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恐怖と失敗と挑戦と

ガラガラガッシャーン!!

派手に転んだ。
私ではない。
自転車に乗った娘が。
下り坂での自転車で止まれなくなった。
そして、赤いコーンとロープへ向かって自転車とともに娘が突進したのだ。


4歳の娘は、ただいま自転車の練習真っただ中。

自転車購入きっかけは、娘の希望だった。
「娘ちゃんも自転車欲しいな」という言葉を何度も聞いた。
通っている公文式教室の駐輪場で、子ども用の自転車を見る機会が増えたからだ。
「大人だけでなく、どうやら子ども用の自転車があるらしい」ということを、子どもなりに解釈したのだろう。

親としても「小学生ぐらいまでには自転車乗れるようになっておいた方がいいな」と思っていた。
友達どうしでどこかお出掛けする時に、自転車に乗れていた方がいいだろうなぁって。だから娘が欲しがり、ちょうどいい機会だったので、娘の自転車探しの旅に出た。

子育てしている親あるあるだと思うけれど、毎日が必死である。
あまり余白はない。
そのめちゃくちゃ少ない余白を、自転車購入検討にあてた。
そして調べた結果、以下の3択で悩んだ。

・シンプルなコマ付き自転車
・かわいいキャラもののコマ付き自転車
・ストライダー14X(後でペダルがつけられるタイプ)

シンプルな自転車は1万円台からあるのに対し、
かわいいものやストライダー14Xは、3万円ぐらいのお値段。
けっこう違う。

ほとんど身長が変わらない大人に比べ、
4歳はこれからどんどん身長がのびていく。
今購入した自転車に乗れる期間は、2-3年だろう。

その2-3年の自転車ために、いくらまで出すか。
最悪のケース、娘が気に入らなければ、全く乗らない可能性もあるのだ。

だから友人に聞きまくった。
メルカリを含め中古市場も検索しまくった。
そして多くの先輩パパママである友人からのアドバイス、ネットの口コミを頼りに、コマ(補助輪)なし自転車への移行がスムーズそうだというところに一番惹かれて、スライダー14Xを検討することにした。

それでも悩んだ。

公文の教室で見ている、プリンセスな自転車じゃないから娘が気に入らなかったらどうしよう、とか、
自転車を気に入ってくれないと乗ってくれないから、そしたらそもそもコマ(補助輪)なし以前の問題になっちゃうな、とか、
色んな心配をしながら娘と一緒に自転車屋さんへ行った。
ちなみに自転車屋さんも色々調べて、そのうえで2軒回った。
近所でネット口コミが良かったお店と、ちょっと遠くの友人からおススメしてもらった「サイクルベースあさひ」。



娘は、ストライダー14Xを見て、「パパの自転車(マウンテンバイク)と同じ色だからこれがいい!」と言って気に入ってくれた。

良かった。

気に入らずに乗ってくれなかったらどうしよう、とか、
いいお店じゃなかったらどうしよう、とか、
やっぱりプリンセス自転車の方が好きと言われたらどうしよう、とか
色々悩んで調べて調べまくったのだが、

とりあえず、娘が気に入ってくれて本当に良かった。
購入しただけだから、これからがスタートだけど。

ということで、2023年秋、
公文に通い始めて約6ヶ月後、
娘に自転車が欲しいと言われて3ヶ月後、
とうとう娘の自転車を購入した。


娘はすごかった。
欲しかった自転車が、
自分専用の自転車が、
パパと同じ色の自転車が、
家に届いた時の喜びようはすごかった。

そして、乗りたがった。
例え平日の夜でも。

平日の夜って、子育てしている親子にとっては戦争の時間帯じゃないですか。
残っている仕事に後ろ髪をひかれながら、保育園までダッシュ。
なんとかお迎え時間(延長保育しているけれど)に滑り込み、
そこから寝かしつけるまでの3時間は、バタバタ。

大人のスケジュールでいけば、全然バタバタじゃないの。
だって、帰宅してお風呂入ってご飯食べて歯磨きするだけ。
1時間ぐらいあれば出来そうじゃないですが。

子どもは、そうはいかない

平日、延長保育した保育園お迎えの帰りに、
公文式の教室へ行き公文式を終え、
その後教室でかいけつゾロリの本を30分ぐらいかけて1冊読んで、
やっと帰宅した20時過ぎ。

