わたしは今ここにいる

わたしはいま
カナダのランドというところにいる。

ここに来たのは1月の24日。
今日で早6日目。

バンクーバーから船やバスなどを乗り継いで約7時間のところにあるランド。深い森と穏やかな海が隣り合っている美しい場所だ。
この場所で1人の女性と彼女の3匹の犬たちと彼女の家で日々を過ごしている。

海沿いを走った後くねくねと森の奥をすすんだ　ところにある大きな屋根の木のお家。

初めてここに来た日、この家の中に足を踏み入れてすぐに分かった。　
私はここで過ごしていくであろう時間を宝物にして大事に持ち続ける。ここを離れる日が来て、その後長い時間が経ったとしても。

着いたばかりでおかしいけど、そんな切なくて懐かしいような気持ちが湧いてしまうほど
一瞬にして彼女の家を好きになっていた。

天井から垂れ下がった緑色のガラスの飾り
壁にかけられた中華風の陶器のお皿
青色の心地よさそうなソファ
編みかけのセーター
彼女の長い人生の中で集められてきた物たちが居心地良さそうに部屋に溶け込んでいる。物たちが「自分がいるべき場所がここだ」と伝えている。

そしてリビングから森を見渡せる大きな窓。
陰鬱に感じていた雨もここからずっと眺め続けたい思えるほど緑が美しく見えた。

　…実のところ、ここに来るまでナーバスな日々が続いていた。何を考えても不安は尽きなかったし、やっと慣れたバンクーバーからまた1人で見知らぬ土地に来ることも怖くて仕方なかった。
(この期間のことはまた別の時に書こうと思う)

だけど、車で港に迎えに来てくれた彼女は無理に沢山話そうとせず、ゆっくりと静かに私に話しかけてくれた。
彼女の犬たちは初めての匂いに警戒することなく笑顔ですり寄ってくれた。
そして、この家から伝わる彼女の人となりが私を安心させてくれた。

カナダに来て約1年。
沢山の失敗の日々を重ねて
わたしは今ここにいる。

おだやかに淡々と過ぎていくここでの時間を
取りこぼさないように、
深く息を吸って
この土地のものを食べて
雨の音を聴きながらたくさん寝て
ゆっくりとこの空気に溶け込んでいきたい。

うさぎのお肉と野菜を煮込んだシチュー

…

次はこの家に住む3匹の犬たちについて書こうと思います。

良かったら次回もどうぞ。

それではまた。