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【漫画原作アイデア】『俺のペットは宇宙人』シナリオ・設定まとめ

1タイトル
『俺のペットは宇宙人』

2ジャンル
オカルトコメディ

3ターゲット読者層
10〜20代男女

4あらすじ
都市伝説や陰謀論が大嫌いな社会人3年目の主人公、高蔵マコト。マコトはある時、ひょんなことから謎の宇宙人ピコに出会い、彼女をペットとして飼い始める。宇宙人の存在を全く信じることができなかったマコトは、なかなかピコに心を開くことができなかったが、子供の頃に飼っていた犬とピコを重ね合わせ、次第に距離を縮めていく二人。しかしそんなピコのことを、謎の組織が狙っていた。その組織のバックにはどこかの国の政府の影が見え隠れする。マコトはピコを守るため奮闘するが、行く先々でトラブルに巻き込まれていく。マコトは宇宙人ピコを守り切ることができるのか?

5登場人物
■高蔵マコト
社会人3年目の会社員。都市伝説や陰謀論が大嫌いな筋金入りのリアリスト。真面目な性格で、政府が国民に隠し事をしている今の世の中に疑問を抱いている。ある時、宇宙人ピコと出会うことで、彼の人生が大きく動き出す。コーラが大好き。

■ソラ
マコトが幼少期に飼っていた雑種の捨て犬。ある日マコトが目を離している間に道路に飛び出し、車に轢かれて命を落とす。マコトはその出来事がトラウマとなり、動物と触れ合うことを避けるようになる。

■ピコ
グレイの見た目をした謎の宇宙人。女の子。本人いわく、宇宙旅行中に両親と逸れ、迷子の末、偶然地球にたどり着いたという。純粋な心の持ち主で、疑い深いマコトのことも心から信頼している。感情表現が豊かで、様々な特殊能力を使うことができる。嫌いなものは雷と側溝の穴。

■コードネーム・ヤヌス
ピコのことを付け狙う謎の組織のリーダー格。見た目は北欧系のスリムな中年男性。どこかの国の政府の命令で、日本国内で隠密行動をしている。見た目に反してかわいいものが大好き。趣味はぬいぐるみ集めとクレー射撃。運動神経と射撃の能力が非常に高い。

