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4年間育児休暇をとったパパの話(後編)

男性育休が話題になっているが、なんとこの日本で4年間の井育休をとっているパパがいる!ということで後編です

・・・・・・・・・・4年間育休パパレポート・・・・・・・・・・・

Q:職場への連絡やコミュニケーション

これは、ほぼ行っていません。事務手続きや育児休暇の延長など、必要なときに職場に行くだけで、年に数回もないです。私が、小学校の教員をしているので、私が休暇をとっても、代わりの方だすぐに来ていただけるという有難い環境にいるためです。一般的な会社員ではそうはいかないかもしれません。特に日本の今の職場環境では、自分が休めばぽっかり穴があく、誰かに負担がかかるというのが普通の状態かもしれませんね。

・・・・・・・・・・・・・コメント・・・・・・・・・・・・・・・

今回は小学校教諭というある意味「代替要員」に恵まれやすい職場であるという部分もあるのかも知れませんが、それ以前にこのパパさんの覚悟が大きいのかなと思いました。男性育休が取れない理由のほとんど、そして女性が出産を機に仕事を辞めてしまう数が未だに6割弱であるという日本の現状はこの様な「個人の覚悟がないと育児休暇があっても使えない」と言った「名ばかり制度」になってしまう現実があるのではないでしょうか?こちらの記事などを見るとやはり、男性育休途上国と言わざるを得ないですね


・・・・・・・・・・4年間育休パパレポート・・・・・・・・・・・

Q:女性と男性の育休の違いについて

この「男女の違い」については、様々な観点があると思います。私なりに考える違いは、「育児は女性がすることが常識という考え方がまだ根強く残っている」ということだと思います。私が育児休暇をとるとなった時、職場のいろいろな立場の人が驚かれたし、また、親族友人たちも一様に「なぜ?」という感じでした。職場ではやはり私が担っている仕事がありましたし、親族からは収入面の心配がありましたし、一部の人からは「仕事をする気がなくなったのか」という言葉もかけられました。この「育休をとる」ということは男性にとって様々なハードルがあるということは体験としてあります(もちろん女性の方も職場から必要とされているので育休をとることへのハードルがあるかと思いますが、男性がとるとなった場合、異なる種類のプレッシャー?があるのも事実だと思います)。ですから、「育休をとる前」にまず、男女の違いが出てくると思います。

次に、「育休をとった後」ですが、これは、夫婦の考え方や、子どもの生活環境などで大きな違いがあると思います。私たちは夫婦が同時に育休をとったので、例えば、女性と男性が交代で育休をとっているご家庭もあるでしょうし、そこは私がわかならい部分がありますが、夫婦が同時に育休をとった場合、「子どもとどう接していくのか、父親と母親の生き方や考え方」が衝突することが日々あります。なにせ、子どもを育てるという大きな事業に取り組むわけですから、その事業に関わる人の思いが交錯するのは当然かと思います。「男女の育休の違い」というテーマから、ずれるかもしれませんが、女性だけが育休をとった場合と比べ、男性も育休をとった場合、夫婦で乗り越えていくべき試練が多々あるのは間違いありません。

また、男性である私個人で感じたことは、まわりはほとんど「母親のコミュニティ」であることです。私はあまり気にしない性格ですが、体操教室や水泳教室、地域の子育てセンターなど、ほとんど父親の姿はありませんでした。この環境は、父親がいざ育児休暇を取った際、母親と比べて、何かしらの負担になるかもしれません。

・・・・・・・・・・・・・コメント・・・・・・・・・・・・・・・

ここが一番大きいと私は感じています。国が法制化したからとか、会社が男性育休を推進しているからといっても、おっしゃる様に、日本では子育て(家事育児)は「女性がするもの」となっています。これが男性の育児参加のハードルを上げている気がします。娘が暮らしているスペインでは学校の送り迎えや(スペインでは子どもたちの登下校は必ず保護者もしくはそれに準ずる人がしなければならない)子どもの習い事の送迎、マンションなどにあるプールには平日のお昼間でも付き添っているのはほとんどパパだったりします。つまり、「家族が一番大事だから夫婦は同じ様に子どもをサポートする」のだそうです。欧米などの先進国と日本の大きな違いはその辺りなのかも知れませんね。

・・・・・・・・・・4年間育休パパレポート・・・・・・・・・・・

最後に・・・・これは私自身が大きな違いだと感じるのが、「ゴールがはっきり見えているのか、見えていないのか」だと思います。もちろん、子育てにゴールはないですが、育休となると、今の日本社会では、男性で育休をとる人は少なく、取得しても短期間である場合が多いかと思います。

母親は数か月から数年に及ぶ長期間になることがあるかと思います。私自身が4年近く育休をとっている中で、大変だと感じたことは、「子育ての期間は、一日のほとんどの時間を子どもに合わせて生きている」ということです。子育てしていたら当たり前だと思いますが、これは、子育てをする前の想像を遥かに超えて大変なことでした。数週間、数か月ぐらいなら、いろいろな計画を立てながら、それなりに楽しく過ごせますが、1年2年となっていくと、「自分が今やりたいことができない、自由ではない」というストレスが徐々に積み重なっていき、息が詰まる思いになることがあります。このことは、私は世の父親、世の男性方にせひ知っておいてほしいことです。「母親は偉大な挑戦をしているのだと。とてつもない試練に立ち向かっているのだと」。大げさでも何でもなく、ほとんどすべての母親に当てはまることだと思います。

私も、自分が長期の育児休暇を取る前は、「母親はかわいい子どもと毎日一緒にいて、しかも、仕事もしていないから、のんびり楽しい時間を過ごしている」というふうに思い込んでいました。

もちろん男性育休であっても、愛しい子どもと一緒に過ごす幸せは多分にありますが、そういったこととは別に、「母親も一人の人間として、自分の時間、自分の自由、自分の人生を生きる必要がある」と思います。それが子育て中はなかなかできないし、その大変さを深く理解できている父親、男性は少ないかと思います。だから、男性の育休はとって体験できればした方が良いかと思いますが、短期間の「ゴールが見える」男性の育休と、長期間の「ゴールが見えない」母親の育休では、本当に大きな意識の乖離があると思います。

・・・・・・・・・・・・・コメント・・・・・・・・・・・・・・・

男性育休というのが来年度から従業員1000人以上の企業では「二週間」の法制化されるのだとか?この制度がスタートした時にどのような混乱があるのか?育児休暇をとった男性社員が戻った時に肩身の狭い思いをしたりするのは言語道断だと思うし、実際にこのパパさんのように、「4年間とってみて見えてきたこと」もあるだろうし。何よりも国の制度が企業任せだけでは結局制度があるけど使えないといった本末転倒になるのは目に見えている。福祉で有名な北欧の国々では、数多くの事例などが進んでいる。それらのことを参考に日本の古き良きものと、最新のテクノロジーも駆使して、より豊かな子育て制度を確立していただきたいと思った次第です。

今回3人の子育てに忙しい中、男性育休を身を持って体験し、日本のさまざまな課題の原点をレポートしてくださったこと、こころから感謝申し上げます。日本人が夫婦で子育てが当たり前になる社会に一歩でも近づくきっかけになれば嬉しいです。


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