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ひな祭り

◆概要

幼い女子の健やかな成長を祈る日本の節句の年中行事。
江戸時代までは和暦の3月3日(現在の4月頃)に行われていたが、明治の改暦以後は新暦(グレゴリオ暦)の3月3日に行なうことが一般的になっている。ただし一部の地域では、引き続きに旧暦3月3日に祝うか、新暦4月3日に祝うこともある。

現代では室内で行うことが一般的であるが、かつて農村部などでは暖かく春らしくなった旧暦3月3日に、子供が野遊びに出掛けて「草花びな」を作ったり、弁当や野外料理を食べたりする風習が一部にあり、現代でも伝承している地域がある。

以上、インターネットより。

◆駄文

姉がまだ幼かった頃。僕もまた幼かったんだけども。とにかく、そんな頃。一応、この時期には形式的に雛人形が部屋の一角に鎮座していた。といっても、壇になって沢山並んでいるとかそんなに立派なものではなく、ただ、お内裏様とお雛様の2人が並んでるだけの簡素なものだった。
笑ってるとも言えない絶妙な表情で一点を見つめる白塗りの雛人形に、誰に言う訳でもない恐怖をうっすら抱いていたことを何となく覚えている。
そういう年中行事を大切にしてるくせに怠惰な家庭だったから、片付けられるのは3,4日遅れていたもんで、姉が「お嫁にいけなくなっちゃうじゃーん!」と怒りながらも、ただ文句を言うだけ言うみたいなのが、毎年の恒例であった。

そして、あれから十数年。
数年間しまわれていた雛人形が改めて家に設置された。いや、雛人形を設置という表現が適切なのかは曖昧だが、まぁ、設置された。
「お姉ちゃんには、早くお嫁に行ってもらわないとねー」
丁寧に包装を取りながら母が言う。
「ちっちゃい頃にちゃんとしまわれなかったから、行けなくなっちゃったんだねー」
それに一切関与せず、スマホを弄りながら姉が言う。
「結局は、そういう人のせいにして、努力も何もしないところに、問題があるんじゃないか知らねー」
お内裏様を飾りながら、母。
「そうねー、一体誰に似たんだろうねー」
スマホを弄りながら、姉。
「あらー、お父さんかしらねー」
少し離れたとこで噎せ返る、父。
「人のせいにするところは、かーさん似か」
ついつい思ったことが口から出てしまった、弟(自分)。
「こら?あんた、こっちの味方じゃないの?そういうあんたも、彼女の1人連れてきたことないじゃないの。あんた、お母さん心配してんだからね?」
と、標的が僕にすり替わったことをいいことに、そそくさと部屋を出ていこうとする、姉。
「ちょい、ねーちゃん。ズルいよ」
「お姉ちゃんも、まだ話し終わってませんよ」
「余計なこと言うから捕まったじゃん」
「元はと言えば、ねーちゃんの話なので」
「ゆきちゃんはもう結婚したって、お孫さんもいるみたいなのよ?」
「出会いがあればすぐだってば」
「この間のお見合いの話も蹴っておいて、なんでそんなことが言えるのよ」
「相手は選ばせてよ。選ぶ権利くらいあるでしょ」
「丸顔で可愛らしい感じで良かったじゃない」
「好みが合わない。だから、お父さんが選ばれたのか」
「とーさんを攻撃しないであげて。また咳止まんなくなってるから」
「昔はもっとカッコよかったですー」
「かーさんまでやめて、とーさん泣いてるよもうあれ」
「とにかく、今は仕事が楽しいの、変に圧かけてこないでよね」
その言葉を最後に、姉は部屋へと戻っていった。僕も次の攻撃対象にならないように、そそくさと部屋へ帰った。父のすすり泣きが聴こえた気がした。

結局、雛人形は7日くらいまで飾られていた。

P.S.

すっかり忘れてた。ギリギリセーフ。
絵も30秒にしちゃぁ、上出来でしょ。
(激甘採点)

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