6脚本
第一話

・この世の中には、本当かどうか分からない胡散臭い噂話が溢れかえっている・一度SNSを開けばそういった怪しい情報が嫌でも目に入ってくる・とある金融企業に勤め始めて3年目になる主人公の高蔵マコトは、常にそう考えていた・(秘密結社が世界を裏で支配している?アメリカのサンフランシスコにUFOが墜落した?バカバカしい、俺が知りたいのはそんな情報じゃない!)・マコトは通勤中の電車の中で、日本や海外の経済ニュースについてスマホでチェックすることが毎朝の日課となっていた・ある日の朝、通勤ラッシュで混雑する電車の中で、マコトはあるニュースを見つけた・それはアメリカ政府内のある組織が、UFOに関する調査文書を公開したという内容だった・マコトはそのニュースを疑いの目で見つめた・(ハッ、こんなのアメリカ政府が中国を牽制するために流してるプロパガンダに決まってるだろーが!UFOなんているはずがない、こんなニュースを間に受けるやつははっきり言って馬鹿だな)・職場近くの駅に着いたマコトは、他の乗客にもみくちゃにされながら電車を降りた・3年目にして、ようやく仕事に慣れ始めてきたと感じていたマコトの中では、徐々に世の中に対する怒りが膨れ上がってきていた・この国の政府は国民に隠し事ばかりしている・政府は自分たちにとって不都合な情報を隠蔽するために、わざと胡散臭い都市伝説や陰謀論を垂れ流して国民を混乱させている・しかも一部の馬鹿な国民は、SNSやネット上に溢れかえっている都市伝説や陰謀論を本気で信じ込んでいる・そのせいで都市伝説肯定派と否定派に分かれて、同じ国民同士で争いあっている・それが腐り切った政府の思惑通りであるとも知らずに……・マコトは夏のさんさんと照る太陽を見上げた・(まったく、世の中馬鹿ばっかりだ。どうしてこの国はここまで落ちぶれてしまったのだろうか?)・その時、マコトの視界にある光景が映った・それは、通学中の小学生たちが近所で飼われているゴールデンレトリバーの周りに集まっている光景だった・そのゴールデンレトリバーは子どもたちのことを全く怖がっておらず、小学生たちも慣れた様子でその犬の頭を撫でていた・その様子を見ていたマコトの脳裏に、過去の苦い思い出が蘇ってきた・子供の頃に実家で飼っていた犬が、少し目を離した隙に道路に飛び出して、車にはねられて命を落とした・マコトはその犬のことを自分の兄弟のように可愛がっていた・その犬の死は、マコトの中である種のトラウマになっていた・それからマコトは、動物を飼うことを避けるようになった・それだけではなく、周りの友人や恋人が動物を飼っていると知るだけで、過去のトラウマが蘇り、辛い気持ちになっていた・そのためマコトは、普段の生活でなるべく動物とは関わらないようにしていた・動物を見ると、昔飼っていた犬の死を思い出して、後悔の念に苛まれてしまう・あの時、自分が目を離さなければ、あいつはもっと長生きできたかもしれない・マコトは、小学生たちの光景から無理やり目を逸らし、職場へと向かった・職場近くまで来た時、周囲の通行人が何かに騒いでいることに気づいた・(どーせ芸能人か誰かがいたから野次馬が騒いでるだけだろう)・目の前の角を曲がればもう職場は目の前だ・マコトは近くのビルのガラス窓に映る自分の姿をチェックした・(社会人たるもの、身だしなみは肝心だ、人の印象の9割は見た目で決まる)・ネクタイを直して満足したマコトは、角を曲がり職場があるビルを見上げた・しかしその瞬間、マコトは自分の目を疑った・「え?」・マコトが通い慣れていた職場のビルは、巨大な銀色の円盤に押しつぶされてペシャンコになっていた・「な……何じゃこりゃあぁあぁあああぁあっっっ〜〜〜〜!!!????」・周囲には不思議そうに円盤を見つめる野次馬たちが群がっていた・マコトは混乱とパニックに襲われていた・(こ……これは円盤か!?よく見たらアダムスキー型!?ってことは、これUFO!??いやいやそれはないだろ!UFOなんているわけないし……)・そこでマコトは、急にビルの中にいるであろう同僚たちの安否が心配になり、ビルの方に駆け出した・そこにはビルの瓦礫の中から脱出した同僚たちが集まっていた・「大丈夫ですか!?」・同僚たちの元に駆け寄るマコト・そこには見慣れた優しそうな課長の顔があった・「おぉ!マコトくん、ようやく来たか!」・課長の元気そうな声に安心するマコト・「良かった!皆さん無事で……」・すると課長がこう言う・「何言ってるんだ!心配したのはこっちだよ!通勤時間から5分遅刻だ!全く最近の若者は、時間を守ることもできんのか!?」・その言葉を聞いて思わず突っ込むマコト・「いや、部下の遅刻とか気にしてる場合じゃないでしょコレ!?会社が潰れてるんですよ!?それにそんな怖い顔で怒る課長見たのも地味に初めてだし!!」・そこに同僚であり友人でもある同世代の社員が頭から血を流しながら話しかけてきた・「まぁそうカリカリすんなってマコト!会社は潰れたが犠牲者はなし!これでプラマイゼロじゃねーか!ハッハッハ」・もう一度突っ込むマコト・「ハッハッハじゃねーよ!言ってること意味分からんから!これから俺たちどうやって生活してくんだよ!!っていうかお前病院行かなくていいの!??」・突っ込むのに疲れたマコトは、社員たちから一旦離れてこの状況を整理することにした・(どうなってんだこれは?課長たちがあんなアホな発言することは普段無いのに……まさかあの円盤が落ちてきた影響か?っていうかあの円盤は一体何なんだ?)