#10 新しい世界。
※この日記を初めて読む方は、必ずこの記事に目を通してからお読み下さい。
2023.05.30
昨日は、あれから船内で入れる場所を探したけれど、扉という扉は全てダメだった。
でも、進展があったんです。
別の部屋へ続くポータル※1を見つけました。
もしかしたら、最初からあったのかもしれない。
いや、誰かが設置した可能性もある。
なぜなら、メタバースの世界では、時空を超える手段として存在するポータルを誰でも自由に設置する事が出来るのから。
円形のポータルと呼ばれるものを踏むと、瞬間移動できます。
おそるおそる、そのポータルを踏んでみた。
すると、グイーーーーン
次に視界が開けた時、私は海の中にいました。
ワールドの中に入ると宝石を小さく粒状に砕き、散りばめたようなキラキラとした空間に工場のような建物がたたずんでいました。
何を作っている工場かはわからないけれど、海の中にあるという事、そしてクジラやマンタ、ウミガメが優雅に泳いでいました。
少し歩いてみると、ウミガメが私を背中に乗せてくれました。
海の中を泳ぐように空を飛びはじめたんです。
必死にしがみつきながら、最初は怖くて力が入っていたけれど、だんだん楽しさが勝ってきました。
なんて優雅な時間なんだろう。
お得意のぼ~~※2が、自然と出てしまう。
肩の力も抜け、足も脱力。
空を見上げれば宝石のキラメキが私の心にノックしてきました。
キラキラキラキラ。
ねぇ。私達が嫌な感情を減らしてあげる。
ただ漂うだけでいいんだよ。
この世界では全てをこの空間にゆだねて。
船の中にいながらにして、異なる時代や風景に飛び込むことができる、このポータルの存在に、メタバースの住人達はどれほど救われているか、計り知れない。
メタバースの世界で人は何を探しているかって、それは、自分の居場所だ。
居心地の良い居場所。ワクワクする体験値。
見たいものがそこにある。
いずれ、そこには歴史的な出来事や未来の世界が待っているかもしれない。
しばらく経つと、ウミガメさんは私をゆっくり地面に降ろしてくれた。
私はもう少しこのワールドを探検したい気もしたが、また必ずここに戻ってくる気がしたので、今日はこの辺で帰ろうと、
退出ボタンを押した。
はぁ。夢心地から抜けきれないまま、まだまだぼ~っが抜けきれず、船内の絨毯につまずいた。
転びそうになって、少し目が覚めた。
操舵室の隣のラウンジに帰ろうとしたその時、遠くに見える景色がいつもと違った。
あれ。こんな扉あったっけ。
私は思わずドアノブに手を伸ばした。
こんどはポータルのような瞬間移動ではなく、扉の向こうに世界が見えた。
新しい部屋に入ってみると、図書室のような部屋だった。
本がところ狭しと置いてあり、散らかっている場所もある。誰か読みあさっていたのだろうか、
人類史※3の本棚だけごっそり本が無くなっていた。
人類史って何?私はよくわからず、その付近にあった一冊の本を手にとった。
開こうとすると、自分の手が固まり、ノイズのような音が聞こえ、
シャットダウンされてしまった。
急に現実世界に戻された私は、あの本の中身が気になっていた。
シャットダウンの原因は、VRゴーグルのバッテリー切れだった。
これじゃあ仕方ないと、あの本の中身が気になりつつも、明日のために、寝る事にしました。
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明日ははもう一度
あの部屋へ行ってみよう。。。
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( 航海日記辞典 )
※1 ポータル・・・メタバースの世界にある、時空を超えて、移動できる手段の装置の名称
※2 ぼ~~・・・未来でも、過去でもなく今を生きる唯一の手段
※3 人類史・・・人類として500万年間の歴史をまとめて綴ったもの
皆様とこの物語を繋ぐメタバース空間から動画をお伝えしまーす(^^)
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