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タイム写シーン04「耳だれ庚申」

こんにちは。めぐるスイッチ・まつもんです。今回のタイム写シーンは西台4丁目にある庚申塔(こうしんとう)です。

まず「庚申塔ってなに?」と思う方もいると思います。庚申塔(または庚申塚)は、板橋区に限らず全国に見られる石碑です。中国から伝来し、江戸時代に広まった庚申信仰の名残りとされ、いわゆるガチ勢も多い、味わい深い歴史分野です。くわしくはググってみましょう。

さて、区内に庚申塔は多数ありますが、今回は「写真は語る 総集編」に載っていた西台の「耳だれ庚申」がテーマです。

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写真がシンプルにいい絵です。出典元には昭和18年発行の「武蔵野風物物語」からの複写とあります。そこで孫引きになりますが、元は昭和7〜16年(1932〜1941年)の撮影とあるので、これは80〜90年ほど前の景色ということになります。

場所は西台4丁目だと書いてあります。遠景が気持ちよくぬけていますので、たぶん、崖付近から谷方向に向かって撮影したんでしょう。その場所に行って撮影してみました。

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おや、昔の写真と比べると、お堂の屋根か正面のどちらか一方が90度回転しています。となると、2つのアングルのどっちが正しいのか分かりません。

お堂を向きを変えるよりは屋根を変える方が自然かなあ、と想像したのですが、崖の見え方で考えると、お堂の正面が変わったとする写真の方が近い気がします。崖の形が変わっている可能性もあり、確信はありません。

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こちらの向きの場合、古い写真と同じアングルを求めて動くと建物にさえぎられてしまい、ぴったりの角度では撮れませんでした。

みみ地蔵03

2つのアングル、いずれの場合でもその画面奥に見える建物の向こうには谷があり、現在は環八が走っています。

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この庚申塔は「耳だれ庚申」と呼ばれ、ここで祈願すると耳の病、とくに耳だれ(耳ろう、中耳炎)の治癒によく効くのだそうです。

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石に彫ってある青面金剛(しょうめんこんごう)は、風にさらされ、その姿が消えかけています。

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耳だれ庚申にお祈りした後、無事に耳の病が治ったら、穴をあけた柄杓(ひしゃく)を奉納するのが決まりだそうです。

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今も穴をあけた柄杓がたくさんあります。

すぐ近く、若木に40年間住んでいる友人は、この庚申塔と信仰のことは知らなかったと言います。地元の人でも、みんなが知っているわけじゃないようですね。それでもこうして、人知れず信仰が受け継がれているって、すごいなぁと感じました。


参考資料「写真は語る 総集編」(板橋区教育委員会)


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