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#18 運命の日

※この日記を初めて読む方は、必ずこの記事に目を通してからお読み下さい。



2023.07.03
運命の満月の日、ドキドキしながら夜を待った。
船のデッキから座って待機していると、普段より空が広く感じた。

空の色は青紫からピンク色へ。空も、雲もピンク色になって、しばらくしてから黄金のオレンジ色になり、最後は燃えるような赤色に。。。

夕陽が地平線に沈む時、目がおかしくなりそうでずっと眺められなかった。

綺麗な景色の瞬間って切り取ってビンにつめておきたいな。
そしてまた思い出したい時に取り出したい。

あまりにも綺麗な夕焼けだったから、目を閉じて深く息を吸った
息を吐き切ったあとに目を開けると、西の地平線から月が顔を出していた。

なんで低い位置にある時ってあんなに大きく見えるんだろう。
そして重量感があり、色も濃い。

月の暖かな色が私の心をじわぁ〜っとあたためる。
季節は夏で、もう暑いはずなのに、心地いい感覚。

月光浴をする度、感じるこの不思議な感覚が好きである。

はぁ。毎月この瞬間が特別でスキだった事を思い出した。

今日が運命の日だなんてカッコいい事言って、自分を鼓舞していたけど、
自分で今日は特別だと思い込んでいただけだ。と気づいた時、急に寂しくなった。

さっきまでの幸せな気持ちが、急に冷め胸はぎゅうっと締め付けられた。

その気持ちとは裏腹に月がキラキラ輝いていた。

夜風が気持ち良く、木が揺れてこれから起きる事は特別な事では無い気がしていたが、次の瞬間、風が止み、急にあたりの雰囲気がピリっとした時、空気が変わった。

海には月の道が出来、海に月の光が映し出された。

サンゴの産卵が始まったのだ。

森で光り輝いていた蛍たちも空の方へ舞い上がり始めた。
船にひっついている大きなルナテックコネクションは、相変わらずふわふわと漂っていた。

まだ低い位置にいる月とルナテックコネクションが丁度重なる時、

大きな風が水面付近からブォォッと吹いた。
その風に乗って蛍たちも更に上へ舞い上がった。

水面に映る満月とサンゴの産卵と蛍の光が合わさり、息を呑む程の綺麗な色になった。

それと同時にルナテックコネクションの周りに白いモヤがかかった。

ボフッと音がして、少し大きく上下に揺れた。

さっきのボフって音、長年使ってなかったバイクのエンジンがやっとかかったような音だった。

わたしはルナテックコネクションに釘付けになった。今から歴史的な瞬間に自分は立ち会うんだと、期待に胸を躍らせた。

でも思い描いたようなエンターテイメントショーはこの後起こらなかった。

ボフッといったあとは、
また船の上をゆっくり漂っていた。

見た目は何も変わらない。
えっ?終わり?
成功?失敗?わたしは正直拍子抜けしていた。

もっとなんか凄い事が起きると思っていたから。

蛍も森の方へ帰り、サンゴの卵も波の動きに合わせ揺れていた。

月の光に照らされて海はキラキラ光って綺麗な景色だった。

いつのまにかいつもの綺麗な月夜になった。

わたしは正直ルナテックコネクションが起動したのかわからなかった。

あまりにも変化がないから少し不安だった。
不安と嫌な予感がまた胸をぎゅうっとさせた。

ぼーっとしている頭のモヤを掻き分けるように月の横で一際目立つ星が輝きを増していった。

そしてわたしに近づいてきた。

ヴィシュヌ!!
わたしはすぐわかった。

なんの迷いもなく星に触れてみた。
暖かい感覚と冷たい感覚がまた同時にやってきた。この感じ、ヴィシュヌの記憶だ。

ヴィシュヌは私に話しかけてくれた。


ルナテックコネクション起動おめでとう。
でも、まだ完全では無いわ。

起動はしたものの、力が弱く不安定なの。
蛍とサンゴの減少が1番のパワー不足の原因だと思われるんだけど、減少スピードは更に早くなって来ているから、次のチャンスまでに何か手を打たないと完全な起動は不可能よ。

