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『終極のメシア』 第三話の脚本

第三話の脚本
ポートリアの入り口に位置する小さな村にやって来た一行
シャインはジングに背負われている
その村はボロボロでとても貧しい村だった
カイン「何だ?この村は」「ボロボロじゃねえか」
すると貧しい村人たちが施しを求めて寄って来た
村人たち「食いもんをくれぇ」「どうか……水と食いもんを……」
エミリー「どうなってるの?」
突然村の奥から声が響く「こら!お前ら、客人に何て態度だ!あっち行け!シッシッ」
村人を追い払う少年タケト
ジング「助かった、小僧」
タケト「アンタら、三大賢者だろ?」
エミリー「な、何で知ってるの?」
タケト「何でって、だって手配書の写真は何度も見たし、テレビのニュースで毎日流れてるぜ?アンタらの顔が」
ジング「まさかこんなところまで知れ渡ってたとはな」「おい小僧、俺たちは宿を探してるんだが、どこか良い所はないか?」
タケト「じゃあ俺ん家に泊めてあげるよ」「その代わり、旅の話をたっぷり聞かせて!」
カイン「おいおい小僧、俺たちは別に遊びに来たわけじゃ……」
タケト「だったらアンタらのことヌーナに通報しちゃおっかなー?」
三人の賢者たち「……」

タケトの家
タケト「さぁさぁ上がって上がって」
ジング「タケト、こいつをどこかで休ませたいんだが」
タケト「僕の部屋が空いてるからそこ使って」
シャインを布団に寝かせるジング
カイン「それにしてもボロっちい家だな」「ポートリアの隣だってのに、何でこの村はこんなに貧しいんだ?」
部屋の奥から声が聞こえる「取り立てのせいじゃよ」
驚くカイン「!?」
シンゾウ「あぁ、驚かせてスマン」「ワシはタケトの祖父じゃよ」
エミリー「おじいさん、取り立てって?」
シンゾウ「それは」
何かを察知するアチュラ「おい」
カイン「あぁ、何か外が騒がしいな」
ジング「行ってみよう」
外に駆け出す三大賢者
エミリー「あっ、おじいさん」「シャインが起きたら教えてください!」

ポートリアの入り口付近で取り立てを行う資本家バラダイとその部下たち
バラダイ「さぁ村人共、今月分の取り立てにやって来たぞ!」
村人「もうこれ以上アンタらにやる金はねぇ!今すぐここから出て行けぇ!」「そうだそうだー!」
バラダイ「あぁ?俺たちに刃向かうとどうなるか……あの哀れな夫婦と同じ目に遭いたいのか!?」
駆けつけるエミリーたち「ちょっと!何やってるの!?」
バラダイ「見りゃ分かるだろ?取り立てだよ!」
ジング「取り立て?」
村人「毎月一回、奴らはこの村から全財産を没収している」「そのせいでワシらは毎日飢えている」
エミリー「な……何でそんなことするのよ!」
バラダイ「決まってるだろ!ポートリア周辺に緩衝地帯を作るためだよ!」
カイン「緩衝地帯?」
バラダイ「今大陸の中心部では、エンキ軍とエンリル軍の小競り合いが起きてる」「その争いに巻き込まれないためにポートリア周辺にクッションを置くんだよ」
ジング「なるほど、要するにお前らは、大陸中心部の争いの余波がポートリアに達したら、周辺の村を囮にしてその隙に逃げようっつー魂胆だな?」
バラダイ「っていうかお前ら誰だ?どこかで見た顔だが……」
駆けつけるタケト「おいバラダイ!今日こそ父ちゃんと母ちゃんの仇を討ってやる!!」
カイン「おい、こいつの両親って……」
村人「あぁ……一年前の取り立ての日に、バラダイに刃向かって殺されたよ」
タケト「お前なんかこの俺がやっつけてやる!!」
タケトを止めるエミリー「だめよ!あいつら銃を持って……」
エミリーに銃口を突きつけるバラダイの部下「ギャーギャーうるせぇよ、ガキ共」「さっさと金をよこせ」
体を盾にしてタケトを守ろうとするエミリー「罪のない人たちをこれ以上傷つけるのはやめて!」
バラダイ「もういい、殺せ」
村中に響き渡る銃声
頭から血を噴き出して倒れたのはバラダイの部下
銃をしまうアチュラ「いい加減にしろ、チンピラ共」
それを合図に剣を抜くジングとカイン
バラダイの部下を斬り倒していく二人
村人「彼らの顔、手配書で見た顔と同じ……彼らは三大賢者だ!」「え!?あの革命組織ガイアで三本の指に入る実力者!?」
二人の活躍に湧き立つ村人たち
叫ぶバラダイ「お……お前らの目的は何だ!?金ならいくらでもやるぞ!だから命だけは……!」
バラダイの顔に剣を突きつけるジング「俺たちの目的は、お前らみたいな権力の座でふんぞり返ってる馬鹿共をぶっ潰すことだ!!今すぐこの村から出て行け」「もう二度とこの村には関わるな」「分かったな!!!??」
バラダイ「はいぃ!!」
ポートリアに帰っていくバラダイたち

