【出会いは漫画広告vol.2】言葉にできない感情と見守りたいキュンがそこにある『スケバンと転校生』
新たな漫画と出会うきっかけとなるコンテンツとして、私が最近注目している漫画広告という存在。
漫画広告で流れてくる作品の特徴としては、いわゆる今旬の漫画ではなく、不倫、復讐、成り上がり、異世界モノ...など少々尖った切り口の隠れた&ネクスト話題作。広告によっては公開しているシーンやコマのチョイスが本当に秀逸で、思わず1話を購入してしまいたくなる広告と出会った時は、作品はもちろん、この広告クリエイティブを作った方に拍手を送りたくなる。
というわけで、本記事はタイトル通り漫画広告で出会った面白い作品たちを毎週紹介していく企画だ。「あ!これ漫画広告で見かけて気になってた!」という方の参考になれば幸いである。
令和のTwitterに流れてきた"スケバン"
1月末からよく見かけるようになった、双葉社発のマンガ無料配信サイト「webアクション」さんによるこちらの広告。80'sテイストな絵柄に思わず目を奪われよく見てみると...。ん?スケバン!?1970年代初頭~1980年代後半にかけて使用された、不良少女を指す俗語であることは知っているが、まさか令和のこの時代にTwitterのタイムラインに流れてくるとは!と広告の1枚目からインパクト大だった。
さらにスワイプしていくと、GL(ガールズラブ)の切ない恋愛模様を感じさせる内容となっている。今よりも同性愛の理解度が低い時代を舞台に、どんな物語が展開されていくのかと心惹かれた。
言葉にできない感情を描く『スケバンと転校生』
「webアクション」さんの漫画広告で紹介されていたのは『スケバンと転校生』(ふじちか)という作品だ。
主な登場人物は、一匹狼のスケバン・南雲あつ子(画像左)と天真爛漫な転校生・神崎凛々(画像右)。喧嘩が誰よりも強く、狼のように鋭い眼差しを向けるあつ子に魅力を感じ、密かに好意を抱く凛々は彼女に何かと構い、不意に見せるギャップにうっとりする。あつ子はそんな凛々を疎ましく思いながらも、徐々に胸の奥に芽生える"言葉にできない感情"に心をかき乱されていく。
見守りたいキュンがそこにある
2人の出会いは、凛々があつ子の落とし物を拾ったところから始まる。拾った鍵を渡す代わりに「わたしにかわいい言葉を言って!」と満面の笑みでお願いする凛々...。まさに漫画広告の話がここに繋がるのだが、鋭い目つきをして校内で平気でタバコを吹かすようなあつ子が「ふわふわ」「もぐもぐ」など大人しく言葉を発している姿はシュールだけれど、なんだか可愛い。そして、そんな彼女を見て悶えている凛々も可愛い!作中で描かれる2人の姿は、まるでじゃれあっている付き合い立ての恋人のようで、思わずキュンとしてしまう。
このキュンをもう少し詳しく説明するのであれば、あれだ。「見守りたいキュン」だ。急いでくっつかなくても良い、ドキドキする急展開もなくて良い。お互いが抱く感情をゆっくりとあたためながら、共に過ごし紡ぐ「今」の物語をそっと見守っていたい。
『スケバンと転校生』は、そこまで強い恋愛要素や恋人関係を感じさせる描写はなく、ほんのりと甘い学園コメディものとなっているので、GL漫画を初めて読む方にもおすすめしたい一作。この機会にぜひ読んでみて欲しい。
「出会いは漫画広告」シリーズは毎週土曜日に更新。バックナンバーは以下マガジンよりご覧いただけます。
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