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WFP2024年2月号 感想

バーチャル詰将棋作家の駒井めいです。
Web Fairy Paradise 2024年2月号(第188号)の感想を書いていきます。


1.今月の手筋

(p.14, 71)

テーマは北村手筋。
本質は「相手が王手駒を取ると線駒の利きが通る」ということ。
ピンの仕組みといくつか類似した点が見られます。
そう考えると、ピンに関するテーマが北村手筋に転用できるはず。
これまで北村手筋は全く研究されてこなかったわけではありませんが、そこまで深掘りはされていません。
思わぬ鉱脈がまだまだ眠っているかもしれません。

2.「第60回神無一族の氾濫」投稿作品募集

(pp.15-16)

今回の募集課題は「使用駒が増える作品」。
究極は最終形で全駒が配置される「逆煙詰」でしょうか。

3.第157回WFP作品展結果

(pp.17-34)

WFP作品展鑑賞室:https://k7ro.sakura.ne.jp/wfp/EnjoyWFP.html

157-1 占魚亭作

初形配置のズレで発生する駒種(飛or角)が変わるというもの。
巧い作り。

157-3 駒井めい作

自作。
創作の出発点は「Dual avoidance」と「Hideaway」というチェス・プロブレムのテーマ。
考え方としては詰将棋にも以前からあり、用語が存在しないだけです。
本作のポイントは手数指定ルールの有無によって生じる手順の関係性です。
「単に余分な手順が挿入される」という手順構成にならないようにしました。

157-6 上田吉一作

規則的に配置された受方駒が回転していきます。
サイクルの構造が面白い。

157-8 るかなん作

オール中立駒の作品。
中立駒で中立玉に王手を掛ける状況は複雑怪奇ですが、飛・角という利きが完全に対称的な駒を巧く作品化しています。

4.第20回フェアリー入門解答

(p.55-71)

第20回の課題は「安南」でした。

② 羽毛布団作

玉が19→99→11と大移動。
打った飛銀が取り残されず、最後まできっちり活用されるのがとても良い。

③ 堺健太郎・springs作

安南らしい複数解。
配置は余詰消しに苦労した痕跡が伺えますが、それに見合う手順になっています。

⑤ 駒井めい作

自作。
作ったときはメンタルが超捻くれていたので、「安南が作意の成立に深く関わっているけど、手順表面には現れない」ようにしました。
なので、本作は「安南らしい安南らしくない作品」と言えるかもしれません。
このようなフェアリールールの使い方は時々見られますが、どこまでいってもマニアックなので、あまり評価されない傾向があります。
そういうのこそ追及してみたくなるのは私だけでしょうか。

5.協力詰・協力自玉詰 解付き #21

(p.80-81)

以前出した創作課題を再度出しています。
例えばチェスは取り捨てで、将棋において持駒の概念はとても重要な要素です。
「受方持駒なし」であっても、「持駒の概念がある」ことを活かすにはどうしたらよいでしょうか。

21-1 springs作

二重ピンメイトと駒位置交換。
狙い・手順共に明快で、好みの作品。

6.第5回フェアリー杯 作品紹介

(pp.86-88)

5-1 げん作

将来発生する利きを予め遮る。
「後にならないと効果が分からない」という構成は普通詰将棋でもしばしば用いられる表現方法で、応用範囲が広い作り方です。
本作はフェアリーらしい意味付けになっていて、3手ながら手順の不思議さが増しています。

7.NK2協力詰超短編の研究(後編)

(pp.89-96)

ネコネコ鮮は昔からあるフェアリールールですが、現代ではほぼ誰も手掛けないルールになっていました。
発掘作業が好きな私が詰将棋メーカーWFPで何作か発表した影響なのか、最近このルールを手掛ける作家が増えてきました。
性能変化がとても複雑で、その分ポテンシャルが高いルールだと思っています。

8.緩募!ナンマイダ~コンテスト

(p.97)

「協力詰で煙詰を作るのは難しい」というのがこの企画の出発点。

協力詰はとにかく捨駒が入りづらく、強欲ルールの付与を許容すれば解決できます。
企画者のたくぼんさんは素晴らしい強欲煙詰を何作も発表しています。
純粋な協力詰で煙詰が発表される日は来るのでしょうか?