漫画版『烏は主を選ばない』

漫画版『烏は主を選ばない』、すごくいいです。
私は好き。

※この記事は、小説『望月の烏』まで読了(『烏の緑羽』除く)、漫画版『烏は主を選ばない』(松崎夏未 著)3巻まで読了した時点で書いています。


いきなり正直に言うと、私は漫画版を読むつもりがなかったの。

原作のイメージが崩れたらいやだな、とか考えちゃって。
絵柄がちょっと苦手かもしんない、なんて思っちゃって。
だから、情報としては把握してるけど、敬遠してた。

それが、たまたまX(旧Twitter)で松崎夏未さんのポストを見かけて読んだら、雪哉に関する容赦なくも愛ある姿勢がね、良かったんだよね。
あと、阿部智里さんといろんなやりとりをしている気配があるのがね、安心感につながって「このひとの漫画なら、大丈夫かもしれない」と思った。

で。
おそるおそる『烏は主を選ばない』を読んでみたら、漫画なりの表現になってるのが、すごくいい。

ただ漫画に置き換えました、じゃなくて、なんというか、「こっちも原作」みたいな・・・?
少なくとも、私にとってはそう。

細かいところも丁寧に描写されていて、隅々まで無駄がない。

3巻では谷間の猥雑さとか、絶望感とか、ある意味での懐の広さとか。
雪哉の悪気ない言葉とか、帰るときの笑顔とか。
そういうのが、軽やかに残酷に描写してあるのがもう。

最初はうっかりさらっと流してしまったけど、何度か読み返すと「松崎夏未さん、こえぇぇえ!」てなったよね。


漫画版は、とにかく雪哉がめちゃくちゃ可愛い。
奈月彦と澄尾と過ごしてる雪哉って、ほんとに楽しそうなんだよ。

奈月彦が迎えに来たときの雪哉の表情が、いろんな感情をギュッと詰め込んだあの表情が、すごく好き。

そこに至るまでの、迎えを待っている間の雪哉の描写があるからこそ、活きる場面というか。

ものすごく頭が良くてクセはあるけど、普通の子なんだよなって思う。

(私の”普通の子”の範疇が広すぎるかもしれないが)
(それが後にあーなってこーなると思うと抉られる)
(ちゃんと狙ってある)
(コミックスと小説の同時発売したらしいけど、普通に考えて鬼の所業・・・)

漫画版と比較すると、私がイメージする小説のほうの雪哉は、もっと自分を隠している感じがするな。大人びているというか。
どっちの雪哉も好きだし、小説と漫画という少し違う角度から見るのがまたいい。

漫画を読んで小説を読んで漫画を読んで小説を読んで。

雪哉・・・!となっている現在。
楽しいです。

漫画版で、雪哉が地味な顔立ちなのが好きです。
これでいろんな表情させるのって難しそうなんだけど、ものすごく表情豊かなんだよね。すごい。


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