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ワクチンロットによる副反応の違いについての論文

今日は朝から雨です。
やや肌寒いですが、明日からまた夏日のようです。


今回もいい加減しつこいですがワクチンネタです。
前回ワクチンによる心筋炎のネタでしたが、
副反応出る人とでない人の違いについて、
ロットによって頻度が違う?
という論文です。


Batch-dependent safety of the BNT162b2 mRNA COVID-19 vaccine.

European Journal of Clinical Investigation.
First published: 30 March 2023. 


こちらの雑誌も、インパクトファクター(IF)は6近くあり、

しっかりした医学雑誌のようです。


ワクチン接種は、Covid-19の蔓延緩和のために広く実施されており、2022 年 11 月 11 日までに、BNT162b2 mRNA ワクチン (Pfizer-BioNTech) の 7億100 万回分が投与され、971,021 件の疑わしい副作用(SAE)の報告と関連していました。
2020年12月27日から2022 年1月11日までにデンマーク(人口580万人)で投与された異なるBNT162b2ワクチンバッチ間のSAEの発生率を調べました。

デンマークで調査された論文です。
SAEはワクチンとの関連が疑わしい副作用のことです。

ロット番号(バッチ)は、ワクチンシールにも書いており、

日本でも解析可能なのでしょうか。


デンマーク医療庁 (DKMA) に報告され、DKMA によって SAE の深刻度に応じて分類された対応するワクチンバッチラベルを持つすべての SAE 症例に関するデータ、およびデンマーク血清研究所によって登録された個々のワクチンバッチのBNT162b2 投与数は、それぞれ公開されており、要求に応じて取得されました。
DKMA が管理する自発的な SAE 報告システムは、医療提供者、患者、その他の一般市民など、あらゆる情報源からの SAE の報告を受け入れています。各バッチに関連するSAEの総数をバッチ内の投与回数で割って、1000 回の投与あたりの SAE の割合を得ました。

デンマーク医療庁という省庁で管理している、副作用報告システムを用いた検討です。
ワクチン投与回数1000回あたりの発症数を比べています。


3 つの傾向線が識別され、一つのワクチンバッチでは SAE率が顕著に低くなり、3 つの傾向線を表すバッチ間のSAE 重症度の分布にバッチ依存の不均一性が追加認められました (図)。




ロットによる副作用の違い

ワクチン投与量に占める割合:
    4.22% (青線)、63.69%(緑線)、32.09% (黄色線) 。

            SAEの割合、重篤なSAEの割合、SAE 関連の死亡

青線  70.78%、  27.49%、            47.15%

緑線  28.84%、  71.50%、            51.99%

黄線   0.38%、   1.01%、              0.86%


このグラフが全てですが、

・青線のロットは投与量に占める割合が少ないが、SAEが非常に多い。

・黄線のロットは投与量の1/3を占めるが、ほぼSAEがない。


実際、ワクチンの変動 (バッチ間、バイアル間、さらには用量間) は、変動性と慣行違反の結果として発生する可能性があります。 たとえば、ワクチンの製造、保管、輸送、臨床的取り扱い、および管理の側面です。
2021 年には、日本でワクチンの 39 バイアルに異物が含まれていることが判明した後、合計160万回分を超えるmRNA1273 ワクチンの 3つのロットが回収されました。

原因として、ワクチンの製造、保管、輸送、管理等で、
品質に違いが生じるかもと考察されています。

異物が混じっていて160万回分が回収となった、
日本でのコロナワクチンの例が取り上げられています。


デンマークのSAE 報告システムは、米国のワクチン有害事象報告システム (VAERS) に似た受動的監視システムであり、報告バイアスの影響を受けやすく、過少および過剰の可能性があります。
これらの固有の制限により、これらのシステムによって検出された情報は仮説を生成するものと見なされなければならず、一般に因果関係を確立するために使用することはできません.

もちろんこの論文の制限として、全例調査ではないのでバイアスがあったり、いろいろ制限があり、あくまで仮説であり、これをもって断定してはいけないと、書いてあります。論文の限界と言いますか、たいていの論文にはこの記載があります。


今後も、ロットによる副作用の頻度の違いとか各国で出てくるのかな。


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