・その時、空からバババババッという轟音が聞こえてきた・それは何と自衛隊のヘリだった・その後現場は、駆けつけた自衛隊員によってあっという間に立ち入り禁止にされた・周囲の野次馬たちはスマホをチェックされ、円盤を撮影した写真や動画は強制的に削除され、マコトたちは別の建物の中で機密保持文書にサインさせられた・自衛隊員によれば、しばらくの間はマコトたちの職場を復旧させることは無理だと言う・ショックを受けるマコトとは反対に、他の社員たちはまた訳の分からないリアクションをとっていた・「えー、じゃあ私帰ったら撮り溜めしてた連ドラ一気見しようかなー」「じゃー俺はコンビニで今週のジャンプ買って家でゆっくり堪能しますか!」・その発言にドン引きするマコト・(ハ?何こいつら……普段はこんなこと言うやつらじゃないのに……一体どうなってんだ?全く訳分からん)・頭が混乱したまま、自宅のマンションに帰るマコト・自室に入り、ベッドに倒れ込む・(一ミリも働いてないのに、なんかめっちゃ疲れたな……)・その時、マコトの背後から謎の声が突然聞こえてきた・「じゃあ僕がその疲れを取ってあげるよ!」・びっくりして後ろを振り返るマコト・目の前には大きな黒い瞳に大きな頭、ピンクがかった肌、そして小さな体と細い手足を持つ謎の生物が、謎のダンスを踊っていた・「これ、『光のダンス』って言うんだ!これを見ると元気になれるよ!」・衝撃のあまり絶叫するマコト・「ぎゃあああぁあぁぁあああ〜〜〜〜〜〜!!!!!」・謎の生物はその声にびっくりしてカーテンの裏に隠れてしまった・マコトはマコトで、布団の中に潜り込んでいた・しばらくして冷静さを取り戻しつつあったマコトは、布団の隙間から謎の生物を観察することにした・「お前…何者だ?っていうか、喋れるのか?」・謎の生物は再び話し始めた・「うん、僕、この星の言葉、全部喋れるよ」・ますます目の前のことが信じられないマコト・謎の円盤の次はグレイのような謎の生物・マコトは恐る恐る質問した・「お……お前って、もしかして……」・その時、玄関のドアをドンドンと叩く音が響いた・「おーい!今この部屋から叫び声が聞こえたが、何かあったんかー?」・大家さんの声だ・そう思ったマコトはどうすべきか思い悩んだ・謎の生物の方に目を向けると、そいつはカーテンの裏でブルブル震えながら怯えていた・その姿を見たマコトの脳裏に、再び苦い思い出が蘇ってきた・マコトが昔事故で亡くした犬は、雑種で元々捨て犬だった・学校帰りに偶然、段ボールの中で震えていた犬を、マコトは家に連れ帰って家族として迎えることにした・元々犬が好きというわけでもなかったマコトがその犬を拾った理由は、ただの気まぐれだった・マコトはその犬に「ソラ」と名前をつけて可愛がった・今、大人になったマコトの目の前で震えている謎の生物は、かつての家族であるソラを彷彿とさせた・マコトの中に、わずかに哀れみと思いやりの心が芽生えてきた・マコトは玄関を開けて大家さんにこう言った・「いやーすいません、部屋ん中に突然ゴキブリが出まして、びっくりして思わず大声を出してしまったんですよ」・大家さんは鋭い目つきでしばらくマコトを睨んだ後、納得した様子でその場を去って行った・安心したマコトは、謎の生物に声をかけた・「おい、もう大丈夫だぞ。ところで、お前一体何者だ?」・謎の生物は不安そうな声でマコトに質問した・「僕の正体を知っても、びっくりしない?」・正直マコトは早くこの謎の生物を手放したいと考えていたため、とりあえず話だけでも聞いてやることにした・「あぁ、びっくりしないよ」(ふん、どーせ病気で毛が抜け落ちた猿かなんかだろう。何で人間の言葉を喋れるかは知らんが……)・そう考えていたマコトをよそに、謎の生物は自己紹介を始めた・「僕の名前はピコ!宇宙旅行してたらお母さんと逸れてこの地球に落っこちたの。だからお母さんが迎えに来るまで、僕をあなたのペットにしてください!」・自分の耳を疑うマコト・「え?」・ピコは説明を続けていた・「実は、この間火星で子供用の宇宙船に乗る練習をしてたら間違えて地球に落っこちて、そしたら優しそうなお兄さんの姿が見えたからこっそり家までついてきたの!」・ピコの言葉が信じられなかったマコトは、ピコに質問した・「ってことは……お前は宇宙人……?そ……そんな馬鹿な……宇宙人なんてただの都市伝説だ。そうだ、お前が本当に宇宙人だって言うなら、それを証明しろ!宇宙人なら瞬間移動でもテレパシーでも何でもできるんだろ!?」・するとピコは答えた・「うん、できるよ!」・マコトが反応する間もなく、突然目の前の景色が自室から変わり、眼下には壮大な街と海が広がっていた・最初はそこがどこだか分からなかったマコトに、隣にいたピコが笑顔で教えた・「ここはブラジルだよ!」・マコトが今いる場所をよく見ると、そこはブラジルのリオデジャネイロにある巨大なキリスト像の前だった・「ブ……ブラジル〜〜〜〜〜〜〜!!!????地球の裏側〜〜〜〜〜〜〜!!!????」・すると今度はマコトの頭の中にピコの声が響いてきた・(ほらこの通り、テレパシーも使えるよー!)・絶叫するマコト・「ぎゃあぁぁああぁぁああ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」・そんなマコトの姿を見たピコは笑っていた・「もー、驚かないって約束したじゃん!」・叫び続けるマコト・「だ……誰か助けてくれ〜〜〜〜!!!こ……ここに宇宙人が……」・「周りの人に僕の姿は見えてないよ?」・ピコのその言葉を聞いてさらに絶叫するマコト・「嘘だ〜〜〜!!??」・こうして、現実主義者マコトと宇宙人ピコによる共同生活が始まった・一方その頃、円盤が墜落したマコトの職場で、スーツ姿で北欧系の謎の男が自衛隊員と会っていた・「ターゲットを逃しただと?全く、本当に使えんやつらだな。平和ボケした日本の軍は……」

