吉富愛望アビガイル

培養肉のルール形成を行う業界団体「細胞農業研究会」事務局広報委員長 (農林水産省フード…

吉富愛望アビガイル

培養肉のルール形成を行う業界団体「細胞農業研究会」事務局広報委員長 (農林水産省フードテック官民協議会 細胞農業WT)/越境M&Aアドバイザリー アナリスト/Forbes 30 Under 30 Japan 2020/ 多摩大学ルール形成戦略研究所 客員研究員

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20年下半期|培養肉・細胞農業ニュースハイライトまとめ

はじめに2020年下半期における細胞農業・培養肉業界における主要なニュースを筆者コメントと共に下記にまとめる。 2020/08/03:Mission Barns が新開発された培養肉ベーコンの試食会を実施予定と公表サマリー ・Mission Barns が8/3より開始する応募期間中の申込者数の中から50名~100名を選出し、8月中旬に試食会をレストランにて開催 ・Mission Barnsによると、培養肉ベーコンの開発・商品化は同社が世界初 同社は他社と提携することによ

    • 20年下半期|世界の植物性タンパク質業界ニュース 12選

      はじめに 2020年下半期の世界の植物性代替タンパク質市場では、数百億円規模の調達や業界大手と植物性代替肉ブランド企業との提携等が注目を集めた。Oatlyなどの代替ミルクやImpossible Foods(両社とも直近約200億円調達)などの代替肉企業によるものが代表的。日本ではDAIZ社が味の素や兼松、丸紅、日鉄物産などの大手企業らと資本業務提携を発表。そのほか、Unilever社の植物性代替肉主力ブランド「The Vegetarian Butcher」の日本上陸や、ネクス

      • 保存版「培養肉」情報総まとめ②細胞農業とは

        培養肉とは何かを次回以降の記事にてご説明する前に、本記事では、培養肉の生産方法である「細胞農業」についてご紹介する。 細胞農業とは細胞農業とは動物や植物の細胞を培養することで、細胞組織を生産する活動のことである。ただ、これは辞書的な定義ではなく、業界ではこの意味合いで「細胞農業」という言葉が使用されている、というだけである。 細胞農業による生産は、動物が体内で筋肉などを形成するプロセスを体外で再現したものと解釈できる。動物が栄養のあるご飯を食べて大きく成長するように、細胞

        • 保存版「培養肉」情報総まとめ①培養肉が注目される背景

          まとめ近年、動物を原料とする産業において、サステナビリティや公衆衛生の観点から、生産や投資、消費活動、周辺ルール等について見直しが進んでいる。 その一環として、植物性代替肉が社会課題に敏感なミレニアル・Z世代を中心とした世代の食生活に、急速に浸透し始めている。 しかし一方で、多くの人にとって「お肉」を完全に食生活から排除することは困難であろう。 このような背景から、培養肉は、サステナビリティに貢献し公衆衛生を保ちながら、今後急増する肉食需要を満たす、いいとこ取りの食肉生

        20年下半期|培養肉・細胞農業ニュースハイライトまとめ

          培養肉に興味を持ったら|業界参入・産業振興で考慮すべき3つのポイント

          培養肉業界を分析する上で考慮すべきポイント「培養肉」(「クリーンミート」、「人工肉」などとも呼ばれる)について、ニュースやアナリストレポートなどで最近取り上げられることが多くなった。代替肉業界を牽引する世界的NPOのThe Good Food Instituteのレポートによると、培養肉企業への2019年の投資額はグローバルで$77mであるのに対し、2020年1Qでは$189mに急増した。また、三菱商事や三井物産などの商社や大手(食肉加工)食品会社の培養肉業界への投資、シンガ

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          培養肉業界で日本が発揮できる6つの強み|シンガポールに続こう

          はじめに筆者は培養肉業界におけるルール形成活動などを評価いただきForbes 30 Under 30 Japan 2020のLaw & Policy分野に選ばれたご縁で、様々な方に培養肉の面白さやルール形成活動について聞かれることが多くなりました。また2020年12月に世界初、シンガポールにてEat Just社の培養チキンの販売許可が降りたことで、培養肉の面白さを知りたいとお声かけいただくことが増えております。 培養肉業界におけるルール形成の面白さとは、培養肉分野が世界の注

          培養肉業界で日本が発揮できる6つの強み|シンガポールに続こう