大丈夫。
気を落とさないで。

諦めない心と、実行する勇気を忘れず前に進むの。
ルナテックコネクションはとりあえず無事に起動はしたから、完全な起動は次回のチャンスにかけましょう。

あと、あなたに伝えたい事があるわ。

何かを頑張っている時、一生懸命になればなるほど深いところまで潜り、苦しくなる。
楽しいは浅くて簡単な場所にあるのよ。

その1番大切な場所にいつでも戻れるよう意識しておくと、この航海の意味や目的を見失わずに済むのよ。

あなたにとって大切な事は何か。忘れないで。


ヴィシュヌの記憶や意識がわたしの心の深い場所に沁み込んでいくのがわかった。

ありがとう。わたしあの日から、使命感でいっぱいで心から楽しめていなかったかもしれない。そうだよね。心に刻んで、忘れないようにするね。

前回と違い、星は私の側にしばらくいてくれた。
落ち込んでいるのを慰めてくれているみたいだった。
わたしは緊張から解放され、一気に身体が重くなるのを感じた。今日は何も考えずに寝よう。星を空に送り、明日の事は一切考えず眠りについた。

次の日、
島の人達に昨日夜起きた事を細かく伝えた。

子供達は目をキラキラさせ、その話を前のめりで聞いてくれていた。

とてつもなく綺麗な景色が見れた事。
ルナテックコネクションが不完全だけど起動した事。
星の記憶にまた触れ、意識を感じとった事。
今後の課題の事。

子供達は最後まで集中力が続かず、途中で私のそばを離れていった。

その空いたスペースに大人が入って話を聞いてくれた。

とにかく島の人達やロウルには、今後も継続して蛍を守ってもらう事、
使命感だけぢゃなく、楽しむ事を忘れないよう意識してもらう。
楽しい場所には、自然と人が寄ってくるから。
人がたくさん集まると凄い力が生まれ、きっといい方向へ行く事を話した。
でも思っている事の7割くらいしか伝えられなかった。

なんで人に伝える時って、想いまで伝え切る事ができないんだろうか。
少し悔しかった。

でもこの時間も楽しむ事が大切なんだと意識を変え、切り替えた。

気持ちが少し楽になり、今を楽しむスイッチに切り替わった。

島のみんなが、今日は一緒に蛍を見ようと声をかけてくれた。
夜一緒にみんなで歌ったり、踊ったり、星の話をしたりした。

月は昨日より少しかけていた。

島のみんなに、わたしがやっている満月後の身の周りの断捨離の習慣を伝授した。

満月後の月が欠けていくのと同時に、一緒に身の周りにある余分な仕事、習慣、物を見定めて、手放す事を心がけている話をした。

そうすると、身の周りが定期的にスッキリして動きやすくなる。

日々生活していると、どうしても物が増えていき身動きりづらくなる。月に一度必ず来る満月の後のタイミングに習慣化すると続けられるのだ。

島の人達は、やってみようと言って喜んでくれた。
島の人達のためにも、今後も連絡を取り合って、蛍とサンゴの情報交換を続けていく事にした。

来年のこの時期にもう一度この島へ来て、ルナテックコネクションの完全な起動を成功させなくては。

これからどうしようかな。と考えていたけれど、島の人から面白い島の話を聞いたから、そのおもしろい島に寄り道しながらまた航海を続けようかな。

ヴィシュヌが言っていたように、わたしの楽しいやスキを忘れないように意識して、航海を続けていけば、大切な目的や明確なゴールが見えてくれるはずだから。

よし明日島を出よう。

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私の旅は
   まだまだ続いていくのであった。


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( 航海日記辞典 )

※1  ルナテック・コネクション" (Lunatech Connection)・・・
- 「ルナテック」は「月の技術」という意味で、月に関連する高度な技術を示しています。
- 「コネクション」は「つながり」という意味で、人々を結びつけるネットワークの性質を表現しています。

月の力を利用した人と人を結びつける技術の名称である。

※2 ヴィシュヌ・・・インド神話に出てくる:ヴィシュヌ (Vishnu):保護と維持の神であり、世界の維持と再生を担当しています。



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