ツインの使い方も面白いです。
③ 堺健太郎作
作品募集した段階で、フェアリーを含む詰将棋作品の投稿がほとんどだろうと思っていました。
柔軟な発想で作品展を盛り上げてくれました。