見出し画像

バーニー・サンダース氏が大統領選挙候補者指名争いから撤退

あまりに他のニュースのほうが緊急なために、話題があまりなかったアメリカ大統領選挙ですが、2名に絞り込まれた民主党側の候補者の一人、バーニー・サンダース氏が指名争いから撤退しました。

これで、よほどのことがない限り、8月の党大会では元副大統領のジョー・バイデン氏が候補者として指名されることが決まりました。

このタイミングでこうした動きがあったのは、数字上では勝利が難しいサンダース候補の陣営と、バイデン陣営との間で話し合いが行われ、今後の大統領選でプッシュする主要政策についてある程度の合意が得られたためのようです。

たとえば、バイデン氏はサンダース氏が主張するほど強力な Medicare for all "国民全員への健康保険" の政策をとらないものの、方向性ではそれを踏襲することや、社会問題となっている大学生の学資ローンへの援助などを打ち出す可能性が高まっています。

こうしたときに「指名争いから撤退」を英語表現としては drop out of the campaign や、suspend the campaign などといいます。サンダース氏は完全に予備選挙から消えるのではなく、投票用紙には残り続けることによってある程度の代表人の議席を獲得し、その影響力を今後の政策に活かしたいと考えているようです。

奇妙な候補

そもそも、バーニー・サンダース氏は Democrat つまり民主党員ではないというのは、あまり日本では知られていないようです。

彼はバーモント州の Independent な議員ですが、その政策信条は民主党と共通するところが多いため、よく民主党議員と caucus、つまり政策集団をともに組んで議会での活動に臨んできました。また、もし大統領に当選したならば、そのときに民主党員として登録すると彼は表明していました。

サンダース氏自身の政治的なポジションは democratic socialist 民主社会主義者であると本人が表明しています。日本からみると、そこまで socialist に見えませんが、保守層が強いアメリカではラディカルな革新派に見えてしまうというところもあって、候補者としてもアメリカの政治を揺るがしてきました。

バーニー・サンダース氏の敗因はさまざまに言われていますが、当初から若い人を中心としたムーブメントに依存するあまり、既存の党員の賛同者を得るための努力をしていなかったのは大きいでしょう。

あくまでアウトサイダーとして民主党を内側から打破しようとしたスタイルは2016年も今回も、トランプ氏が行った選挙活動に似ています。

しかし結局は、非常に熱意があるものの主流派たり得ない一部の人々からしか支持されず、総合力でバイデン氏に負けたことになります。

これで選挙戦は次の段階に突入しました。2016年には8月の党大会まで候補者指名が伸びましたが、今回は4月の段階で候補者が決まりました。次はバイデン氏がどのような副大統領候補を選ぶのか、そして本選挙に向けてどのような戦略をとるのかが注目されます。

それでも予備選挙はこれからも続きますので、逐一ウォッチしてゆくことにしましょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?