お風呂もご飯もまだである。
親としては、子どもに早く寝て欲しいので、1分1秒でも早くお風呂に入って晩ご飯を食べて欲しいところである。

しかし、そんなこと4歳の娘はおかまいなし。

「自転車の練習したいな!」

平日夜20時過ぎから、家の前で練習をし始める有様である。
次の日も平日だったけれど、やはり保育園の後に自転車の練習をした。

昔だと、こういう予定と違うことに対して私はストレスがたまるタイプだったが、子育て歴4年を経て、このぐらいはまぁいっか、と思えるようになった。少しだけ。

何より、娘がそのぐらい自転車を大好きになった。
おかげで、かなりスイスイ乗れるようになった。
ちょっと遠くの公園にも行けるようになった。

ただ1つ、とても大事なことを忘れていたのだ。
それに気づいた出来事があった。


ある日、少し遠くの公園へ、娘は自転車で行った。
いつも遊びにいく近所の公園とは違い、かなり大きな公園である。
その大きな公園には、大きな坂があった。

お気づきの方もいるだろう。

その大きな坂で、娘は自転車がスイスイ動くことがとても嬉しくなった。
嬉しいよね、いつもよりスイスイ動くもの。
嬉しいよね、出来ることがどんどん増えて。
楽しいよね、自転車がスイスイ動くの。

私は「坂だから危ないよ。止まれなくなるよ」と何度も言った。
ブレーキのかけ方も教えた。
何度かは途中でギリギリ止まれた。

が、坂の最後でとうとう止まれなくなった。
そしてこけた。
それが冒頭の場面である。

ガラガラガッシャーン!!
派手に転んだ。
娘は、自転車からポーンと放り出されたほどだった。

幸いなことに、とても派手に転んだのに、
骨折や大きなケガはせず、膝を擦りむいた程度だった。
ただ、あまりにも派手にこけたので、娘はそのあと抱っこでしか動かなくなった。

娘は無事だったが、私の腕は死んだ。
14kgの娘の抱っこにより、私の腕は筋肉痛になった。
悲しいことに、筋肉痛は翌日にきた。

その日まで娘は、何度も言っていた。
「そろそろペダルが欲しいな」と。

ある程度乗れてきた自覚もあったのだろう。
ただこの日、下り坂で派手に転んだことにより、ある約束をした。

「ブレーキがうまくかけられるようになったら、ペダルをつけようね」と。
一刻も早くペダルをつけたかった娘は、私の言葉に不本意そうにしていた。が、派手にこけたところだったので、しぶしぶ頷いた。


「ブレーキがうまくかけられるようになったら、ペダルをつけようね」
自分が言ったその言葉を、私は反復しながら、あることに気が付いた。

そういえば、娘はブレーキのかけ方ちゃんと知ろうとしなかったな、と。
でも、自転車をめちゃくちゃ楽しんでいたな、と。
初めての自転車に挑戦することに、全く躊躇しなかったな、と。


対して私は、自転車を購入するまでに3ヶ月ほど経った性格である。
娘が乗らないリスクを考慮し、そのリスクに対してどのぐらいの値段までなら許容できるかを考慮し、考慮し、考慮し、ようやく購入した。

大人になってから、いつしか、挑戦する時には必ずリスクチェックをするようになった。

でも、子どもは違う。
ちゃんとブレーキをかけられるかなんて関係なく、自転車に挑戦していた。

純粋に子どもが羨ましくなったと同時に「いいぞいいぞ、もっとその調子で挑戦して!」とも思う。
ブレーキがちゃんとかけられるかどうかは、親が確認しておくからね。
今回のように、挑戦して失敗してからブレーキのコントロールを学ぶ、それでいいからね。
命に関わる失敗だけはしないように親が見守っておくから、あなたはどんどん挑戦してね。


そして。
そんな子どもも姿を見て、私も挑戦することを、その可能性を、諦めないでいきたいな、と思った。

2024年も、挑戦することを恐れない年にしていきたいと思います。
今年もよろしくお願いします。



ってうまく〆ようとしたのですが、次の日の娘の一言。

「この前みたいにこけたら怖いから、今日は自転車に乗らない。」


なんとか自転車に乗る気にさせなければ。
親としての手腕が試される時がきてしまいました。
私の挑戦のターン。
頑張ろ。


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