めいのぼやき16 逆打歩詰誘致

バーチャル詰将棋作家の駒井めいです。

先日、某展示会の某詰将棋作品が大変好評だったようです。

実はその某作品に用いられているのは「逆打歩詰誘致」と呼ばれるものです。
代表作を取り上げて説明していきます。

愛上夫作 詰棋めいと創刊号 1984年6月

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作意手順
66飛、76桂合、69玉、77桂合、同銀、97玉、89桂 迄7手。

ポイントは3手目69玉迄の局面です。
59角による王手に対して受方はどう応じるべきでしょうか?

【 第1図 3手目69玉迄 】

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59飛成は同角迄なので、68か77の地点に合駒をして受けるしかありません。
3手目69玉に68歩合としたらどうでしょう?
受方の持駒は桂と歩だけで、68の地点に合駒をするとしたら歩しかありません。

【 仮想図 4手目68歩合迄 】

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49飛が69玉を間接的に睨んでいるので68同角とはできません。
「この詰将棋って不詰?」
と思った方はもう一度局面をよく見てください。
そもそも3手目69玉に68歩合とできないのですが気付いたでしょうか?
そうです。実は攻方玉が打歩詰になっているのです。
打歩詰は将棋のルールでは禁じ手なので、3手目69玉に対して68歩合とはできないのです。
初手66飛~2手目76桂合は攻方玉を打歩詰に誘導するための事前工作だったのです。
このように攻方玉を打歩詰に誘導することを「逆打歩詰誘致」と呼びます。
詰将棋の専門用語なので聞いたことがない人が多いかもしれません。

さて、前述した某作品では攻方玉を打歩詰に誘導するためにどういう仕掛けが用意されているのでしょうか?
それは実際に鑑賞してみて楽しんでください。
今回取り上げた愛上夫作との違いにも注目してほしいと思います。