翌日の朝
ポートリアに向かう一行を村人たちが見送っていた
タケト「父ちゃんと母ちゃんの仇を討ってくれてありがとう!」
カイン「どうってことねぇよ」
ジング「この先当分、奴らがこの村には手を出すことはないだろう」
シンゾウ「だがお主らはヌーナに手配されている犯罪者」「くれぐれも気をつけるんじゃよ」
エミリー「タケトちゃん、おじいさんを大切にね」
シンゾウ「いつでも遊びに来い」「その時はまた歓迎しよう」
ジング「達者でな!」

村を出る一行
カイン「ん?そういやぁシャイン、もう体は平気なのか?」
シャイン「うん」

シャインの回想 シンゾウの家
目が覚めるシャイン
シンゾウ「目が覚めましたか」
シャイン「ここは?」
シンゾウ「お主、サン・エナメルの息子さんじゃな?」
シャイン「!?」「どうしてそのことを?」
シンゾウ「昔、この村にはサンがやって来てな……まだ赤ん坊だったお主をワシらに自慢したんじゃ」「『この子はいつか偉大な探検家になる』とな」
シャイン「……父さんがなぜ宇宙で行方不明になったか、何か知ってることはないですか?」
考え込むシンゾウ「うーん、宇宙で何が起きたかは計りかねるが、彼が生きていることは確かじゃよ」
シャイン「え?」
シンゾウ「宇宙で彼が行方不明になったと世間で報道された数週間後に、ワシの元に彼から連絡が来たんじゃ」
シャイン「連絡?でも、どうやって宇宙から?」
シンゾウ「実はな、ワシはヴァヴオースの中のテレパシーという能力を使うのが昔から得意でな」「ある夜、夜空を見ながらボーッとしていたら、突然サンの声が頭に響いたんじゃ」「彼はこう言ってたよ」

現在 ポートリア入り口前
カイン「?」「何だシャイン」「病み上がりにしてはやけに機嫌が良さそうじゃないか?」
エミリー「何か良いことでもあった?」
シャイン「別に♫」
カイン「何だよ、教えろよ!」
エミリー「教えなさいよー!」
シャイン「大したことじゃないよ」(そうだ、父さんは生きている!この宇宙のどこかで)

シャインの頭に刻まれたシンゾウの言葉
シンゾウ(彼はこう言ってたよ)(『私は今、ある宇宙存在と共にいる』『いつか必ず帰ると、シャインに伝えてくれ』)

かくして、シャインたち一行は、大陸の入り口に位置する最初の国ポートリアに足を踏み入れるのだった

第三話〈完〉

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