第二話
・高蔵マコトは、ある日会社に出勤したら、職場が謎の円盤に潰されていた・家に帰ると、ピコという名の謎の宇宙人がついてきており、マコトはピコの母親が迎えに来るまでの間、彼女をペットという体で、一緒に暮らすことになった・しかし都市伝説懐疑派のマコトは、今でもピコの存在を疑っていた・もしかしたらこいつは、在日米軍が何らかの実験で生み出したモンスターの可能性もある・そのような疑惑を抱えたまま、マコトはバイトで何とか生活費を稼いでいた・バイトはあくまで、職場が復旧するまでの繋ぎだった・ある日マコトがバイトを終えてマンションの自室に帰ると、そこにピコの姿はなく、代わりになぜか巨大なライオンが佇んでいた・びっくりして腰を抜かすマコト・するとライオンの顔の形が変化し、見慣れたピコの愛らしい顔が現れた・体はライオンで頭だけ宇宙人という奇妙な光景を見て、言葉を失うマコト・そんなマコトに対してピコは笑いながら弁明した・「あ〜驚かせてゴメンゴメン。ちょうど今シェイプシフトの練習をしてたんだー!」・マコトにはシェイプシフトが何のことか全く分からなかったが、一つだけ確実に言えることがある・それは、ピコが家に来てから自分の人生が大きく変わったということだ・ピコとの出会いの日から、毎日毎日ぶっ飛んだ出来事に遭ってばかりだ・今までの人生でマコトは、超常現象や心霊現象などの科学的に説明できない事柄を一切信じてこなかった・しかし、今は目の前で既存の科学に反する出来事が毎日起きている・その原因は常にピコにあった・これがこの先吉と出るか凶と出るかは分からないが、とにかくピコの母親が迎えに来るまでの辛抱だ・ピコはライオンの姿からいつもの小柄なグレイの姿に戻り、冷蔵庫を開けてコーラを飲み出した・(こいつ……もう完全にこの部屋に住み慣れてやがる……!)・マコトがそう心の中で呟くと、ピコがそれに反応した・「うん!僕この部屋大好き!もうずっとここにいようかなー」・驚くマコト・「お前、瞬間移動やテレパシーだけでなく、心を読むこともできるのか!?」・ピコが笑顔で答える・「うん、できるよ!あと人の心を操ることもできるよ!」・ピコの発言に少し恐怖を覚えるマコト・「ど…どういうことだよ?」・ピコは再び答えた・「う〜んたとえばー、この間マコトの会社に僕の宇宙船が落っこちちゃった時、地球の人たちがパニックにならないように、周りの人たちの頭を少しイジったんだよねー」・マコトは、事件現場で会社の同僚たちがおかしな言動をしていたのはその影響だと思った・するとピコは再び冷蔵庫の中を漁り始めていた・「あー、僕これ大好き!食べよーっと!」・慌ててピコを止めるマコト・「あー!それはさけるチーズ!?だめだそれは!コーラのつまみなんだから!!」・その頃、都内のとあるホテルの一室では、北欧系の謎の男が浴室でシャワーを浴びていた・その男の引き締まった体は、あらゆるところに傷跡が見えていた・男は、都内のとある金融企業のオフィスビルに円盤が墜落した先日の事件のことを思い出していた・その事件は、アメリカ政府の圧力によって完全に隠蔽されていた・(あの円盤は、アメリカ軍が極秘に開発していた反重力宇宙船の試作品……ある日突如基地から姿を消し、行方不明になっていた。その宇宙船が日本の東京で見つかったということは、何者かが宇宙船を操縦してそこまで移動したということだ)・シャワーを止めてタオルで頭を拭きながら、男はバスローブ姿で浴室を出た・「どこの誰かは知らないが、政府の最高機密に触れてしまったからには、そいつを生かしてはおけない!」・男は自分に言い聞かせるように口に出してそう言った・すると部屋の奥から一匹のマンチカンが鳴き声を上げながら男に近づいてきた・すると、男の表情が一気に柔らかくなり、赤ちゃん言葉で猫に話しかけ始めた・男は見た目に反してかわいいものが好きだった・部屋の中には、男がアメリカの自宅から持ち込んだ可愛らしいぬいぐるみがあちこちに置かれていた・男はぬいぐるみの一つを持って、飼い猫とじゃれ始めた・そして不気味な笑みを浮かべてこう言った・「早く君にも会いたいなぁ……高蔵マコト」・その瞬間、マコトの体に鋭い寒気が走った・「どうしたの?マコト」・心配するピコ・「いや、何でもないよ」・マコトとピコは、二人で並んで座って、テレビでバラエティ番組を見ていた・「体調が悪くなったらいつでも言って!僕がこの『光のダンス』ですぐに治してあげるから!」・そう言ってピコは、マコトの目の前で再び謎のダンスを踊り出した・「いや……そのダンスはマジで何なの?それで体調が良くなるとは思えん」・翌日バイトが休みだったマコトは、冷蔵庫の中のコーラが残り少ないことに気づいて、近くのコンビニに買い出しに行くことにした・マコトが家にいろと言ったにも関わらず、ピコも外出に付き合って来た・ピコの姿はマコト以外の人間には見えていないらしい・(こいつは本当に宇宙人なのか?幽霊かなんかじゃないのか?)・未だにピコの正体が理解できないマコトだった・その日は夏の一番暑い日だった・自動販売機を見つけたマコトが、ピコに何か飲み物が欲しいか聞こうと思い後ろを振り返ると、ピコは道の端にある側溝の穴に足を挟んで動けなくなっていた・「マコト……助けて🥺」・思わず顔をしかめるマコト・「そんな目で俺を見つめるな!側溝の穴に足挟むとか、お前は犬か!」・その時、夏の空に遠雷の音が響いた・その瞬間ピコが甲高い悲鳴を上げる・「ぴえぇぇええぇえっ!!!」・ピコは耳を手で塞いで道の端でプルプル震え出した・「お前、本当に犬みたいだな」・そう言いながらマコトは、ソラも同じように雷を怖がっていたことを思い出し、思わず笑顔になる・マコトはピコを安心させ、コンビニまでは二人で手を繋いで行くことにした・コンビニの中は冷房が効いていて涼しかったため、マコトはコーラと食料を少し買った後、イートインスペースでしばらくコーラを飲みながらスマホで経済ニュースをチェックすることにした・そこでマコトは、先日の円盤墜落事件に関する報道が一つも載ってないことに気づいた・それを疑問に思うマコト・(あの時現場の周りには野次馬が大勢いた。