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【再訪】創業は大正期!100年の味を紡ぐ菓子舗「渡源(わたげん)」


創業以来変わらぬ土地で営む店舗

以前に紹介した記事はこちら


義実家のおみやげ選びのため「渡源」さんへ再訪

「わたげん」と読み、地元では名の知れた贈答用のお菓子が得意なお店「渡源」。現在は三代目にあたる遠藤さんが営んでいます。

看板商品の一つ、最中は「100年守り続けた味」がキャッチコピーの甘さ控えめのしっとりしたあんこが絶大な人気を集めています。香ばしい最中種と、優しい味わいのこしあんとの組み合わせが絶妙です。

こしあんは100年続く味

渡源にはもう一つ、定番商品があります。手作りのマドレーヌです。小麦とたまごのシンプルな材料でつくるどこか懐かしい味がポイント。素材が引き立つ味わいは、子どもから大人まで喜ぶおいしさです。

わたしは今回、義実家のおみやげのため最中をセレクトしました(もちろん自分用にも購入。最中とマドレーヌのフルラインナップw)。

上記2つほか、受注生産限定の高級カステラもあるそう。予約限定なので、リッチな贈答品をお探しの方はぜひ選んでみてほしいです。

かつての面影を残す昭和レトロな店内

わたしは前々から渡源さんの近代的な外観が好きでした。(今は改装してしまったので新しい外観ですが、2012年のGoogleMAPなら旧店舗を見られます)

店舗の写真を撮らせて欲しいとお願いしたところ、遠藤さんは 戸惑いながらも(笑)、 承諾していただいて撮影させていただきました。

「なーにがいいの、こんな店撮って」と(笑)。

少し北欧モダンなライト
レトロ感のあるテーブルとチェア
遠藤さんは写真家の一面もあり、商売で写真複製もやっていた

店内をバシバシ撮らせていただきました。撮影中、感嘆の声をあげるわたしを呆然と見ていた遠藤さん(笑)。

「はあ〜、こんなのがねえ〜」と。

当時から見続けてきた当人としては、ただの日常生活の一部にしか過ぎないわけですから、それは不思議な光景でしょう。

でもわたしには、コンテンポラリーなデザインのライトやレトロな床 タイル、壁紙、たまらないのです。時代を経てきた空間にしかない魅力があるのです。

特にガラスショーケースは、個人店の醍醐味というか、もっとも見どころなポイントだと思っています。
そもそもガラスショーケースは店の設計に合わせて特注で作られることがほとんどで、いわば世界に一つの什器です。什器のつくられる背景にも思いを馳せると、老舗店への憧憬がどんどん深まります。

「贈答」の文字

さらにお店の 背景には「贈答用・渡源」と文字入りのショーケースも。昭和のお菓子屋さんでよく見られる什器です。

おそらく物置になっていて、今はもう使われてなさそうでした。今はかつての面影を残し、昭和レトロ感が漂うアイテムに変わっています。

昭和28年の「渡源」

旧小見川町の写真家・篠塚榮三さんの話題も

レトロの写真や建物が好きなことや、わたしの生まれが小見川 であることを伝えると、遠藤さんは昔の小見川の話や佐原の話をたくさん聞かせてくれました。

小見川の昭和風景写真で有名な写真家、 篠塚榮三さんは遠藤さんとお友達だったそう。 写真クラブ仲間でもあったようです。

小見川・銀座通りにある「桝屋砂糖店」
引用:水の上の残影

篠塚さんは、小見川(銀座通り)でもともと「ますや」 という砂糖のお店を営んでいました。

後におもちゃ屋さんに変わり、わたしも幼少期にしばしば遊びに行っていた記憶があります。

もう随分前にお亡くなりになってしまいましたが、篠塚さんが残してくれた 昭和の風景写真は多くの人の関心を誘っています。

わたしが幼少期 だった20年ぐらい前は 、「ますや」のある銀座通りもまだ活気がありお店も数多く開いていました。しかし 時代が進むにつれて、お店は 続々と 閉店。かつての賑やかさは今は影を潜めています。

遠藤さんと色々話をしてびっくりしたのが御年77歳でホームページを1人で作成してるというところ。

ハキハキしていてとても若々しく、生業であるお菓子を作りながらホームページを更新し 趣味で写真も撮っているそうです(とっておきの写真データをくださったw)。

帰り際、遠藤さんは 篠塚さんの写真集を特別に貸してくださることに。

今でこそ レトロ好きには密かな有名人な篠塚さんですが元々は 写真集 出す気はさらさらなかったようです。

篠塚さんは ゴリゴリの写真家になろうと思って撮ったわけではなく、 コンクール出すため、趣味程度に撮り集めていたようです。

篠塚さんが「入賞は難しいなあ」とぼやくことがあったようで、遠藤さんが「戦前と戦後の写真をこんなにたくさん持っているなら写真集にして後世に残すべきだ。街の様相が変わる貴重な資料になる。」とアドバイスした 結果、写真集が誕生したとか。

遠藤さんの言葉がなければ、おそらく写真集は誕生しなかったでしょう。篠塚さんと遠藤さんは親子ほどの年の差があったそうですが、おふたりの信頼関係こそが年齢の垣根を超えたのだなと思わせられました。

今は絶版して手に入らない貴重な写真集。当時を生きた人々のリアルな暮らしが永遠に収まっています。じっくり拝見し、次回お返しするときはたんまりと菓子を買わせていただこうと思います。


戦前・戦後の小見川が映る貴重な写真集

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