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最先端の漢方病院に潜入した話

こんにちは〜!

前回の記事で、統合医療について書かせてもらったんですが、とにかく気になったらすぐに行動に移してしまう私は、韓国ソウルで統合医療を実践している慶煕(キョンヒ)大学附属韓方病院へ見学に行ってきました。

その時の見学内容を少しまとめてみます。

1. 慶煕大学附属韓方病院へのアクセス

行き方を軽く紹介しておきます。
まずは地下鉄で「回基(フェギ)」を目指します。

改札を出て左に曲がると1番出口に出ることができます。
階段を下って地面に出ると、
バスが沢山止まっています。

そこらへんに立ってるバスの誘導係のおっちゃんが手招きしてくれた②番のバスに乗れば大丈夫です。

そのバスで終点までいくと「慶煕大病院前」に到着です。

2.Global Healthcare Centerについて

どーん!
立派な建物。

大学病院なので、大学と思われるような建物や、隣接の歯科医院などもありました。

本院のエントランスをくぐると、
なんとキラキラシャンデリア!!
ここは外来受付になっていました。

病院感が全くない。お洒落なホテルみたいだ。
こんな病院憧れるなぁ〜と見渡しつつ、
インフォメーションデスクで事前にアポを取っていた金さんを呼んでいただくことに。

そしてまず最初に私を連れて行ってくださった場所は「Global Healthcare Center」です。

ここでは各国から訪れた患者さんが治療を受けるための説明や、概要などを聞くことができます。様々な言語のパンフレットや漢方医学の本などもあり、自由に閲覧することができるフリースペースとなっていました。

そこで気になることがひとつ。

韓国語、英語、に並んで、ロシア語表記がものすごく多い。

この疑問を尋ねてみると、
韓国の漢方医学系の病院にはロシア人の受診が多いそうで、外国からの受診者数の6割をロシア人が占めているそうです。

それというのも、
ロシアでは医療保険制度が整っていないことから医療費の自費負担がものすごく高いこと、
また、「誤診」が多くロシア人は自国の病院や医師を信頼していない。ということらしいのです。

そのような背景から、
大陸続きの近隣国であることも相まって、特に東ロシアから韓国の病院への受診患者が増えているのだそうです。

人間ドックなどの検査や、健康増進のための漢方治療を目的に、多くのロシア人が韓国へ診察を受けにくるというのは、本当に初耳だったのでとても驚きました。

3.漢方病院の各治療室について

続いては漢方病院の見学です。
慶煕大学附属韓方病院では、西洋医学を行う通常の大学病院の部分と、漢方病院が廊下で繋がったような構造になっています。

以下に箇条書きで主な治療室の紹介をしたいと思います。

・顔面治療室
ここでは顔面神経の麻痺によって顔が浮腫んでしまったり、うまく表情筋を働かすことができない患者さんに対して、エステサロンのような機械を用いて針治療を行います。脳の障害によるものでない顔面麻痺はこの治療によってほとんど改善されるとのことでした。すごい、。

・座薫室
ここは簡単に言うと「よもぎ蒸し」を行う部屋です。小さな個室が沢山あり、その一部屋ごとによもぎ蒸しを行うための椅子が用意されています。冷え性や月経不順の改善目的で使われたり、産後ケアとしても利用されており、韓国では700年ほども前から民間療法として親しみ続けられているものです。

・灸療法室
ここはお灸の処置室です。脳梗塞の患者さんなどが外来で来られて、1日に100人程処置するそうです。ここで使われるお灸のメインの成分にはヨモギが使われていて、ボランティアの方がお灸を練って形を形成する仕事をなさっていました。

そのお灸を使って主に研修医が治療を施しているとのことで、この病院ではお腹に10〜15分ほどのせておくと言うのが主流のやり方だそうです。
お灸を行う専用の部屋ということもあり、配管設備がとてもしっかりしていて、焼肉屋の網の上のダストのように、ベットごとに排煙を吸引する仕組みが整っていたことも驚きでした。

4.漢方薬局について

最後は病院内に併設してある漢方薬局を見学させてもらいました。

ここでは主に「漢方の調合」と「漢方薬の煎じ」を行っています。

380種類もある漢方薬の元となる素材を、漢方医による処方に沿って患者ごとに配合を変え、個々に適した漢方薬を調合します。ここのスタッフは調剤師、漢薬師などによって構成されています。
千と千尋の神隠しのカマ爺の部屋みたいですよね!笑

調合室で調合された漢方薬は、粉末としてそのまま処方される粉薬と、煎じて液体として処方されるものの大きく2つに分けられます。

煎じる工程が必要なものは、この入院湯煎室にて患者ごとに専用の煎じ器によって1.5時間煎じられます。

専用の煎じ器には患者ごとに名前が記載されており、患者ごとに漢方薬が管理されていることが分かります。またそれぞれの煎じ器の下に見える引き出しの部分には煎じる前の状態の漢方薬がストックされています。

煎じ終えた漢方薬はこのようにビーカーなどによって紙パックのような容器に詰められます。これが院内の患者のもとにそれぞれ届けられ、1回100mlを10:00、15:00、20:00の1日に3回服用することになります。

施設見学の途中で通りかかった廊下には、このように漢方薬に使用される様々な珍しい逸品も飾られていました。見たことないものばかり、。ほとんどは韓国国内で採取していますが、海外から特別に取り寄せるものもあるそうです。

5.統合医療の実際を見て

完全に西洋医学の治療法とはかけ離れている東洋医学の様々な療法が、「治療」として病院という環境の中に溶け込んでいることが、やはり一番の驚きでした。

西洋医学と東洋医学が1つの病院内に混在しているというのは、日本では見ることのできない異例な光景で、お互いの両点を補完し合い、「病人全体」を治療対象として処置を施していく姿に「統合医療」の実際を垣間見れたような気がしています。

生活の知恵や、家庭での簡単な処置から発展し、今日まで受け継ぎ続けられてきた伝統的な治療法である東洋医学。ここまで何百年も受け継がれ続けてきたのにも理由があります。

やはり自分たちの体の事を一番よく分かっているのは私たち自身で、その知恵から生まれた民間療法は私たちが健康に生きるために必要不可欠な要素であるということです。

西洋医学だけに頼る時代は終わりです。
西洋医学と東洋医学を融合した「統合医療」をさらに推し進めていきたい。

日本の病院の中に、エステがあっても、お灸室があってもいい。むしろそれが当たり前になっていくような病院づくりをしていきたいなと思っています。

(見学に協力いただいた金美花さん、ありがとうございました。)


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