そのうちの誰かがSNSで円盤の写真とか投稿していてもおかしくないはず。なのに何で?)・するとマコトの脳内に、いつも朝の通勤中にSNSを見ながら考えている、自分にとってはお馴染みのセリフが思い浮かんだ・「この国の政府は国民に隠し事ばかりしている」・突然聞こえたピコの声にびっくりするマコト・ピコが近くにいることをすっかり忘れていた・「また俺の心を読んだのか?」・マコトのその質問を無視してピコが逆に質問してきた・「ねぇ、セーフって何?マコトのお母さんのこと?」・マコトはため息をつきながらそれを否定した・「違うよ。政府ってのは国を統治してる行政機関のことだよ」・「ギョーセー?」・マコトはピコのことがますます分からなくなっていた・(こいつ、宇宙人とか言っといて政府の意味も知らないのか?こいつの故郷には政府がないのか?それともまだ子供だから知らないだけか?)・店員から不審な目で見られていることに気づいたマコトは、ピコを連れてコンビニを出た・そんなマコトのことを、電柱の陰から一人の黒スーツの男が監視していた・「ターゲットを捕捉しました。このまま追跡を続けます」・マコトがマンションに向かって歩いていると、突然ピコが街の一角を指さして質問した・「ねぇ、あれ何?」・ピコの指の先には朱色に塗られた鳥居があった・参拝客が誰もいない寂れた神社がそこにあった・「あぁ、あれは神社だよ。神様を祀っているところだ」・すると突然ピコの顔がキラキラ輝き出した・「神様?それってもしかして『ソース』のこと?すごいすごい!」・マコトにはピコが何でそんなに嬉しそうなのか分からなかった・「ソ…ソース?神様は調味料のことじゃないぞ?」・しかしピコは全く聞いていなかった・「地球にもちゃんといるんだね。知らなかったなー」・喜んでピョンピョン飛び跳ねるピコの姿を見て、マコトは前からずっと気になっていたある質問をピコにぶつけてみた・「なぁ、ピコってさぁ…男の子なの?それとも違うの?」・するとピコは笑顔で振り返ってこう言った・「僕?女の子だよ!」・「……ふーん、そうか」(まぁ、地球にも僕っ子の女子とか普通にいるもんな)・心の中でそう呟いたマコトは、家に向かって再び歩き出した・その時マコトの脳内に再び昔の思い出が蘇ってきた・(そういやあいつもメスだったな)・昔マコトが拾ってきた捨て犬ソラのことを、マコトもマコトの両親もずっとオスだと思い込んでいた・毛が長くて性器が見えなかったし、家に迎えたばかりの頃は攻撃的な性格で、マコトも何回か手を噛まれたことがあったため、誰もが勝手にオスだと決めつけていた・しかしある時、狂犬病の予防注射を打たせるためにソラを動物病院に連れて行った際、獣医によってこの子はメスだと告げられた・ソラの性別がオスかメスかなんて、正直マコトにとっては大した問題ではなかった・しかしなぜかソラのことをメスだと知った頃から、ソラとの距離が一気に縮んだ気がしていた・もしかしたら自分は、ソラがオスだという先入観が勝手に働いて、ソラ自身が望まない接し方を無意識にしていたのかもしれない・そしてそれが原因でソラは攻撃的になっていたのかもしれない・(まぁ、誰だって自分の性別を勘違いされたらそりゃ怒るわな)・そう思ったマコトは突然、心の底でピコが実はめちゃくちゃか弱い存在であることに気づいた・(宇宙人の子供で女の子、しかも慣れない地球に突然落っこちてきた……いつ誰に狙われてもおかしくない)・マコトの中で、ピコの母親が迎えにくるまで彼女を守ってあげなければならないという謎の使命感が密かに湧き上がってきた・自分でもそんな感情がなぜ生まれるか分からなかった・しかし、子供を守るのが大人の使命であることに変わりはない・マコトは決意を新たにし、これからはピコから片時も目を離さないでおこうと誓うのだった・その瞬間、マコトはピコがちゃんと自分についてきているか心配になり、急いで後ろを振り返った・しかし、そこにピコの姿は見えなかった・慌ててピコを探すマコト・「ピコー!どこだー!?」・するとどこからかピコの声が聞こえてきた・「ねー!マコトー見て見てー!」・マコトが声のする方を見上げると、何とそこには巨大なイノシシの体を持ち上げるピコが宙に浮いた状態でいた・「えぇ〜〜〜〜!!?浮いてる〜〜〜!!??何で!?ってかそのイノシシは一体どうしたんだよ!!???」・ピコは平然とした様子で答えた・「その辺の草むらの中を歩いてたから捕まえた!ね〜今日の晩御飯はこいつにしよーよ!」・もう何が何だか分からなかったマコト・「こいつは本当に……何でもアリだな」(もしかしたらこいつ、俺なんかより何倍もたくましいんじゃないか?)・その夜マコトは、大家さんに頼んでイノシシを調理してもらった・大家さんはマコト以外のマンションの住民たちも自分の家に招いて、皆んなで猪肉パーティーを開いた・もちろん、他の人間にはピコの姿は見えなかった・それでも、ピコはマコトといるだけで楽しそうだった・パーティーが終わった後、マコトは食べ残した料理を自室に持ち帰って、今度はピコと二人っきりで猪肉料理を堪能した・他の人間がいなければ、ピコも安心して料理を食べることができた・マコトは、次第にピコと過ごす日々を楽しく感じるようになっていた・それはまるで、新しい家族が一人増えたかのような感覚だった・ピコは突然、笑顔でマコトにこう言った・「僕、地球がこんなに楽しい場所とは全然知らなかった。ありがとねマコト!」・マコトは少し頬を赤らめながら気にしないふりをした・「いいからさっさと食べろよ。冷めちまうぞ」・しかしそんな二人のことを、ある一人の男が監視していた・その男は、上司である北欧系の謎の男に連絡した・「ターゲットのヤサをようやく突き止めました。どうしますか?ヤヌス」・ヤヌスと呼ばれた北欧系の男は、ニヤリと笑って部下にこう命じた・「横田基地に連絡しろ。政府の許可が降り次第、ターゲットを捕獲する!」

