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イエナプランサマーキャンプから見えてきた日本の教育課題

ずっと、日本の教育に疑問を抱いてきた。その根底にあるのは「同調圧力」なのかも知れない。今回、4歳から12歳の子どもたち17人と大人7人で奄美大島の「小さなイエナプラン海のまなびや」で起きたことを、子どもたちから感じた日本の教育の課題を、そして改善策を、様々な出来事と共に、考えていきたいと思います。

ゲストハウスの庭でテント泊

サマーキャンプは奄美大島の北部にある当団体のゲストハウスマーメイドの庭に各自が自分のテントを張り、そこを自分の拠点として5泊6日過ごす設定だった。

奄美の大自然に抱かれて波の音と、満点の星を見ながら寝るのは最高!



初日8月25日の夜の出来事
それぞれのテントを立てて、荷物を運び込む。女子たちはこの時点で意気投合した同士で仲良しチームができているようだった。テント設営は1人では難しい、当然子ども同士で助け合いながらの設営となる。そこもこのキャンプの狙いでもある。キャンプギアは日本のトップメーカースノーピーク社のものを使用。キャンプという自然界の中での共同作業を生かして「共に生きることを学ぶ場」ができるのだ。
だが、
目の前がプライベートビーチとは言え、8月の奄美は気温30度。テントで過ごすにはかなり厳しい。しかしながら、海に入ったり、風が吹く事で過ごしやすい時間もあることに期待してサマーキャンプが始まった。

同じ釜の飯
初日の夜ご飯は自分達で焼いて食べるBBQ!初めまして!の子同士が多いのに、子どもたちはすぐに打ち解ける。
野外、キャンプ、美味しいご飯、と揃えば、子どもたちは仲良くなれるし、楽しい時間を過ごせるのだ・・・。と思ったのは大人の勝手な思い込みだという事をこの後気付かされる出来事が続出するとは・・・この時には思ってもいなかったのだ。


3月にも参加したこうちゃんはすっかり慣れたものでキャンプギアを使いこなし、焼く側に回る

楽しいBBQも終わり、後片付けは今回食事担当を志願した私と、参加者の保護者である近くの集落に住むママさんがかって出てくれた。(保護者のサポートは外せない!)イエナプランでは、学校を「生と学びの共同体」と呼んでおり、保護者や地域の方々を巻き込み、子どもたちが人間として成長し、将来社会に出るための練習の場としての学校運営に協力してもらっているのだ。そんな大人たちのちからを借りながら、初日の夜はふけていった。


焚き火をみると安らぐのは人間のDNAにある「危険な捕食動物から身を守る」からきているらしい

焚き火でのサークルタイム
BBQでお腹も満たされ、毎日のサークル対話の最後は焚き火を囲んで行われる予定だった。ここも3月に参加している男子を中心に、大人たちも見守る中火おこしから焚き火トークの準備が始まった。
あたりは真っ暗になり、波の音と、焚き火の炎だけになり、子どもたちはこれから始まる5泊6日に想いを馳せて、「今どんな気持ち?」「これから始まるキャンプの中でどんなことを体験したい?」というグループリーダー(イエナプランでは先生と呼ばずにグループリーダー「GL」と呼ぶ。これは権威を嫌った、創始者であるペーターセンの意向なのだそう)の声かけに、子どもたちは焚き火を囲んで輪になり、一人一人が手を挙げて自分の今の気持ちを話す時間となった。

眠れない夜の始まり
そしていよいよ自分のテントに戻り、初日の夜が始まった。私はゲストハウスのキッチン担当だったので、ハウス内で寝る。子どもたちはお風呂や洗面でハウス内を出入りしていた。
その時、群馬県から1人で飛行機に乗ってやってきた小学校3年生の匠海君が私の元にやってきて「眠れない」と訴えてきたのだ。

「テントが嫌だ!お母さんと話がしたい」と言って泣き出した。3月にも1年生の男の子が夜になると「お母さんが心配だ!」と泣き出したのを経験済みだったので、その夜はお母さんと本人をLINE電話でつなぎ、泣きじゃくりながら「明日の飛行機で帰るから迎えにきて!」と優しいお母さんに懇願する匠海君に対して、私からはお母さんに「多分、暗くなると心細いのだと思います。今夜は室内で寝てもらいます。明日の朝様子を見て最悪飛行機に乗せるかもですが、そのための準備もお願いします」と、相談し、電話を切った。

その日の夜中3時ごろ、同じ部屋で寝ていた私は匠海君の泣き声で目が覚めた。「お母さんに会いたい」と泣きじゃくる。いつもこんな時、「母親というのは子どもにとって本当に大きな存在なんだな〜!」と思う。お父さんといって泣く子は一度も見たことがない。これは日本だけの現象なのか?そんなことはさておき、「困った!」明日は早いし子どもたちはシュノーケルがあるから匠海君が飛行機で帰らなかったとしたら、睡眠不足は彼にとっては避けたい。


ピンチはその人の成長の紫金石?

ピンチになる程冷静になる癖がある私は、色々と考えてみた。「現時点で、彼がお母さんよりも興味を示すことは何か?」その時、キャンプの事前宿題で子どもたちに「環境ステッカー用の絵」を描いてもらっていたことを思い出した。幸い初日には配布するタイミングがなかったので、子どもたちはステッカーの存在を知らなかった。他の子は誰もみていないステッカー!ここはフライングではあるが背に腹は変えれない!と、倉庫に保管していた環境ステッカーを取り出して、匠海君に見せた。


秘密と特別感で乗り切れた夜
「まだみんなには配ってないから内緒だよ」と、2人だけの秘密という特別感と、匠海くんは亀について相当調べたらしく、「亀には2種類あって、甲羅を綺麗にそうじしている亀と、掃除しない亀がいるんだよ」と、そして「僕が描いた亀は掃除しない亀なんだよ」と、自慢げにステッカーの自分が描いた亀を見せてくれた。

自分の描いた亀がステッカーになっていた満足感と、秘密裏に手渡された特別感も相まって、その夜はステッカーを枕元に置いて寝てくれた。
翌朝の彼がどんな反応を示すのか?なかなか寝付かれない初日だったが、これはこの後起きる様々なハプニングの序章だったのだ。 

こどもたちにとっては大きなチャレンジと冒険の日々
大人にとっては気づきと大きな学びの日々の幕が切って落とされた
    
                           続く

目の前はオーシャンビュー!人類誕生の原点である海を見ながら子どもたちは何を感じているのだろう?自然界から多くの刺激をもらうことで五感をフル活用した学びにつながる。

「小さなイエナプラン海のまなびや」はNPO法人ママの働き方が2023年4月から「ママのためのイエナプラン」の本部拠点として、そして、子どもたちが「学びかたを学ぶ場」として本格的にスタートする。
場所は奄美空港から15分ほどの場所にあるNPOの拠点「ゲストハウスマーメイド」を使い、多くの自然体験をとおして行われる予定です。

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参考文献 イエナプラン実践ガイドブック リヒテルズ直子






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