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意味不明小説集

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自分の意味不明小説や、noteで見かけた不条理だったりホラーだったりする、星新一系の意味不明ショートショート(1頁漫画も)をまとめています。
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2019年12月の記事一覧

戻る男

 男は20歳の誕生日を迎えた夜、今までの人生を後悔していた。  まだ20歳だと周りは言う。しかしもう20歳、人生の4分の1は過ぎているのだ。高校でもっと勉強しておけば良かった。中学で好きな娘に告白しておけば良かった。小学生の間にもっと楽しんでおけば良かったと。  「ああ、過去に戻りたい。」  男はそう呟いた。時計が12時を回った。  男はベットの上で目が覚めた。あれ、俺はいつの間に寝たんだ。昨夜の記憶を思い出そうとしていると、携帯にメッセージが届く。 『明日お前誕生日だろ?

【怖い話】持ち込み小説

これは出版社で編集者をしているBさんが体験した怖い話。 昔から物書きの登竜門として"持ち込み"という方法がある。 直接、出版社に作品を持ち込んだり送ったりして売り込むことで、今でこそ数は減ったものの、持ち込み作品からキラリと光る新人作家が生まれたりもする。 Bさんのもとにも日々いくつもの作品が持ち込まれてくる。 編集者の中には持ち込み作品には目もくれない人もいるが、Bさんは自身も若かりし頃、物書きを夢に見たこともあり、礼儀として持ち込み作品を一つずつ丁寧に読むのを習慣として