第三話
・マコトとピコが出会ってから1ヶ月が経った頃、マコトが住んでいるマンションの正面に、ある一台の軍用車がやって来た・まだ夜明け前で薄暗い時間帯だった・周辺に住民の姿はない・すると軍用車の中から武装した兵士が数名出てきて、マンションの中に侵入した・そして事前に調べ上げていたターゲットの部屋の前までやって来る・そこは、マコトとピコが暮らす部屋だった・兵士たちは警告無しに勢いよくドアを開けて、ライフルを構えた・しかし、部屋の中には誰もいなかった・その頃マコトはレンタカーに乗り、高速で奈良に向かっていた・もちろん助手席にはピコが乗っていた・二人が奈良に向かうことになった理由は、ピコがあるメッセージを受け取ったからだった・回想(約1週間前)・バイトを終えて、部屋でコーラとつまみを食べていたマコト・すると突然ピコが変な叫び声をあげて、その直後に聞いたこともない言語で独り言を喋り出した・「!?ど……どうした!??」・よく見ると、ピコの大きな瞳が青紫に光っており、ピコの体が少し痙攣していた・これはただ事ではないと感じたマコト・もしかしたらピコの体は地球の環境に合っていなかったのかもしれない・慣れない環境に身を置いたことでストレスが蓄積し、今一気にそれが爆発したのではないか?・そう思ったマコトは、ピコを動物病院に連れていくべきかどうか思い悩んだ・すると突然ピコの目がいつもの愛らしいクリクリの黒い瞳に戻り、体の痙攣も治っていた・それを見て安心するマコト・その時ピコが興奮した様子でマコトに告げた・「お母さんが迎えに来るって!今お母さんからテレパシーが来たんだ!」・マコトは一瞬その言葉の意味が飲み込めなかったが、ピコの嬉しそうな表情を見てようやく理解した・(そうか……もうお別れか)・マコトは少し残念に思ったが、笑顔でピコに言った・「良かったな、ピコ。家に帰れるんだろ?」・ピコは小さな体でマコトにハグをした・「マコトのおかげで僕、無事に家に帰れるよ!ありがとう!」・ピコの体を離したマコトは彼女に質問した・「で、お前の母さんはどこに迎えに来るとかは言ってなかったのか?」・するとピコは少し困った様子で言った・「うーん、お母さん地球の地名とか全然知らないから。なんか、パンチパーマのデッカい像の前で待ってるって言ってたよ」・マコトは考え込んだ・「パンチパーマのデッカい像?もしかしてそれって大仏のことか?」・ピコには大仏が何のことかさっぱり分からなかった・マコトはさらに考え込んだ・(しかし日本に大仏っていくつあるんだ?もう少し場所を絞らないとな)「なぁ、お前の母さん、他になんか言ってなかったか?大仏の周りに何かあるとか」・今度はピコが考える番だった・「んっとねー。 確かその像の近くに昔の色んなお宝を集めた建物があるって言ってた!」・マコトの頭に何かが引っかかった・マコトはパソコンを開いて日本三大仏像について調べてみた・すると奈良の大仏がある東大寺の近くに、正倉院という奈良時代の宝物を多く保管している有名な高床倉庫があることが分かった・こうして、マコトの予定が空いている1週間後の休日に、二人は奈良の東大寺を目指すことになったのだ・しかし、そんな二人の乗る車を、ある一台の黒塗りのベンツが尾行していた・東京を出発して約9時間後、ようやく奈良市内に入った二人・マコトは最初新幹線で行こうと提案していたが、ピコは人が多いところが苦手だったため、仕方なく車で行くことにしたのだった・長時間移動に疲れたピコは、助手席でぐっすり眠っていた・マコトもできれば休みたかったが、夜までには東大寺に行かなければいけなかったため、ピコの小さな体をそっとリュックに入れて車を出た・1週間前にピコが母親からのメッセージを受け取った後、再び別のメッセージがピコに降りてきた・その時ピコの母親は、地球の人々が夜空に注目している間に、東大寺でこっそりピコに会うと言ったらしい・その後再びマコトが調べてみると、この日の夜に奈良県で夏の花火大会が行われるということが分かった・きっとピコの母親は、人々の目が花火に向いている間に、宇宙船で東大寺の境内に降りてピコを拾うという魂胆なのだろう・そう思ったマコトは、ピコを連れてとりあえず予約しておいたホテルに向かった・ホテルの部屋で少し仮眠を取って、午後18時くらいには東大寺に向かおう・そういう計画だった・そんなマコトの姿を目視で確認したヤヌス・(ふん、よりによって奈良に来るとは……。こんな場所で軍事行動を起こせば、奈良の歴史的遺産を傷つけかねん。やはり私が直々に奴を捕えるしかないか)・そう考えたヤヌスは、黒塗りのベンツを出てある人物に連絡した・「不審な宇宙船が奈良上空に近づいたら撃ち落とせ。あぁ、上の許可はもう取ってある」・ホテルに着いて仮眠をとるマコト・目が覚めると、ピコがちょこんと椅子に座ってルームサービスで頼んだ豪華な料理を食べていた・(お前、勝手に頼むなよ…俺あんま金無いんだけど)・そんな彼女から驚くべき事実を聞かされるマコト・「はぁ!?あの円盤は盗んだものだって!?」・ピコによれば、マコトの会社に落っことした円盤はピコが元々持っていたものではなく、どこかの基地から盗んだものだという・「え?でもお前、火星で宇宙船に乗る練習をしてたら間違えて地球に来たとか言ってなかったっけ?」・するとピコは何でもないといった調子で説明した・「うん、でも本当は、火星から間違えて地球に来た時に僕、海に落ちたんだよねー。で泳いで海から顔を出したら、目の前に何かの建物があって、その中であの宇宙船を見つけたんだよねー。僕、早くお母さんのところに帰りたかったから、その宇宙船で火星に戻ろうとしたらマコトの会社に落っこちちゃったってわけ!」・怒るマコト・「お前、最初に会った時そんこと言ってなかったじゃんか!嘘ついたのか!?」・「うーん、面倒くさかったから端折った!」・「いや、端折んな!」・どうやらピコに悪気は全くないらしい・ピコは続けてこう言った・「なんか僕が盗んだあの宇宙船。僕が知ってる宇宙船とちょっと違ったんだよねー。見た目は同じだったけど、なんて言うんだろ?なんか、使いにくかった!」・ピコのその話を聞いて悪い予感がしてきたマコト・(もしその円盤がどこかの国が秘密裏に開発していた新兵器かなんかなら、俺は何かとんでもないことに巻き込まれてるんじゃないか?)・するとマコトの心を読んだピコが不思議そうな顔で話しかけてきた・「とんでもないことって何?ねぇそれよりもさー、僕お腹すいちゃった!何か食べに行こうよー」・「お前さっき自分で頼んだやつバクバク食ってたじゃねーか!」・するとマコトのお腹も鳴り出し、ピコが笑顔になる・「しょうがねーなー。朝から何も食ってないし、少し腹ごしらえでもするか」(とにかく、ピコを母親のもとに返しちまえば、俺があの円盤と関係があるっつー証拠は無くなる。夜までピコを守り切れば俺の勝ちだ!)・その後ホテルのロビーに降りたマコトに、ホテルのスタッフが話しかけてきた・「高蔵様、お客様に会いたいという方がこちらに」・マコトにはホテルで誰かと会う約束をした覚えはなかった・マコトはスタッフに質問した・「そいつが誰か聞いていますか?」・するとホテルのスタッフがこう言った・「何でも、政府の関係者だとか言ってましたけど?」・その時、目の前にその政府関係者らしき人物が姿を現した・「久しぶりだな。ミスター高蔵」・マコトは目の前に立っている北欧系の中年男性の顔に見覚えがあった・その男は、マコトが大学時代に参加した就活イベントの中で、国家公務員関係のブースで学生をスカウトしていた在日米軍関係者だった・マコトはその時、一緒にイベント会場に来ていた自衛隊志望の友人に誘われて、その場のノリで男の話を聞いていた・しかし軍に入る気が全くなかったマコトは、男の高圧的な態度が頭にきて、沖縄で米軍が起こした事件やアメリカがこれまでに犯してきた戦争犯罪についてなど、思いつく限りのアメリカの失態を指摘して批判しまくった・その時の、怒りに歪んだ男の顔をマコトは今でもよく覚えていた・北欧系の男はマコトと話がしたいと言い、マコトをベンツに乗せてどこかに向かった・どうやらこの男はピコの存在に気づいていないらしい・マコトはこの男にピコのことがバレないように、あえてピコの方に視線を向けるのを避けていた・しかし、ピコが怯えた様子でマコトの体にしがみついていることは気配で分かっていた・男は車を運転しながらマコトに語り始めた・「数ヶ月前、我々米軍が極秘で開発していたある兵器が基地から忽然と姿を消した」・マコトの内心はドキリとした・(きっとピコが盗んだ円盤のことだ)・男は話を続けていた・「そして今から約1ヶ月前、君の職場に突如円盤が墜落した。その円盤が我々米軍の基地から姿を消した兵器であることは君でも想像がつくはずだ」・マコトの心臓はバクバクと脈打っていた・「単刀直入に聞く。ミスター高蔵。君はあの円盤を盗んだ犯人に何か心当たりはないか?」・マコトはこの男もピコと同じように人の心を読む力を持っていないか不安で仕方なかった・「……俺には何のことか分からないです」・嘘をつくマコト・男の表情は一切崩れなかった・「そうか、では質問を変えよう。君は今日なぜ、ここ奈良市にやって来たんだ?観光にしてはずいぶんホテルの中でのんびりやっていたようだが?」・マコトは平静を装ってでまかせを言った・「夜の花火大会を見に来たんですよ。こう見えて俺、写真好きでね。SNS映えすると思って高速でこっちまで来たんですよ」・男はこう言った・「ほぉう、花火を……。だが、今夜花火大会が行われるのは確か五條市のはずだ。ここ奈良市じゃない……」・マコトは口から心臓が飛び出しそうな気分だった・「ミスター高蔵。先に言っておくが、私は元々在日米軍の所属ではない。それどころか、アメリカ政府とは何の関係もないんだよ」・その言葉に驚くマコト・男は話を続ける・「私のバックにはある巨大な組織がついている。その組織は、アメリカやイギリスのような西側の勢力ではない。分かるかね?」・マコトは衝撃で目を見開いた・「私は現在、横田基地の副司令官として日本政府の許可を得た上で活動しているが、政府の連中は私の正体とバックにいる組織については何も知らない」・すると男はスーツの下から黒光りする拳銃を取り出した・「どうか…我々の組織を怒らせたくなければ、知っていることを全て話すんだ。この世界を支配しているのは何も君たちの同盟国だけではない」・マコトは信じられない思いで男を見つめた・「まさか……あんたのバックにいる組織って……」・その瞬間、男の体に鋭い電流が走った・男は一瞬手元が狂い、ベンツはコントロールを失って電柱に衝突した・するとマコトの袖をピコが信じられない力で引っ張って車の外に連れ出した・ピコは不思議な力でマコトの体ごと一緒に空を飛び、ベンツから遠ざかった・「おいおいピコ、まずいって……!」・マコトが街を見下ろすと、奈良市民たちが不思議そうに空を飛ぶマコトを見上げていた・スマホで動画や写真を撮る者もいる・そんなことはお構いなしに、ピコが叫んだ・「マコトは僕の命の恩人だ!だから僕が守る!」・ピコの言葉が心に刺さるマコト・「お前……」・その頃ヤヌスは、頭から血を流しながら逃亡するマコトを見つめていた・「こんな芸当、お前にできるはずがないよな、ミスター高蔵。やはりいるのか……人間以外の何かが!」・空を飛ぶマコトの姿を捉えた衝撃映像は、瞬く間に世界中に拡散された・その映像を見たある北国の重鎮は、決して開けてはならないパンドラの箱がついに開きつつあることを予感した

7ラストまでの展開
①逃亡編

ピコを母親の元に返すため、命からがら夜の東大寺に辿り着くマコトとピコだったが、二人の目の前でピコの母親の宇宙船が撃ち落とされてしまう。さらに宇宙船に乗っていたピコの母親は、ヤヌス率いる謎の組織によって、どこかに連れて行かれてしまう。それからマコトとピコは、ピコを狙うヤヌスの魔の手から逃れるため、日本各地で逃亡生活を送ることになる。マコトは警察によって指名手配され、国中から追われることになるが、ピコの不思議な力を借りて何とか生き延びることに成功する。一方日本政府の中には、ヤヌスが何か隠し事をしていることに気づき始める政治家たちが現れた。ヤヌスがマコトとピコを追う一方で、政府内部では親米派と反米派による権力闘争が起こっていた。ヤヌスが隠している国家機密の情報とは何なのか?そしてヤヌスの正体とは?ピコの母親は無事なのか?今、パンドラの箱に隠された衝撃の事実が明らかになる!

②反撃編
日本政府の誤解を解き、逃亡生活からようやく脱することができたマコトとピコ。しかしヤヌスの正体は依然として不明なまま、ピコの母親もどこに捕まっているかすら分からないままだった。そんなマコトの元に、ロシアのジャーナリストだと名乗る謎の女性ソフィアが訪ねて来た。彼女はヤヌスについて知っている情報を渡す代わりに、オカルト雑誌の記事を書くための取材をさせてほしいと持ちかけてきた。マコトの逃亡生活やピコの存在について理解を深めたソフィアは、二人をロシアに招待する。しかし、マコトはヤヌスの正体がロシアの諜報員か何かだと疑っていたため、ソフィアをなかなか信用することができなかった。その頃アメリカ合衆国の大統領は、姿を消したヤヌスの裏切りに気づき、ヤヌスが管轄していた極秘基地の査察を行なった。そこで彼は衝撃の事実を知る。そしてロシアにやって来たマコトたちはそこで、アメリカとロシアの争いを裏で操る謎の巨大組織の存在を知る。ついに明かされるヤヌスの正体と彼のバックにいる謎の組織の全貌。マコトとピコとソフィアは、ピコの母親を救出するため、敵の本拠地であるスイスに侵入する。しかしその謎の組織は、彼らが思う以上に危険な組織だった。この世界を支配している真の黒幕の正体とは?そして、宇宙人ピコは無事母親と再会することができるのか?

③再会編
ヤヌスの正体と過去が明かされ、彼を味方にすることに成功するマコトたち。そしてマコトたちはヤヌスの力を借り、スイスの巨大秘密組織「オリンピアンズ」の存在と悪行を世界に公表する。アメリカやロシアよりも上の存在であるオリンピアンズの秘密が明かされたことで、世界中がパニックに陥る。ピコは無事母親と再会するが、宇宙船がどこにもなかったため、宇宙に帰ることができなかった。オリンピアンズはピコが地球を侵略しようとしているエイリアンだと嘘を吹聴し、世界をさらに混乱に陥れようとする。しかしヤヌスが真実を世界に知らせることで、世界中の軍が動き、オリンピアンズの本拠地を制圧することに成功する。その後アメリカ政府は、海の底に沈んでいたピコの宇宙船を引き上げ、ピコと母親は無事宇宙に帰っていくことができた。マコトはピコとの別れを惜しむ一方で、長い間一緒に旅してきたソフィアと共に、新たな人生を歩み始めるのだった。

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